ゴウルカ&ユダキラ3

保管庫(SB)


『運命の糸は、どこから始まってどこへ行く』 ゴウルカ&ユダキラ〜運命シリーズ3

夜が明ける。国王暗殺予告がなされていたその日の夜、国王は怪我をすることもなく無事朝を迎えられた。
一晩中警戒を続けていた軍人達からほっと息が漏れる。
結局、賊は一度の侵入を阻まれた後、再び襲撃してくることはなかった。ゴウは後から知ったのだが、ゴウ以外にも襲撃を受けた軍隊はいくつかあったらしい。囮であったゴウのもとに襲撃しに来たのは二人だけだったが、報告を聞いている限りでは賊は予想以上に大組織である可能性が出てきた。
そして翌日の隊長会議で、ゴウは自分のもとに来た賊について「何も分からなかった」と皆に報告した。


「ゴウ!」
城内の廊下を歩いていたゴウは、突然呼ばれてその足を止めた。
振り返って見てみれば、廊下の向こうから無邪気に手を振りながら近付いてくる男が一人いる。
ゴウの顔に苦笑が浮かんだ。
「珍しいな、シェル。一人でいるなんて。副隊長はどうした?」
近くまで来たその男、シェルにそう問いかければ、彼は小首を傾げながら「たまにはそんな日だってあるよ」とにっこりと笑みを深める。
柔和な微笑を浮かべる男であった。凛々しく男らしい外見のゴウと比べると、その優美な顔立ちと柔らかな物腰が一際目立つ。背丈もゴウより低く、背中に流れる白銀の髪は腰より少し上の位置まで伸ばされていた。瞳の色は深い海を連想させるような蒼である。
ゴウとは違い、優しげな雰囲気が強い男であるが、実はこの男こそが、国軍の頂点、第一軍隊隊長を務める男なのだ。更に言えば、ゴウより年も上である。
・・・それにしても、軍服姿が相変わらず似合わないやつだなあ。
ゴウは常々思っていた事柄を再確認してしまい、思わずうーむ、と唸っていると、目の前のシェルの顔が綻んだ。
「よかったよ、ゴウに会えて。早くこの前のお礼が言いたくてね」
「・・・お礼?・・・ああ、もしかして前に城下の町で買ってきたお土産のことか?甘くて美味かっただろう、あの菓子」
ふと浮かんだ数日前の出来事にぽん、と手を鳴らせば、シェルがうんうん、と深く頷く。
「うん、あれすごく美味しかったよ。食べ過ぎだ、って皆に突っ込まれちゃったけれどね」
「よかったらまた買ってくるぞ。店の場所は覚えているからな」
ああでも、やっぱり気に入ったか。シェルはあんなものが好きそうだと思ったんだ、と続けるゴウに、シェルも、わあ、さすがゴウだね。じゃあ次を楽しみに待っているよ、と笑う。
仮にも第三軍隊隊長と、第一軍隊隊長の二人の会話であるのに、その内容はひどく庶民的だ。
しかし、そのほのぼのとした空気の中、シェルはふ、と表情から花を消し、微笑む。
「うん、でもね。そっちもありがとうなんだけど、僕が言いたかったのはこの前の事件のことなんだ」
いつもと違い、遠慮するように笑うシェルに、ゴウは目を瞬かせた。
「・・・ああ、なんだ。そっちのことか」
シェルの言う事件とは、先日の国王暗殺未遂事件のことだ。実は国王の囮役をゴウに頼んだのは、他でもないシェルなのである。
「別に、礼を言われるようなことでもないだろう。軍は、国と国王を守るために存在するのだから」
「ゴウならそう言うと、思ったんだけどねえ。・・・でも、なんだか思い悩んでいるみたいだったから」
ずばり言われた言葉に、ゴウは微かに瞳を揺らした。それから困ったように笑い、癖で頭をがしがしと掻く。
シェルは、普段かなりの鈍感である。しかし、いざという時の観察にはずば抜けて優れていた。ゴウは軍に所属した頃からシェルの世話になっているので、そのことはよく知っている。
しかし、ゴウはあまり効果がないと分かっていても、シェルに向かって首を左右に振った。
「・・・何でもないさ。気にするな」
シェルは無言でゴウを見つめていたが、やがて諦めたように肩をすくめる。
「そう。じゃあ、これ以上は言わないよ。・・・でも、何か困ったことがあったならちゃんと言うんだよ?」
「すまない。・・・気にかけてくれて、ありがとう」
「いえいえ」
そこで、シェルはまた飛びっきりの笑顔を浮かべた。しんみりとした話はこれでおしまい、と言わんばかりの笑顔に、ゴウがほっと表情を緩ませた、その時。
「で?ゴウはもしかして、これからまたお城の外に出かけるのかな?」
予想外の発言に、ゴウは文字通り固まった。硬い笑顔でシェルを見れば、やっぱりね、と笑っている彼の顔が視界に入る。
「・・・キラには、黙っていてくれないか」
「しょうがないなあ。じゃあ、またお土産買ってきてね」
無邪気に笑う彼に、それくらいならお安い御用だ、とゴウは心の底から思った。
ゴウが隊長を務める第三軍隊の副隊長で、ゴウが一番信頼を寄せている部下のキラは、ゴウが城の外へ行くことをあまり快く思っていない。・・・と、いうよりゴウの外出のせいで仕事が滞るのが嫌なのだ。
おかげでここ連日の外出は自然と後ろめたい気持ちを抱えたままのものになっている。
「でも最近頻繁らしいね。キラが愚痴を零してたよ」
シェルの無邪気な言葉に、ゴウは容易にキラの不機嫌な顔を思い浮かべられた。ああ、あいつらしい。
でも、今は譲れない理由がゴウにもある。
「・・・そういえば、シェル。そのカップは何だ?」
さあ、出かけよう、と心を決めた瞬間、ふと、ゴウは先ほどから不思議に思っていた疑問を口にする。その視線はシェルの手にある彼専用の黄色いカップに注がれていた。
「え、これ?いやあ、たまには自分でコーヒーを入れてみようと思ってチャレンジしてみたんだ」
「・・・しかし、俺にはカップの中はお湯しかないように見えるが?」
確かに、ゴウの目がおかしくなければ、そのカップの中身は透明な液体だ。綺麗に透き通っているそれは、カップの底すら通して見える。ご丁寧にまだ湯気も立っていた。
シェルはうーん、と首を傾げた。
「どうやらコーヒーの豆をセットするのを忘れていたみたいだねえ」
「・・・そうか」
「でもこれも結構美味しいよ?」
「・・・・・・・・・・そうか」
ゴウは静かに溜息をついた。


