つまり、やることはやりたいわけで。
「…ロイド」
「ん…」
「いいんだな?しても」
「いいって言ってるだろ。襲っといて今頃なんだよ…」
大人しく俺の下で寝かされているロイドは少し笑いながらそう言った。くそ、余裕かよ。一人で緊張してる俺が馬鹿じゃん。
ゆっくりと顔を近付けてロイドの大きな瞳をみながら唇を重ねる。すこしだけぴくんと彼の体が揺れた。も、まじで可愛い。可愛いすぎるってロイド君。だからさ。
「可愛い」
…って俺様が言うとでも思った?残念ながら今のはロイドが言ったんだよ。え?ロイドは受だからおかしいって?うん、そうだな俺もそう思った。
「ロ、ロイド君?」
「ゼロス可愛い」
「はい…?」
「顔真っ赤だしさ」
するりとロイドの手が俺の頬に触れる。その手が意外に冷たくて少しひくりと体が反応した。畜生、何震えてるんだ俺様。でもさ、何かロイドくんの手ってあったかいイメージだったから。
「…なあゼロス」
「ん、何」
「やっぱさ、どうみても不自然だと思うんだ。この体制」
にっこり笑ったロイド君に背筋が凍る。何か嫌な予感するんだけど…気のせいか?あ、ちょ待てってロイド、何すげー力で俺様押し退けてるんだよ。こら、そんな押したら……!!
「ろ、ロイド、お前っ!」
「はいはい」
おかしい、と思ってたんだ。
あんなに「女の子役は嫌」って言ってたのに今日はやけにおとなしく押し倒されてたから。しかもタイミングを見計らってさっきみたいに俺の体を、その、半回転させてその上にのっかったりするから。
あれ、待てよ。
これっていわゆる……
形 成 逆 転…?
「…ロイド」
「ん〜何だよ?」
とぼけているロイド君の口元は弧を描いていて。絶対確信犯だ、わざとだ、こうなるってわかってたんだこいつ!!!
何とか反抗しようとしてみるけど、相手はハニーだし乱暴はできない。どうしよう、どうしよう。柄にもなくハラハラしているとロイドは遠慮なく覆いかぶさってきた。
「ゼロス」
耳元で囁かれて、体中に甘い痺れが走る。もちろんそれは相手がロイドだから。しかも普段絶対ださないようなヤーラシイお色気ボイスなんかだしちゃってさ。こいつこんなに地声低かったけ。え?中の人が中の人だからしょうがない?なんだよ、中の人って。
「う…ひゃあっ…!?ろいど…待っ」
「ほら…ゼロス、可愛いって」
やめろやめろやめろやめてください。俺様、脇腹は弱いんです。これは他のハニーで実証済みなんです。いや、くすぐったいとかのレベルじゃない。ちょっと撫でられると…
「ふぁ…ろいど…ぉ…やめっ」
ってなる。猫か、俺は。
本当にこれ以上はヤバイから、隙を見計らって俺はごろんと横に転がった。さすがにそれはロイドも予想してなかったみたいで、俺はロイドの鬼畜領域から脱せた。
「あっゼロス!」
「いいかーよーく聞いとけよ!」
俺ははだけた衣服を掻き集めてロイドを指差しながら叫ぶ。
「何だよゼロス!お前から仕掛けたんだろ!責任持てよ」
今時は「リバがいい」だのなんだのほざいてる馬鹿が、いるけどなあ…
「襲うのと襲われるのとではわけが違うんだよ!!この馬鹿!!!!」
わかってください。
男心ってやつを。
修正 20110114