ゴウルカ&ユダキラ5

保管庫(SB)


『十五夜、貴方に告げる』 ゴウルカ前提キラ→ルカ〜特別な夜シリーズ1


暗闇が空を支配している。すっかり暗くなった外を窓越しに確認しながら、キラは勉強机に向かって黙々とシャーペンを走らせていた。明日は古典の小テストがある。勉強を苦手としているわけではないが、不合格になるのは癪らしい。
ふと、机の上に置いてある携帯電話が震えだした。キラが手を伸ばし開いて見れば、よく知っている名前がそこに表示されている。番号は登録されているが、一度も連絡をもらったことがない相手だ。キラは思わず口元を緩めて、通話ボタンを押す。
「もしもし?」
「・・・キラ。これは一体、何の冗談だ」
電話の向こうから聞こえてきた声は、固かった。優しい声しか聞いたことがなかったから、キラは嬉しくなって笑みを深める。
「ああ。メール、読んでくれたんだ」
「茶化すな。・・・からかうにしても、これは質が悪いぞ」
苦々しく、しかしはっきりと、電話の相手であるルカがそう告げる。
キラの目が細められた。
「からかってなんかないさ。・・・『ルカさんが、好きだよ』」
送ったメールと、全く同じ言葉をキラは口にした。電話の向こうでルカが息を飲む。
「私、は・・・お前の気持ちには答えられない」
「ああ、知ってる。ルカさんには、ゴウさんがいるから」
「・・・・・」
ルカは今度は沈黙した。キラの言葉が続く。
「流石にあの時はびっくりしたよ。・・・ゴウさん、ルカさんの前ではあんなに甘えたがりになるんだ」
「キラ・・・っ」
ルカの諫める声。キラは、この間二人が抱き合っていたのをたまたま見たのだ。教室に忘れ物を取りに行って、夕日の光の中で幸せそうに抱き合う二人を見てしまったのだ。
だからキラは二人の交際を知った。なのにキラは、ルカに想いを告げた。
「・・・ねえルカさん。俺、二人におめでとうは言わないよ。諦める気は、ないんだ」
キラははっきりと宣言する。
密かに想っていた。転校してきて、なかなか周りに馴染めなかったキラに、最初に笑いかけてくれたのは彼だったから。それからも癖のある性格をしたキラに、彼はいつも微笑んでくれた。
気になっていた。好きだった。
ルカはしばらく黙り込んで、やがてゆっくりと口を開いた。
「・・・私は、ゴウが好きなんだ」
「ああ、それでいい」
キラはにっこりと笑顔を浮かべる。
「でも、諦めない」
「・・・・・」
ルカの戸惑いが電話の向こうから気配で伝わってくる。しかしキラはあっさりと、それじゃあまた明日、と通話を切った。
ルカはとても優しい。だからキラの想いを知ってしまった彼は、一人で悩み、苦しんでいるだろう。
それを理解していながら、彼に想いを告げた自分は本当に卑怯だと、キラは自嘲を零した。


暗闇が空を支配している。すっかり暗くなった外を窓越しに確認しながら、先程は気付かなかった黄金の満月を、キラは見つけた。
ああ、今宵は十五夜。
月には人を惑わす力があるらしい、との言い伝えは真実だったのかもしれない。



   終


  某方に「キラかっこいい!」と言われたので、別名「キラかっこいいぞシリーズ」(笑)始めました始まりました!小ネタ風にやっていくので何かイベントのある日に不定期で更新する感じです。他とはちょっと違うシリーズもの、よろしくお願いいたします!



  日記に載せていたものとは多少違いますが、日記にずっと放置していたのでサイトに移せて少し満足vv(´v`*)




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