2





「割り勘とか、ありえなくない!?」
「年上のくせにね〜」
「そうそう、あんだけ仕事の自慢してたくせにね!」

今回の合コンもハズレだった。
もう合コンに期待しない、と言いつつ、ひょっとしたら……という思いもあった。

待ち合わせ場所に着いて、女友達から、今回は30代前半の、医療機器メーカーに勤める人たちだと聞いて、胸が踊った。
が、予約していた個室の扉を開けて、男性陣の顔ぶれを見た瞬間に「美味しいお酒と料理が楽しめればいいや」となった。

相手も、20代の私たちに期待していたようだが、思ったより話が盛り上がらずつまらなかったようで、早めのお開きとなった。

その後、女だけで飲み直そう、と、地下にあるバーへ行き、現在に至る。

「合コンに来るような人に、いい人はいないのかもね〜」
「あんた彼氏いるからいーじゃん」
「やー、いい人がいたら、乗り換えようと思って」

「スマホじゃないんだから」

ふいに、後ろから声がした。
振り返ると、切れ長の目をした、スーツ姿の男性が立っていた。

「たろう先輩!わ、びっくりした〜!」

友人にたろう先輩と呼ばれたこの男は、身長も高過ぎず低過ぎず……175センチくらいだろうか。
細身ですらっとしていて、紺色のスーツがとても似合っていた。

無意識のうちに、見つめてしまっていた。
それに気が付いて私の方を見たたろう先輩と、目があってしまった。


[ 2/3 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
HOME




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -