可愛い歳上天使のイジメ方(キラユダルカ)

保管庫(SB)


*濡れ場があります。むしろ濡れ場しかありません。*
*メインの四人はまるで別人です。*
*一応オール出演ですが、出番は偏っております。*
*ストーリー性らしきものは皆無といっても過言ではありません*

以上を踏まえまして、それでも興味がある方だけご鑑賞していただきたく思います。それではどうぞ。




『放浪天使の可愛い年上のイジメ方』 キラルカ&マヤユダ

両開きの窓を同時に開き、レイはその瞳を輝かせた。
「わあ、すごくいい天気!!ほら、シンも見て下さいよ!」
後ろで読書をしているシンにレイが声をかければ、シンはゆっくり一拍置いた後、その顔を上げる。
「ああ、本当ですね」
顔を上げた瞬間飛び込んできた眩しい日光に、シンは思わず目を細めた。
窓の外に広がる青空は、気のせいかいつもより輝いて見えた。空に浮かぶ白い雲がゆったりとした速度で流れているのに、ちょっとした安心すら感じる。
シンの目元が少しだけ優しくなったのを見て、レイもその笑みを深めた。
「ねえ、シン。せっかくですから今日は、外でお茶会でもしません?」
「お茶会ですか?」
聞き返すシンに笑顔で頷き、レイはその背中に流れている長髪を揺らす。
「だってこんなに綺麗な青空、見てるだけなんて勿体無いじゃないですか。皆を誘って、青空の下でお茶を楽しみましょうよ」
わくわくと肩を揺らす親友に、シンも思わずその表情を緩めながら「いいですね」と、賛成の言葉を口にした。
たまには仲間皆で、そんな楽しそうな時間を過ごすのもいいかもしれない。
「それじゃ決まりです!早く皆を呼びに行きましょう!」
身を翻して歩き出したレイを追いかけるように、シンもその腰を上げた。
さあ、楽しいお茶会の始まりだ。


と、いうわけで。
シンとレイのお茶会に誘われた一人、ユダは、他の者へと声をかけるべく歩みを進めていた。向かっているのは、キラとマヤの家である。
シンはユダのお茶会参加意思を確認した後、ゴウとガイを呼びにいき、レイは早速お茶会の準備を始める為に、一度戻っていった。
そんなわけで一人颯爽と歩いていくユダ。しばらくすると見慣れた景色の中に目的の場所が見えてきて、彼はその歩調を少し緩める。
「・・・・・ん?」
ふいに、ユダの眉根が寄った。彼は緩めた歩調を再度加速させてキラとマヤの家に近付き、はあ、と呆れたように溜息をつく。
「・・・なんて無用心な・・・」
彼が呆れている目の前には、開けられたままになっているドアがあった。家とドアの間には、微妙な角度で隙間がつくられている。
いくら天界は地上と違っても、これはさすがに駄目だろう。
もともときっちりした性格をしているユダにとっては、大問題の出来事である。
「キラ、マヤ。いるのか?」
ドアの隙間に手を差し込み、ユダはドアの隙間を広げながら中に声をかけた。しかしすぐに空っぽのリビングが視界に入り、ユダはその眉をしかめる。
「・・・留守なのだろうか」
一人で呟きながら、心の中で断りをいれて、ユダは家の中に一歩足を踏み出す。中でもう一度辺りを見回してみたが、やはり誰も視界には入らない。
「・・・・・」
誰も家にいないのに、ドアが開けられたままになっていたのか。いや、いくらなんでもそれは無用心にもほどがあるだろう。
無言で表情を苦くするユダ。しかしそんな時、ふいに二階から人の話し声が聞こえてきた。
「・・・・・」
顔を上げて、ユダはその耳を澄ませる。もう一度聞こえてきた微かな声に、彼は肩を落とした。
「・・・なるほど、二階か」
納得したように呟いて、彼は近くの階段に足をかける。いつも静かな足取りで歩くユダなので、階段を上がっても足音はほとんどしなかった。
何段か上れば、長身な彼にはすぐに二階の廊下が見えてくる。するとその廊下の上に、目的の人物のうちの一人が立っているのが視界に入った。