国王暗殺未遂事件にて、国王の囮となったゴウのところに来たのは、ユダと名乗る美しい青年と、そしてつい先日ひょんなことから知り合いになったルカであった。
流れるように綺麗な銀色の髪、真っ直ぐな赤い瞳をもつルカに、ゴウは自然と好感を持っていた。もちろん、外見だけでなく性格面でも好ましいと思っていたのだ。
会ったのはたったの二回で、しかも街中。軽く言葉を交わし、別れる。それだけの関係だった。ルカはいつも自然体で、ゴウに接していた。ゴウはそう感じていた。
だからまさか、彼が事件に関わっているとは露ほどにも思っていなかった。
彼は、国王を守る軍に身を置く自分を前にして、一体どんな感情を抱いていたのだろうか。自分の目的を阻むことは分かっていただろうに、なぜゴウに対して笑顔でいられたのか。
ゴウはそれが気になっていた。
事件の翌日から、ゴウは毎日のように城の外へ足を運んでいる。もう一度ルカに会わなければ、とゴウは思っていた。
ゴウが彼に関して知っていることは、少ない。ルカに会うのはいつも偶然で、今だってルカに会いたくても、路地を探すことしか出来ないでいる。
今日で三日目。あの光を反射するような銀髪は視界を掠めることもなく、ゴウは路地の真ん中で口から溜息を零した。
「・・・やはり、もう街に姿を現すことはないのだろうか・・・」
未遂とはいえ、国王の暗殺を企てたのだ。軍では勿論、犯人の捜索が進められている。追われていると分かっている人物が、そう簡単に外出しないのは当たり前のことだ。しかし実は軍の捜索はすでに八方塞の状態になっている。襲撃してきた者達は全員布で顔を隠していたし、他に何か手がかりになるようなものも残されていなかったためだ。
ゴウにとって幸いだったのは、誰もルカ達の姿を見ていないことだった。唯一ゴウと同じ部屋に潜み、ルカやユダと対峙していたサキも、部屋が暗かったことと、ゴウと違いぎりぎりまで陰に身を潜めていたせいで二人の顔を見ることは出来なかったそうだ。これには心底安心している。
だから、ルカ達の正体を知っているのは、軍ではゴウだけであるのだ。
「・・・・・」
暗い路地で、ゴウは為す術もなく立ち尽くした。視界の隅でうごめくのは泥にまみれた鼠ぐらいである。
彼は身近にあった木箱の上に腰を下ろすと、その広い肩を情けなく落として空を仰いだ。
建物と建物の隙間から見える空は、狭い。
「ルカ・・・」
意味もなく名前を呟く。そんな自分がますます情けなくて、ゴウは視線を前に向けなおすと軽く頭(かぶり)を振った。
その時である。
「・・・!!」
視界の端に、きらめく糸のようなものが映った。反射的に振り返ったゴウは、建物の影に消える、美しい銀髪をその目で見る。
ゴウは考える間もなく走り出した。
見えた背中に、心臓が高鳴る。
「・・・っ。ルカ!!」
近付いて、手を伸ばした。捕らえたその腕を引けば、驚いたように振り返った彼、ルカと目が合う。
「お、まえ」
呆然と、ルカはゴウを見た。ゴウは捜し求めていた人物の姿を目の前に、表情を緩める。
赤い瞳に自分の姿が映っているのが見えて、満足そうな溜息さえ零れた。
「よかった。やっと会えた・・・」
「やっと・・・?」
独り言のように呟いたゴウの言葉に、しかしルカは眉を顰める。驚きの表情から一変して、彼はその瞳を細めた。
「ずっと、探していたのか?私を」
突如鋭くなったその口調に、ゴウは緊張で体を強張らせる。
ルカはゴウが問いかけに答える前に、彼の手を振り払った。自由になったルカは、正面からゴウを見据える。
「・・・成る程な。私を反逆罪で捕まえに来たというわけだ。わざわざ軍隊長ともあろうものが、ご苦労なことだ」
見たことのない、冷たい瞳であった。冷淡な台詞がゴウに突き刺さる。
「る、か」
「だが残念だったな。お前に私は捕まえられない。証拠は何一つないだろう?お前の証言だけで私を死刑台に送れるはずはないんだ」
まるで吐き捨てるように言って、彼はゴウを見た。
「私を探すなんて無駄なことをしたな」
