ゴウルカ&ユダキラ6

保管庫(SB)


『バレンタインの夜、貴方を愛す』 ゴウルカ前提キラ→ルカ〜特別な夜シリーズ2


今まで貰うことはあってもあげたことはなかったから、今年は柄にもなく考え込んだりしていた。
そう。二月、バレンタインデーである。
今年の当日、学校は休み。わざわざ休みに会うのも気恥ずかしいし、そもそも相手であるゴウはその日部活があった。ので、前日に渡すことにした。ゴウにもそう伝えていた。
しかし。
「・・・これは多分、忘れているな」
誰もいない教室、残って自習をしていたルカは時計を見てぽつりと呟く。
最近、放課後は仲間と勉強しながら話しながら過ごすのが習慣化していた。ゴウも部活の休憩時間にはよく来ていて、最後は部活を終えた彼と二人で帰るのが常である。
が、今日に限ってゴウが全く姿を現さない。彼の性格からして、バレンタインのことは忘れている気がする。
「・・・・・」
言いようのないやるせなさをルカは感じて、ついで悪戯心が生まれた。
携帯電話を取り出して、メールを打ち込む。相手は勿論ゴウだ。
『先に帰ったか?それなら例のものは、ありがたく私自身で頂くとするが(笑)』
送信。少し気分が晴れた気がする。さあ自分も帰ろう、と荷物を片付け始めれば、思いの外早く携帯電話が振動した。しかもメールではなく電話だ。
「もしもし?」
『ちょ、待ってくれ!タイムアウトを要求する!』
「・・・タイムアウトはバスケか何かの用語だったと思うが・・・そんなわけで剣道部部長からの要求は飲めないな」
ルカが弾んだ声でそう返せば、一層慌てた声、ゴウの声が電話の向こうから聞こえた。
『すまん!いや、本当に悪かった!』
「忘れていたのだろう」
『う・・・』
ずばり言えば、唸り声。ルカの予想は当たっていたらしい。
「ありがたく自分で食べるとするよ」
笑ってそう告げれば、それだけは勘弁してくれ!と叫ばれた。ますます悪戯心が擽られる。
「どうしようかな」
『・・・ルカ、楽しんでるな』
「さあどうだろう?」
『うー・・・俺がどれだけ楽しみにしていたと思っている・・・』
「忘れていたのに?」
説得力がないな、と笑えば、恨みがましい唸り声。思わずほっとする。楽しみにしていた、その言葉に少し気持ちが慰められたのかもしれない。
「このチョコをどうするかは、これからのゴウ次第かな」
『ぐ・・・ど、努力する』
その言葉に笑って、二人はいくつか言葉を交わした後電話を切った。
「・・・・・」
そしてルカが漏らしたのは溜息。悲しいのか、辛いのか、悔しいのか分からない感情が胸をいっぱいにする。
その時。ふいに後ろから名前を呼ばれて、ルカは振り返った。
「ルカさん」
視線の先にいたのは、キラだ。複雑な思いが胸を締め付ける。
「き、ら・・・。珍しいな、お前がまだ学校に残っているなんて」
声が自然と固くなる。ルカは努めて平静を装うが、動揺は隠しきれない。
「玄関で貴方を待っていたんだ。でもあんまり遅いから、探した」
キラは不思議と穏やかに微笑み、ルカに近付いた。ルカは内心舌打ちをする。油断した。
ルカはゴウと付き合っている。それを知りながら、キラはルカに好きだと告げた。ルカは拒んだが、諦めないとキラは宣言した。だからルカはここ数日、彼と二人っきりにならないよう気を付けていたのに。
よりにもよって、こんな時に。
「ルカさん、ゴウさんに約束忘れられたんだな」
「・・・立ち聞きは感心しない」
冷たく突き放すルカに、キラは「偶然聞こえたんだ」と惚ける。
キラが、近い。
「ゴウさん酷いね。普通忘れないよ」
「別に酷くなんかない。ゴウらしいじゃないか」
「でも、傷ついたのでしょう?」
甘く響いた声は、ルカの動揺を大きくした。
よりにもよってこんな時に。傷ついて、心が弱くなっている時に、キラと二人っきりになってしまうなんて。
す、とキラの指がルカの頬に伸びる。ルカは反射的に避けた。キラは気にした風もなく、微笑んでいる。
「俺なら、貴方にそんな思いさせないのに」
キラは微笑んだ。間近でルカを見つめながら。その緑の瞳は意外に真摯で、ルカは切なく目を細める。
「・・・だが、私はお前のものにはならない」
硬い声で、しかしはっきりとそう告げて、ルカは荷物を掴み、逃げるように教室を出た。
後に残ったのはキラだけ。窓から差し込む月光が、キラの金髪を輝かせる。
「それでも、貴方を想う気持ちは変わらないよ、ルカさん」
変わるようなら、恋なんてしない。想いを告げたりなんかしない。
「俺は、愛されるより愛したいんだ」
これはただの自己満足。
キラは自分の鞄から、綺麗にラッピングされた箱を一つ取り出し、ルカの机へと滑り込ませた。
そして笑みを一つ残し、彼もそのまま立ち去った。


 終


 キラはルカにチョコレートを渡すため、ずっと玄関で待っていました(・∀・)(なんていう一途さ!)

  今回は結構ノンフィクションです(笑)最後のキラの台詞なんかは某友人が言っていたのを聞いて「キラ言いそうー」とか思っていたので使ってみたりとか。それにしてもキラの一途さに比べゴウひっどいなあー(笑)ルカの言うようにゴウらしいと言えばゴウらしいですよね。天然鈍感はゴウのいい所であり悪い所なのかもしれません。





誤字脱字はこっそりお知らせいただけると嬉しいです(苦笑)


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