マヤだ。
ユダはすぐに彼に声をかけようとしたが、やめた。理由はマヤが、明らかに不審な行動をとっていたからだ。
並んでいるいくつかのドアの、そのひとつの前で立ち尽くし、マヤは両手を壁とドアにそれぞれくっつけていた。大きなその瞳は目の前のドアを真剣に見つめている。もしかしたらドアの向こうの何かを見つめているのかもしれない。心なしかその場には少々緊迫した空気が流れていた。
一体なんだろうか。ユダは一度首を傾げると、先程以上に足音を消して、マヤへと近付く。
「マヤ」
「わっ」
そっと声をかければ、マヤは予想以上に肩を震わせて驚いた。小さな声で悲鳴を上げて、丸くなった瞳をこちらに向ける。
「ユダさん」
目の前の人物の姿をその瞳で確認して、マヤは呟くようにその名を呼んだ。
先程から明らかに声を抑えて喋る彼に、ユダの疑問が膨らむ。
「マヤ。・・・お前は一体、何をしているんだ?」
「え、とね・・・えへへー」
ユダの問いかけに、マヤは得意の誤魔化し笑いを浮かべる。これはますます怪しい。
「・・・・・」
まさかまたいたずらをしているのだろうか。
ユダは脳裏に浮かんだ可能性に眉をしかめ、再度問いかけようと口を開く。
その時。
「・・・んあ・・・っ。やっ・・・キラ・・・!」
隣から、突然声が響いてきた。
思わずユダの動きが止まる。マヤと共に声につられて振り向けば、そこにあるドアがほんの少し開けられているのが視界に入った。
声が扉の向こうから続いて響いてくる。
「あ、ああ・・・っ。んう・・・キラ、少し待、て・・・っ!」
「待てない」
「んあ・・・っ!!ちょ、ほんと・・・もう、無理・・・っ!!」
「無理じゃないでしょう?ここも、またこんなに濡れているのだから・・・」
「あ・・・!や、あう・・・言うな、馬鹿・・・っ。・・・ああ・・・!!」
聞こえてくる声を聞けば聞くほど、ユダの顔が強張っていった。
声の主は、二人だ。片方はユダの親友のルカの声。そしてもう一人は名も呼ばれているし、キラに間違いないだろう。しかしこれは。
ゆっくりとした動作で振り向き、再度マヤへと視線を向ける。目の前のマヤはユダの視線を受け、あ。ばれちゃった。といった感じの笑みを浮かべていた。
「マヤ、お前・・・!」
小声で、しかし声を荒立てるユダに、マヤの顔にお茶目な笑みが浮かぶ。
「・・・えへ?」
「えへ、じゃない!お前一体何をして・・・」
「何って・・・大人の勉強?」
「ただの覗きだろう!」
「もう、分かってるなら聞かないでよ。ユダさんの意地悪〜」
「そんな問題じゃない!」
声を抑えて二人は言い争う。ユダはとりあえずここを離れようと、マヤの手首をみ、問答無用で彼を引きずり出した。
しかしやはりマヤから苦情の声が上がる。
「ユダさん離して〜!!」
「駄目だ」
「む。大体、ユダさんどうして家に来たの?」
「シンとレイがお茶会をやるそうなんでな。お前達を呼びに来たんだ」
「えー。それじゃあ、僕だけじゃなくてキラ兄さんとルカさんも呼びに来たんでしょう?」
「取り込み中のようだからあの二人はいいんだ」
「むう」
納得のいかない様子のマヤを、しかしそれでもユダはじりじりと外へと連れ出そうとする。
しかしその時、また向こうの方から一際大きな声が響いてきた。
「ん、あ・・・あああああ・・・っ!!!」
あまりにも大きく響いたその声に、ユダの足が無意識のうちに止まる。マヤはそれを合図にユダの手から逃れると、再び例の扉の前に立った。
「・・・っ。こら、マヤ!」
あくまでも小声で、声を張り上げるユダ。しかしマヤは無視して、そろそろと扉の隙間に顔を近付ける。
中を覗き込んだマヤは、「わあ」と声を上げた。
「すごいねえ、あの二人。また挿れちゃった。もう三回目なんだよ?」
「・・・・・」
実況中継するな!
そう怒鳴りたいのをなんとか堪え、ユダはマヤに向き直る。
「いい加減にしろ、マヤ。人の嫌がることはするべきではない、といつも言っているだろう?今は二人をそっとしておいて、俺と一緒にお茶会に行くんだ」
「えー・・・。だってこっちの方が面白そう」
「でも駄目だ」
「むう。・・・でも、別に僕がやっていること、誰にも迷惑かけてないよ?」
「でもマヤがこんなことしていることを知ったら、キラもルカも嫌な気分になるはずだろう?」
「・・・キラ兄さんは別に嫌な気分にならないと思うなー。むしろ平然と笑ってそう」
「・・・・・」
マヤの言葉に、ユダも確かに、と思わず黙り込む。あのキラならやりかねない。
「・・・少なくとも、ルカは嫌がるはずだ」
「うーん・・・。でもやっぱやだ!!僕ここにいる!」
「・・・マヤ、お前な・・・」
どうすればここから去ってくれるだろうか。
ユダはなんとかマヤを連れ出そうと、ああだ、こうだ、と様々な言葉で説得を試みるのだった。
その間にも扉の向こうの空気が、着々と濃さを増していくとは知らずに。


ぎし、とベッドが軋む。
ルカは奥へと入り込んでくる熱いものに、その表情を固くして目の前のキラを見上げた。
「んん・・・キラ・・・あ、ああ・・・!」
手を伸ばし、キラの首に巻きつけ、引き寄せる。解けて消えていってしまいそうな体があまりにも不安定に思えての行動だ。
キラは素直にルカに引き寄せられながら、その腰を進める。
「あ、ああ・・・ん、あっ!」
「・・・ルカさん」
名を呼べば、彼の甘い吐息がキラの耳をくすぐった。
「キラ・・・っ」
もう、無理。
囁くように、また先程と同じ言葉を繰り返すルカに、キラの唇が笑みを浮かべる。
「まだ、奥までいってないけど?」
「だけど・・・ああ・・・っ!」
ず、と更に奥へと進む熱い塊に、ルカの喉が仰け反る。
ついさっきも、その更に数分前も、ルカはキラと体を重ねた。何度も繰り返される激しい行為は、ルカに強い快楽与える。しかしそれに伴って重たくなっていく体に、ルカは限界を感じていた。
「あ、や・・・キラ、本当にこれ以上は無理だ、って・・・んあ・・・っ!!」
ルカが体から力を抜いた瞬間に、焦らすように進んでいたキラ自身が、一気に奥まで貫いてくる。
最奥まで行き着いたそれに、ルカは腰を震わしながら縋るようにキラへと体を寄せた。
「疲れてきた?」
ルカの背中に優しく腕を回しながら、キラは問いかける。
当たり前だ、と少し恨みがましく彼を上目遣いでにらみつけてやれば、しかしキラはその顔に笑みを浮かべた。
「でも、気持ちいいんでしょう?」
「・・・・・」
ルカはその問いかけには何も答えなかった。無言でそっぽを向き、悔しそうな顔で馬鹿、と声に出さずに呟く。
キラはこんなときでしか見られない恋人の愛らしい仕草に、ますますその顔を綻ばした。
そっと、啄ばむようなキスをその唇に繰り返す。ルカもこれには瞼を閉じて、ちゃんと答えた。
それと同時に、止まっていた腰の動きを再開する。
「ん・・・あ、あ・・・っ」
最初はゆっくりと。しかし少しずつ激しくなっていくその動きに、キラの首に回されたルカの腕の力が、無意識のうちに強くなった。
「あ、あ、あ・・・んひゃ・・・っ!!んん・・・っ」
髪を振り乱し、声を上げる。ルカの背中の下で白いシーツが、彼らの動きに合わせて皴の形を変えていた。
それがまた、妖しくていやらしい。
キラの唇に笑みが浮かぶ。
「ん、んあ・・・っ!!ああ・・・っ」
ルカの先端は蜜を溢れ出していて、そろそろ絶頂が近いことを伝えた。
「あ、あ、あ・・・キラ、もう・・・ああ、あ・・・っ!!」
腰を揺らしながら、二人の息が上がっていく。
キラは汗を滴らせたその顔ににやり、と笑みをつくると、ルカの腰を勢いよく引き寄せた。
ルカの息が一瞬詰まる。
「あ・・・あああああ・・・っっ!!!!!」
甘い悲鳴がルカの口から零れ、彼は果てた。ほぼ同時に中でキラも弾け、生温かな感触がルカの奥で広がる。
「・・・・・」
絶頂を迎えて、ふ、と一息ついてからキラは己をルカから抜いた。そしてそのまま彼は隣で丸まっていたシーツを自分達にかけ、ルカの上に倒れこむようにして崩れる。
二人は無言で重なり合ったまま肩を上下させた。もはや慣れてしまった気だるさが、心地いい一瞬だ。
「き、ら・・・」
「ん?」
呼びかければ、キラの顔が上がる。
汗で張り付いた前髪をかきあげながら彼は一度微笑み、ルカの唇に優しくキスを落とす。
「・・・気持ちよかった?」
「・・・ん」
呆然とした頭のまま、ルカはそのキスを受けていた。柔らかな感触が心地よくて、瞳が自然と細くなる。
その時、ルカの瞳が横に動いた。特別意識したわけではなく、ただなんとなく、無意識のうちにそっちの方向に視線を向けただけだった。
しかし。
「・・・・・っ!?」
ルカの目が大きく見開かれる。彼は反射的に繰り返されていたキラの口付けを拒むと、そのまま叫んだ。
「ま、マヤ・・・!?いつからそこに・・・!!」
頬を染めて、ルカは顔を強張らせる。
扉の向こうでマヤの大きな緑色の瞳が光った。
「あーばれちゃった。もう、ユダさんのせいだよ」
扉の外で視線を上げて隣を見上げるマヤに、ルカの頭がますます混乱する。
「な、に・・・?」
ルカの声が聞こえたのか、マヤは一度満面の笑みを浮かべると、扉を大きく開いた。広がる隙間に、口元を手の平で覆って立っているユダの姿が浮かぶ。
「ゆ、だ・・・」
「・・・すまない、ルカ」
マヤと違って視線こそこちらに向けていないものの、ユダの表情に苦いものが浮かんでいるのを見て、ルカの頬がますます赤色になった。
呆然と何も言えないでいるルカに、キラはにやり、と意地の悪い笑みを浮かべる。
「あーあ。こら、マヤ駄目だろ。覗き見するなら最後までばれないようにしなきゃ」
羞恥で固まっているルカに更に体を寄せ、キラはマヤに声をかけた。マヤはそんな兄の言葉に「はーい。ごめんね、兄さん」などと無邪気な笑みを浮かべて答える。
「キラっ!」
裸の体を密着させてくるキラに、ルカは戸惑いの声を上げた。しかしキラはそんなのお構いなしでルカの頬に自分の髪が触れるくらいまで顔を近付け、目線を彼とあわせる。
「なに?このまま、またする?」
さら、と告げられる言葉に、ルカの表情が強張った。キラの瞳は本気だ。このまま余計なことを言ったら、本当にまた体を重ねることとなる。
本能でそれを悟ったルカは、その口をつぐんだ。キラは満足そうに一度彼に微笑みを向け、そして視線を滑らし扉の向こうの二人に魅惑的な流し目を向ける。
「それにしてもユダさんもそこにいるとは・・・。どうです?感想があれば聞きますが」
意地悪なキラの問いかけに、ユダの表情が苦くなった。
「別にここにいたくていたわけじゃない。大体俺に覗きの趣味があるわけないだろう」
「ああ・・・そうでしたか。いや、てっきり親友であるルカさんのことを心配して覗きに来たのかと思いました」
「ルカのことは大切だが、別に心配するようなこともない。仮に心配していたとしても、覗きなどという悪趣味なことはしないさ」