ゴウは頭が真っ白になったのを感じた。彼の口から初めて発せられた冷たい声は、ゴウの心臓を抉り出すかのように、痛い。
体が、小刻みに揺れる。不安と、悲しみと、そして戸惑いが綯い交ぜになった感情に、ゴウは為す術もなくその場に立ち尽くした。
しかしその時彼は、目の前のルカを見てはっと目を見張る。
ルカの表情が、何かを堪えるように少し歪んでいるのが見えた。
・・・ああ、そうか。
「ルカ、違うんだ」
自然と、ゴウの口から否定の言葉が漏れる。震えていた体が静かになり、ゴウは妙に冴え渡った頭でルカに顔を向けた。
ゴウの手がルカへと伸びる。思わぬゴウの行動に、ルカは反射的に身を引いた。しかし、それよりも早くゴウの手がルカの腕を捕らえる。
「・・・何をする、離せ」
静かな拒絶の言葉が、ゴウへと向けられる。しかしゴウはそれを無視して、ルカの手を自分の首へ導いた。
「俺が、信じられないか」
先とは打って変わった力強いゴウの声と視線が、ルカを捕らえる。ルカは困惑の色を瞳に滲ませながら、しかしすぐに迷いない様子で目元をきつくした。
「当たり前だ。お前は国の軍人で、ゼウスの手下だ。信じられるわけがない」
「それなら、今この場で殺せばいい」
ルカの瞳が大きく見開かれた。
「・・・何を、言っている」
「俺は、お前を捕まえに来たのではない。話をしに来たんだ。お前のことがもっと知りたい。そのためだけに、お前を探していた。・・・俺の言葉が信じられないなら、殺してくれればいい」
真剣なゴウの言葉に、さしものルカも戸惑いを隠せなかった。何を馬鹿な、と唇が動く。
ゴウはただ真剣な顔で、彼と顔を合わせた。
「俺はお前を信じている」
最初から、こうすることは決めていた。さっきは予想外の冷たい言葉に体が硬直してしまったが、今の発言は衝動的ではなく、ずっと決めていたものであった。敵だと知った時、それでもルカを諦め切れなくて、ルカを探した。見つけてももし拒絶された時は、命をかけてでも、ルカと話をしよう、とずっと心に決めていたのだ。
ルカは、突然の展開に瞳を彷徨わせ、それから唇を引き結ぶ。
彼の視線が、ゴウに集中する。白黒を見極めるような視線だ。ゴウは黙ってそれを受け止めた。
やがて、ルカの指が動いた。確かめるようにゴウの首を指先が滑る。
「・・・本気か?お前」
「ああ。俺は至って本気だ」
「・・・何故、そこまでする」
ルカの指が、ゴウの喉仏の位置で止まった。ゴウはルカを止めるでもなく、何もせずにただ問われた質問の答えを口にする。
「ただお前のことが知りたいだけだ。お前が意味もなくあんなことをするとは思えない。何か理由があるのなら、それを教えて欲しいんだ」
「・・・知って、どうする?」
「もしお前が自分勝手な理由で国王を殺そうとしているなら、今殺されても絶対に生き延びて、俺は全力でお前を止めるだろうな。だが、そうでない場合は・・・お前と、友達になりたい。陳腐かもしれないが、それでも、これが俺の正直な気持ちだ」
「・・・・・」
ルカはそれから沈黙した。
ルカの指が、ゴウの首を戯れに動く。まるでどうやって絞め殺そうかと考えているかのようでもあるし、殺す気が全くないようにも思える。ゴウにはルカの真意を知る由もないが、それでも彼はルカを信じ、黙って静止していた。
しばらくの後、ルカに動きがあった。彼がゴウから離れる。
そしてルカはゴウに背中を向けた。
「・・・・・」
無言でルカは、歩き出す。ゴウは離れていくルカに、言いようのない悲しみを抱く。
駄目だったか。そんな思いが強くなって、ゴウは地面に顔を伏せそうになった。
しかしその時、進んでいたルカの足が、向こうの方で、止まった。
ゴウの顔が上がる。
上げた視線の先で、ルカがこちらを振り返って見ていた。
「ルカ」
名を呼ぶが、ルカは何も言わない。ただ黙ってこちらを見ている。
そしてまた、彼は無言で向こうの方に向かって一歩を踏み出した。一歩。また一歩。背中がどんどん遠くなっていくのが見える。
「・・・・・」
ゴウは数度の瞬きの後、躊躇いがちに一歩を踏み出した。
遠くなっていく、ルカへと彼は向かう。