「悪趣味・・・ねえ」
どことなく挑発的な二人のやり取りに、キラの下でルカの表情がはらはらとしたものに変わる。
しかしキラはそんなことに気付いていないかのようにくすくすと笑みを零し、視線をユダからマヤへとスライドさせた。
キラの笑みが深まる。
「ああ、そうだ。マヤ、お前も駄目だろう?こんなことしちゃ」
「はあい。キラ兄さんごめんなさーい」
「それで?お前もユダさん同様感想なしか?」
「まさか。キラ兄さん達すっごく熱くて激しくてすごかったと思うよ。羨ましいなあ、そんなにラブラブで」
愛らしい笑顔ですごいことをさらりと口にするマヤに、ユダの表情は強張り、ルカの頬が羞恥に染まった。
しかしキラは相も変わらずにやにやとした笑みで、マヤへと更にすごいことを告げる。
「羨ましい、ね。それじゃあお前も、俺とルカさんの仲間に入るか?」
「え、いいの?」
「ああ」
「キラっ!?」
「お前、何を言っているんだ!!」
キラの言葉に慌てたのは、ルカとユダだ。
しかしキラはそんな二人の声を無視して、シーツの下でルカの裸体にその手を這わし始める。胸元をうごめく手の平の感触にルカは目を見開き、慌ててその腕を突っぱねた。
「ちょ、キラ!!・・・んぅ・・・っ」
苦情を口にすれば、唇で口を塞がれる。深く何度も口付けられて、しかしそれでも抵抗を示すルカに、キラはシーツの下で膝頭を使い、彼の足を割り開いた。
「ん、んん・・・っ!!」
「おい、キラ!!」
見ていられなくなったユダも、思わず声を荒げる。彼の手は、ベッドに本気で向かおうとするマヤの腕を掴んでいた。
キラはユダの声に一瞥をくれただけで、行為をやめようとはしない。そこにユダに腕を掴まれ動きを制限されていたマヤが、ユダへと文句を零した。
「ちょっと、ユダさん。腕離してよ〜」
「そんな親友を見捨てるようなこと出来るか!!」
ぐわ、と歯を見せて怒鳴るユダにマヤはむう、と不機嫌そうな表情をしたが、しかし次の瞬間にっこりと輝かんばかりの笑みをその顔に浮かべる。
「それじゃあ、ユダさんが僕と遊んでね?」
「は?」
言われた言葉の意味が分からず、ユダの青い瞳が丸くなった。だがマヤは大して気にした風もなくその笑みを一度深めると、ユダに掴まれている自分の腕を思いっきり引っ張る。
「・・・・・っ!」
予想外のことに、ユダの体はいとも簡単に傾いた。慌てたユダは持ち前の反射神経でなんとか床に激突することは免れたが、次の瞬間、唇に柔らかな感触が触れる。
「・・・・・っ?」
驚きで目を見開くユダの目の前には、瞼を下ろしているマヤの顔があった。数拍の間ユダの思考が停止し、マヤにキスをされているのだと理解するまでに時間がかかる。
マヤはユダが固まっているその間に、舌を彼の口内に潜り込ませた。一瞬びくり、とユダの肩が揺れたが、マヤは彼の首に逃げられないように腕を回し、その舌を優しく絡ませる。
「ぅ・・・っ」
舌の感触に正気に戻ったユダは、マヤの肩をつかんで引き離そうとした。しかし、思った以上に細いマヤの体に、無意識のうちに力を加減してしまう。マヤはそれをいいことにユダから離れることなく、その舌を貪った。
「ん・・・っ」
ふいに、ユダの口内にマヤの舌以外の異物が入り込んだ。丸い、カプセルにも似た形のものだ。感触もそれに近い。そう認識した瞬間、ユダは顔色を青くして、よりいっそうマヤから唇を離そうと躍起になる。
マヤはそんなユダに唇の端を吊り上げると、ますます深く口付けた。
離れない唇に、ユダは困惑を隠せない。口内の異物を、飲み込むしかないのだろうかと思うと、嫌な予感が止まらなくなる。それだけは避けなければ、と思うのだが、どうしてもユダの望みが叶いそうにはなかった。
しばらくの間ユダとマヤは唇を合わせたままの攻防を繰り返していたが、結局負けたのはユダだった。彼が口内の異物をあきらめて飲み込めば、マヤの唇もやっと離れる。
「・・・何を、飲ませたんだ」
唇を離して、肩で息をしながら、ユダは眉をひそめつつマヤに問うた。
マヤは手の甲で唇についた唾液をぬぐうと、いつもの小悪魔的微笑をユダに向ける。
「いいもの」
それだけ告げて、マヤはユダを引っ張り、ベッドで彼を押し倒した。隣ではキラとルカがお楽しみの真っ最中だったが、ベッドは普通よりも大きいので、大して狭さは気にならない。
「お、おい!マヤ!!」
戸惑いを浮かべるユダの瞳を見下ろして、マヤは満足そうに笑う。
その瞬間、ユダの中で異変が起きた。
「ぁ・・・?」
大きく目を見開き、瞳を濡らして、彼は宙を見つめる。見る見るうちに頬は赤色に染まり、ユダの体が一瞬微かに震えた。
「な、なんだ・・・?」
体が、熱い。体内で熱が暴れ狂い、ユダを追い詰める。
ユダの変化にマヤは再度笑みを浮かべると、彼の下肢に手を伸ばした。服越しに指先で中心に触れてみれば、微かにそこが硬くなっているのが分かる。
「ユダさん、硬くなってるよ。ここ」
「ぁ・・・っ」
少し揉み解してみると、ユダは体を強張らせた。震えるユダをあやすようにそこを愛撫してやる。
「気持ちいいの?ユダさん」
「ぁ、やあ・・・っ」
腰をよじり、マヤの手から逃れようとユダは足掻いた。しかし力ないそんな抵抗は、非力なマヤから見ても、意味を成さない。
弄って、弄って、弄って。
形を成したユダの中心は服に大きな染みをつくり、ユダは羞恥で頬を染める。
「や・・・マヤ、やめ・・・っ」
「なんで?こんなに気持ちよさそうなのに」
ふ、とマヤの吐息がユダの耳にかかった。くすぐるようなその感触に、ユダは大きく腰を震わせる。
「あ、や、ぁ・・・あああ・・・っ!!」
思わぬ衝撃が体中に走った。ユダの熱を持った中心がその衝撃に耐え切れずに服の中で弾ける。
白濁の液がユダの服を濡らし、布地が水分を含んで重くなった。布に染み込みきらなかった液体はユダの太ももを伝い、肌を濡らす。
「ユダさん、早いね。もう出ちゃったんだ」
「・・・・・」
マヤはユダの濡れた服をみつめて、笑った。ユダは恥ずかしさに何も言えなくなる。
器用に下肢を覆う服を脱がして、マヤは湿ったユダの性器を目の当たりにした。外気にさらされた中心にユダは微かに腰を震わし、再び先端から蜜を零す。
一度放ったにも関わらず萎えないユダ自身に、マヤは楽しそうに笑みを零した。
「ここ、まだ濡れているね。感じちゃう?」
そろっと立ち上がったユダの中心の側面を撫でて、マヤは快楽に溺れきった顔をしているユダを見つめた。瞳を揺らしてマヤを見返すユダは、色っぽい。
マヤは表情を崩さないまま、ユダの中心を口に含んだ。
「あ・・・っ!!」
ユダの腰が驚いたように跳ねる。
舌を絡ませ、音を立て、それをしゃぶるマヤに、ユダの顔が歪んだ。
「ま、や・・・やめ・・・っ!!」
いたたまれなさに涙を零すユダ。
マヤはそんなユダに、それを銜えたまま唇に弧を描いた。


ユダとマヤの隣ではルカとキラも更に濃密な時間を過ごしていた。