ルカはひたすら奥を目指して歩いていた。ゴウも黙ってそれに付いていく。
路地の奥は人気も少なく、話し声すらしない。先程ルカを見つけた場所も人気はなかったが、遠くから人々の会話する声ぐらいは聞こえていた。
視界を狭める建物の壁は薄汚れていて、不気味だ。
「・・・・・」
やがてルカは、一際古いビルの中へと足を踏み入れた。ゴウもそれに倣う。
ビルはどうやら廃墟らしい。削れた柱や、穴だらけの床がそれを証明している。一体こんなところに何があるのかと、ゴウはルカへと振り返った。
ルカは今にも落ちてしまいそうな階段を上がっていた。ゴウには振り向きもしない。
「・・・・・」
ルカの姿が階段の奥に消える。ゴウもルカを追いかけて階段に一歩踏み出した。
踏みしめた階段は思いの外しっかりしていた。
一階から二階へと上がり、二階から三階へ。そんなことを長い時間繰り返しているうちに、とうとう最上階まで上がりきったのか、行き止まりの壁が二人の前に立ちふさがる。
ルカが壁へと手を伸ばした。すると壁が音を立てて開かれる。成る程、ゴウが壁だと思ったのは、どうやらドアであったらしい。
ドアの向こうに見えた世界に、ゴウは虚を付かれた気分になった。
「ここ、は・・・」
目の前に広がったのは、ただっ広い屋上である。狭められていた視界がいきなり広がり、脇を爽やかな風が通り抜けた。申し訳程度に柵が立てられていて、その向こうは見慣れた天空王国の街並みが見えた。
それ以外は何もなく、ゴウはなぜルカがここまで来たのか、首を傾げたい気分になる。
「・・・何が、見える?」
唐突に、隣から声がした。今まで無言だったルカが、久しぶりに口を聞いたのだ。
ゴウが首を回して見れば、ルカの静かな横顔が瞳に映る。
「・・・何って、屋根や、木や・・・あとは人ぐらいだが」
ゴウは訳が分からず、しかし律儀に返事をすれば、そうだな、とルカは頷く。
「それじゃあ、あそこには何が見える?」
す、とルカの腕が持ち上がる。指先で示された場所を視線で追えば、屋根がひしめき合っている街の中に、ぽっかりと穴が空いたような場所が目に入った。空き地のようである。
「・・・何も、ないな。強いて言うなら、空き地か」
首を傾げながら捻り出した答えは自分でもどうかと思うようなものであったが、しかしルカにはそれで十分だったらしい。ああ、と頷いて、彼は前へと足を進めた。
「そうだ、空き地さ。今は何も残されていない。・・・だが、昔あそこには貴族の家があったんだ」
柵があるぎりぎりの所で、彼は立ち止まる。ゴウは彼の数歩後ろまで近付いた。
ルカの髪が風で揺れる。
「ユダは、そこの一人息子だった。私は八歳ぐらいの時、ユダの両親に引き取られたんだ」


話はそこから始まった。
ルカは両親がいない、所謂孤児だったそうだ。そんな彼を引き取ってくれたのが、ユダの家だった。
ユダの両親は、貴族の中でも一目置かれるほど、位が高い人達だった。しかし思いやり深く、叱る時は叱り、褒める時は褒めてくれるような、そんな人達であったのを、ルカはよく覚えている。
「・・・あの頃は楽しかったな。ユダの両親もいい人だったし、ユダともすぐ仲良くなれた。使用人の人達も本当に良くしてくれて・・・」
しかし、ある日それは起こってしまった。
今から十年以上も前。ユダとルカが十歳の頃である。家が突然の火事で無くなってしまったのだ。
「あの時のことは、よく覚えている」
今でも鮮明に蘇る記憶だ。夕焼け空を背景にして、住み慣れた家が空以上に赤くなっている。揺らめく炎は幼いルカにはまるで、怪物のように思われた。
「あの日、私はユダと朝早くから出かけていた。二人で作った秘密基地があってね。家の人には誰にも言わず、黙って出かけていった。そして夕方になってから家に帰ると、そこにはすでに、炎に包まれた館があったよ」
ユダの両親はおろか、使用人も全員助からなかった。生存者はゼロ。骨すら残さず、皆突然消えてしまった。
原因は使用人の火の不始末だと言われている。だが、ルカはあの時見た。不審な男が、燃えている館の影に立っていたのを。
「・・・まさか」
そこまで言われて、ゴウも気付いた。ルカは無表情でゴウに振り返る。
「ああ、そうだ。火事は事故なんかではなかった。人為的なことだったんだ。そしてその男は、ゼウスの手下だった」
ルカがそこで言葉を一度切れば、不気味な風が二人の間を通った。ゴウの不安が高まり、動悸が不自然に早くなる。
ルカの唇が確かめるようにゆっくりと開かれた。
「あれは、ゼウスが引き起こした火事だったんだ」
鋭い衝撃がゴウを襲う。頭をがつん、と叩かれたような気分でもあった。
「馬鹿な。なぜ、王がそんなことをする必要がある」
声が微かに震える。呆然とするゴウに、ルカは続けて話をした。
「ああ。私達も最初はそう思った。だが、火事の後、まるで図ったかのように次々と貴族が失脚されたんだ」
ユダの家は貴族の中でも上位にあった。その家が燃え消えたとなれば、貴族社会は大きく揺れる。そんな中でゼウス王が、他の貴族を失脚させるなど造作もないことだろう。そして、ゼウス王は邪魔者のいない中で自分の理想とする国家を作り上げた。天空王国の実力主義政策はその結果である。そうルカ達は考えていた。
ルカの話を聞いているうちに、ゴウは思い出した。確かに、昔貴族の家が全焼する事件があった。ゴウは少年であったが、周りの大人が騒いでいたので印象に残っていたのだ。同様に、貴族が次々と失脚された事件。そのことはゴウもよく覚えている。その事件の後から、王のゼウスは実力重視の政策に乗り換えたのだったのだから。
「・・・だが、実力主義の政策によって救われた人も多いはずだ」
ゴウはまさにその救われた一人だ。実力主義の世界の中では、努力が無駄になることはない。必死に頑張った人が認められる、報われる世界である。
ルカは顔を伏せた。
「ああ、それも分かっているさ」
だけど。
「そのためだけにあの人達が殺されたなんて、許せない。あの人達の犠牲の上にこの国が成り立っていると思うと、吐き気がする。・・・それに、ユダならゼウス以上にきっとうまくやるはずだ。今以上にいい国を、あいつならつくれる」
天空王国も、万全ではない。相変わらず貧困に悲しむ民は絶えず、医者に行くことも出来ず嘆き悲しむ人だって大勢いる。事件の後、身の危険を感じてユダとルカは必死に逃げたが、その時見た世界はまさにこの国の裏側を映し出したかのような世界であった。
そしてそんな世界に身を潜めているうちに、ゼウス王への憎しみが募った。
「だから、絶対に奴を殺す」
ルカの瞳は、真剣だった。感情を顕にしたその瞳は、苛烈に輝いている。復讐と、その後に出来るだろう理想の世界の夢が彼を動かしているのだ。ゴウには、それが痛いほど分かった。
しかし。
「・・・だが、ルカ。俺は、王がそんな人だとは、まだ信じられない」
静かに、ゴウの首が左右に振られる。ルカはそれを無言で真っ直ぐ見ていた。ゴウはそっと顔を上げると、自分の周りに広がる天空王国の街並みを見回した。
「この国は、あの人に支えられている。他国の侵略がない、平和な国だ。王は自分にできることを精一杯しているということも、俺は知っている。・・・それに、やはり俺はあの人に救われたんだ。俺が今、国民を守れる今の地位にいるのも、あの人のおかげだろう」
ゴウは多くの人を守りたかった。そのために軍に入った。ゴウの力を認め、今の地位に就けてくれた王のゼウスに、ゴウは感謝している。
「・・・しかし今の話を否定できる要素を、俺は持ち合わせていない。火事についても、王の仕業だとは言い切れないし、そうでないとも言えない」
彼の中で強い決意が固まる。ゴウの瞳に、力強い光が宿った。
真実を、見極める必要がある。第三軍隊隊長として、ゴウは自分の目で真実を確かめたいと思った。
例えその先に、何が待っていても。
「だからルカ。俺は、お前の敵にはならない。だが・・・味方にもならない。今は、王を信じたいんだ」
ルカが不利になるようなことは、しない。しかし王は守り続ける。それがゴウの出した答えだった。今の話も、勿論自分の胸の中に秘めるつもりでいる。
真実を知るまでは、王を信じたい。
「俺は、王を守り続ける。・・・話してくれて、ありがとう」
最後に、ゴウは感謝の言葉を口にした。ルカは黙って彼を見ていたが、やがて静かに瞼を伏せる。
分かっていた。きっと、彼ならそう言うと。
しかし、ゴウは最後までルカを信じてくれた。ルカが黙って歩き出した時も、そのまま付いてきた。罠でない保障はどこにもなかったのに。
だからルカも、ゴウを信じた。過去の話をしたのは、その証だった。
それでも、敵にならないと、そう言ってくれたゴウの言葉が、嬉しい。
「・・・味方にも、敵にもならない、か。ゴウは本当、変な奴だな」
薄く、微かにルカは笑う。ゴウは何気なく呟かれたその言葉に、思わず目を見開いた。
「・・・やっと、名前で呼んでくれたな」
呟かれた言葉が、風にかき消される。ルカにその言葉は届かなかったが、ゴウはそれで満足だった。
無意識だったのだろうが、ルカは今日一度もゴウの名を口にはしてくれていなかった。今、やっとその名を呼んでくれた。
その意味を理解して、ゴウは表情を緩ませる。
「・・・ルカは、初めて会った時から俺が軍人だと、知っていただろう?」
唐突に始まった会話に、ルカはゴウを見上げた。ゴウは不思議そうなルカの顔を見つめ返しながら、言葉を繋げる。
「軍人だと分かっていたのに、お前は俺に何も聞かなかった。利用することも、殺すことも簡単だったのにも関わらずだ」
聞いてきたのは、一度だけだ。脅迫状が届いて、城が騒がしかった時。一体何があったんだ?と、それだけ。
しかも、ゴウが躊躇う素振りを見せれば、彼はそれ以上突っ込んだことは聞かずあっさりと身を引いた。
「あれだって、俺に忠告してくれたんじゃないのか?」
あの時、危ないことはしないで欲しい、と、ルカはゴウの目を見て真剣に告げていた。何故あそこまで心配してくれたのか不思議に思っていたのだが、後で考えてみれば意外と単純だった。
ルカは、数度瞬きを繰り返す。しかしふ、と口元に笑いだけを浮かべて、彼はゴウの脇を通りすぎた。
「買いかぶりすぎだ、ゴウ」
ぽつり、と、擦れ違う時聞こえたルカの言葉に、しかしゴウは満足そうに肩をすくめる。振り返ってルカを視線で追いかければ、屋上の出口に向かうルカの姿が見えた。
「ルカ!」
呼ぶが、彼は振り返らない。ゴウは構わず続けた。
「また、会いに行ってもいいか?第三軍隊隊長としてではなく、ただのゴウとして」
ルカの足が、止まる。
彼はそのまま数秒立っていたが、おもむろに首を回し、ゴウに視線だけを向けた。
二人の視線が、重なる。
「・・・私は大抵、昼間はさっきのように路地をうろついている」
どこかで聞いたような台詞だけ残して、彼は去った。ゴウは笑顔で、その背を見送る。
これから何が起こるかは、分からない。でも少なくともゴウは、この瞬間に満足を感じていた。


そんな二人のやり取りを、出入り口の陰から見ている者がいた。
しかし彼、ユダはルカが出口に向かう少し前に、そっと身を引いて静かにその場を去っていった。


ビルを後にしたユダは、しっかりとした足取りで路地を進んでいく。住み慣れた、と言ってはおかしいのかもしれないが、それでもユダにとって路地はすでに地元になっていた。
ルカがゴウに真実を話した。その意味を、ユダはよく理解している。初めてゴウを見た時、彼の隣に立つルカの表情を見て、いつかはこうなるようなことも予想できていた。
ふ、と零れた自嘲の笑み。やがて道を左折したユダは、意外な人物をその先で見つけた。
「・・・久しぶりだな、キラ」
視界に入ったその人物、第三軍隊副隊長であるキラにそう声をかけ、ユダは足を止める。キラは特に驚いた風でもなく、ユダを見つめ返した。
キラの緑の瞳に、ユダの姿が映る。
ユダはキラの表情から、彼の言いたいことを察した。ユダの顔を、悲しげな笑顔が彩る。
「やはり、気付いていたんだな」
「ああ。・・・国王暗殺の予告状を出したのは、貴方だろう?」
ずばり、核心を突いてきた言葉に、ユダは自分の予想が正しかったことを知る。誤魔化すでもなく諦めたように、彼は溜息を吐き出した。
「いつから、気付いていた?」
ユダが問いかければ、キラは少し気まずそうに「最初から」と呟くように答える。キラは少し顔を伏せるようにユダの足元を見た。
「予告状が届いたのを知った時から、嫌な予感があったんだ。上司が銀髪の男を見たとも言っていたし、まさかと思って」
銀色の髪は、ルカの特徴だ。だから、ユダのこともすぐに頭に浮かんだ。だけどすぐにそれを打ち消して、出来るだけ気にしないようにしていた。
しかし事件の当日から、変わったゴウの様子に、キラは予感を確信に変えてしまった。
「まさか、また貴方に会うとは思っていなかった」
「・・・そうだろうな」
それはユダも同じだった。過去のあの瞬間、離別してしまったあの時から、もうその金色の髪を視界に止めることもないと、そう思っていた。
しかしまさか、キラが軍人になっているとは予想もつかなかった。
「それで、俺を止めに来たのか?」
会いに来た理由を問えば、キラの首が横に振られる。静かな彼の表情が見えた。
「どうせ、止めても無駄だろう?・・・貴方はルカさんを裏切れない」
言葉は強く、その場に響いた。ユダは否定するでもなく、その場に立って悲しそうな笑いを浮かべている。それだけでキラには十分答えが見えていた。
キラの唇が強く引き結ばれる。瞳が揺れて、今にも泣き出してしまいそうな顔だった。
「キラ」
ユダの腕が伸びる。キラのすぐ傍まで伸びてきたそれに、しかしキラは微動だにしなかった。
ユダの腕に、キラの体が包まれる。
「キラ、愛している」
耳元で囁かれた愛の言葉に、キラの涙が堪えきれず零れた。顔を歪めて、キラは彼に縋るように身を寄せる。
「・・・貴方は、卑怯だ」
「ああ、そうだな」
なのに。
なんで。
「・・・なんで、俺はまだ貴方を愛しているのだろう・・・」
二人は顔を見合わせて、顔を寄せ合った。重なった唇に、キラはまた涙を零しそうになる。
懐かしいキスの味は、昔と変わらず、キラの胸を締め付けた。


日が沈む。赤色に染まった空の下、ゴウはどこかおぼつかない足取りで城へと帰った。
ルカの前では気丈に振舞ったが、本当は告白された話の内容に、いまだ頭が付いていけないでいる。
十年以上前の火事。ユダの両親。ゼウス王の政策。ルカの真剣な眼差し。
頭の中をぐるぐると回るいくつかの出来事に、ゴウは混乱を隠せない。それでもなんとか城に帰ってきた彼は、門の所に立っている人物を目に留めて、思わず自分の目を疑った。
「リュウ?お前、なんでこんな所にいるんだ?」
リュウ、と呼ばれた軍服姿の男は、ゴウの姿を認めたのか組んでいた腕を解いた。
シェルにそっくりな顔立ちの男である。長い髪は漆黒の色をしていて、シェルと同じくらいの位置まで伸びていた。瞳の色は鮮やかな紅。色だけなら花のように美しい色のそれは、しかし鋭い目元のせいか、過度な華美の印象は受けない。無邪気な表情をするシェルとは違い、クールな表情を浮かべる彼は、実はシェルの双子の弟であった。第一軍隊副隊長でもある。
「珍しいな、お前がシェルの傍を離れるなんて。どうかしたか?」
言ってから、そういえば今日はシェルも一人であったことを思い出す。それからシェルに土産を頼まれていたことも一緒に思い出された。
まずい。ルカのことで頭がいっぱいだったから土産のことをすっかり忘れていた。
内心で焦るゴウを気にすることなく、リュウはゴウの問いかけに対して口を開く。
「シェルがゴウを待っている。俺はあいつに言われて、お前を迎えに来たんだ」
リュウの言葉に、ゴウはますます焦った。これはシェルに土産を催促されているに違いない、とゴウは困ったように頭を掻く。
「あー・・・リュウ、悪いんだが土産のこと、すっかり忘れていて・・・」
しどろもどろになりながらも、ゴウは正直に忘れていたことを彼に話す。
しかしリュウは訳が分からないかのように眉を顰め、違う、と首を左右に振った。
「シェルが、ささやかであるが皆でお祝いをしよう、と言い出したんだ。まあ、皆といってもシェルと、サキと、俺とお前、そしてキラぐらいだがな」
「は・・・」
祝い?
言われた言葉の意味が一瞬理解できなかったらしい。ゴウの顔が間抜けなものになった。一体何を祝うのか、と彼が首を傾げれば、リュウは続けて口を開く。
「今回の事件で、お前が大活躍、かつ生還したことのお祝いだそうだ」
この言葉に、ゴウはますます目を見開いた。
まさか、こんな話が出るとは思っていなかった。今まで何回か危険な任務にも付いたことはあるが、祝われるなんてことは初めてだったのだ。
その時ゴウの脳裏に出かける前の、シェルの顔がちらつく。
“何か困ったことがあったんならちゃんと言うんだよ?”
ああ、そうか。
気を、遣ってもらったのだ。
「・・・分かった。すぐ行くよ、リュウ」
笑って頷いて見せれば、リュウもそうしてくれ、と頷きを返す。そうして歩き出した二人は、やがてシェルの仕事場である第一軍隊隊長の部屋へと向かった。
リュウに促されてドアを開ければ、豪華な料理が並べられた机と、その周りにいるシェルとサキの姿が視界に入る。
「あ、ゴウお帰りなさい〜」
「おー、ゴウ。思ったより遅かったなあ」
明るい笑顔で迎えてくれた二人に、ゴウは肩の力が抜けるのを感じた。混乱していた頭が、一気に冴えたように感じる。目の前の暢気な二人の表情に、自然と頬が緩んだ。
すると、ゴウのそんな表情の変化を見取ったらしいサキが、ん?と首を傾げた。
「おいおい、何締まりない顔をしてるんだよ。隊長ともあろうものが情けないぞ」
「お前にだけは言われたくないな、サキ」
に、と悪戯っぽく笑って言い返せば、む、とサキが拗ねたような顔をする。隣ではシェルが相変わらずにこにこ笑っていた。
「うっわーひでえ。ったく、キラみたいな言い方すんなよな」
いつもキラに色々と言われているらしいサキは、大仰に溜息をついて頭の後ろで手を組む。自業自得だ、と傍観していたリュウは、そういえばキラの姿がないことに気付いて首を傾げた。
「・・・そういえば、キラはどうしたんだ?」
「あ?ああ、キラならさっきからずっと自室に篭ってるぜ。ここに誘ったけど何の返事もしねえし」
答えるサキに、リュウは不思議そうな顔をする。キラが自室に篭るなんて、珍しい。
リュウと同じことを考えていたらしいシェルは同じく不思議そうに首を傾げたが、ふとゴウを見て笑みを浮かべた。
「ゴウ、お土産は?今日は何を買ってきてくれたんだい?」
「あ。悪い、シェル。買ってくるのをつい忘れてしまったんだ」
「そうなのかい?残念だねえ・・・じゃ、今度買って来てね」
その時、その場の空気が突然固まった。
はっと自分の失言にゴウが気付いた時は、時すでに遅し。絶対零度のオーラを背後から感じ、ゴウは顔を青くした。サキも口元を引きつらせている。
「ゴウ・・・」
聞こえてきた声は、リュウのものだ。ただしその声は低く、淡々としていた。
「な、なんだ?リュウ・・・」
恐る恐るゴウは振り返る。本当は気付かない振りをしたかったが、その後のことを考えるとますます怖かったので、意を決してなんとか後ろを見た。
「・・・シェルの土産を忘れたとは、どういうことなんだ・・・?」
視線の先ではいつも無表情なリュウが、珍しいことに口元に薄い笑いを浮かべていた。
まずい。
「い、いや、その。だから、シェルに土産を頼まれていたんだが、すっかり忘れてしまったんだ。す、すまない!」
「へえ・・・」
リュウの絶対零度の笑顔が近付いてくる。ゴウはあまりの怖さに、無意識の内に後ろへ身を引いた。
日頃冷静沈着でクールなリュウは、兄のシェルが大好きだ。所謂かなりのブラコンなのである。そして、シェルのことになると彼はいつも以上に過敏に感情を表すのだ。
つまり怒らせると本気で怖い。
「りゅ、リュウ!落ち着いて話し合おう!な!!」
「俺は十分落ち着いているが・・・?」
「う、嘘をつけ!おい、シェル!何か言ってやってくれ!」
最後の頼みの綱であるシェルに、ゴウは振り返った。
ゴウの視線を受けたシェルは笑って、こう言ったのだ。
「リュウも楽しそうだねえ。よかったよかった」
「・・・これのどこが楽しそうなんだー!!」


未来に、何が起こるかは予想が出来ない。
だけど、皆幸せになれればいいと、ゴウは願っていた。
そう、言うなれば、いつかルカやユダを含めた皆で、こうやってわいわい騒げればいいと。
そんな夢にも近いことを、彼は考えていた。


 終


 これでやっと第一部が終了、と管理人的には思っています。一応宣言しておきますが第三部構成で十話完結の予定です。・・・多分(え)

 今回またまたキャラクター増やしました。オリジですが(苦笑)シェル君とリュウ君は文中にもありましたとおり双子です。昔に考えたオリジキャラでした。最初は登場させるつもりはなかったのですが・・・せっかくなのでゴウの上司をつくろうと思い登場です。これからちょくちょく出張ってきます。そして更にこれからどんどん登場キャラ増えます(え)全員出せるかは分かりませんが、とりあえず管理人好みのキャラはどんどん出てくると思いますのでそのつもりで(笑)

 次のお話は予定通りにいけばキラが目立つものになると思います。ちらほらキラの過去が明らかになるかも・・・?ユダとキラに昔何があったのかもおいおい明らかにするつもりではいます。・・・飽きられないよう頑張ります・・・!!





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