濡れているルカの下半身でキラの手がうごめき、ルカはその感触に瞳を揺らしている。
「あ、んん・・・あ・・・っ」
慣れたその愛撫が心地よくて逆らえない。疲れきったはず体はルカの意に反して明確な反応を示す。
「ぅ、ん・・・あ・・・」
ふいに、ルカは隣を見た。ルカの視界に、マヤとユダの姿が浮かぶ。
マヤに蹂躙されているユダに、ルカの目が見開かれた。
「ゆ、だ・・・あ・・・っ!」
優しくルカを愛撫していたキラの手が、突然ルカの中心を握りしめる。痛みに思わず眉をしかめたルカは、反射的にキラへと視線を戻した。
戸惑うようにみつめてくるルカの瞳に、キラの口元が歪む。
「まだ、他を気にする余裕があるのか?」
そう言って、彼は再び優しい愛撫を再開した。手の中の熱い塊を焦らすように撫で上げ、先端に舌を這わす。
「ん、あ・・・あ、あ・・・っ」
ルカは甘い快楽にすぐに溺れそうになる。しかし疲れきった体は重たく、ルカは瞳を濡らしながら何度もキラにもう無理だ、と言葉を漏らした。
「ルカさん」
唐突に、キラが自分の名を呼んだのをルカは聞いた。
熱い吐息を零しながら視線を動かせば、キラが笑いながらそばの棚に腕を伸ばしているのが見える。
「き、ら・・・?」
名を呼べば、視界をその大きな手で塞がれる。暗く、何も見えなくなった目の前の世界にルカが驚きで肩を揺らせば、耳元にキラの唇が寄せられた。
「・・・せっかくユダさんも楽しんでいるんだ。もう少し貴方と一緒にいたい」
甘い、笑みを含んだ囁きに、腰が震える。低い掠れた囁きは、確かにルカを熱くした。
しかしそれでも抵抗の言葉を零すルカに、キラはとどめにその唇へと深い口付けを与える。暗闇の視界の中で、ルカはキラの舌が口内に入り込んだことを認識した。
慣れた熱い舌の感触に、思わず安らぎを感じる。しかしルカは次の瞬間、硬い、小さな塊が口内で転がっていることに気付いた。
反射的にルカはキラの口付けを拒む。彼はこの小さな塊がどういうようなものかよく知っていたのだ。
媚薬。しかも、キラが作った。
今まで、何度となくキラにそれを飲まされたルカは、その効果をよく理解している。いつも以上に強い快楽を引き出すそれを、ルカはあまり好んでいない。・・・と、いうよりも我を忘れるくらい乱れてしまうのがただ恥ずかしいだけなのだ。キラもルカが恥ずかしがっているだけであることを見抜いているので、こんな風にルカが油断した時、よくふいをついてルカにその薬を飲ませる。
そこまで考えて、ルカは気付いた。隣のユダも同じようなものを飲まされた可能性に。
いつものユダなら、ここで快楽に流されるようなことはない。だからこそ、マヤに好き勝手されている今のユダを、ルカは頭の隅で不思議に思っていた。しかし薬をマヤに飲まされたのなら納得がいってしまう。
ルカは自分の考えに思わず渋面をつくると、ますます激しくキラの口付けを拒んだ。
しかし、重たい体では思った以上に力を出せず、ルカの抵抗をキラはやすやすと抑えて口付けを深くする。
「ふ、んん・・・ぅ」
頬に零れ落ちる唾液。
どれだけ離れようとしても執拗に合わさってくる唇。絡み合う舌。
「ぅ、ぅん・・・ん・・・っ」
ふいに、キラの指先がルカ自身の先端を引っかいた。
「っ・・・!!」
思わぬ衝撃に、ルカは抵抗していた舌の動きを止める。そのまま口内の唾液を、思わず飲み込んでしまった。
喉に塊が流れ込んだ感触がする。
キラは目の前でルカの喉が鳴ったのを確認して、満足そうにやっとその唇を離した。
「き、ら・・・っ!」
唇が離れて、ルカは目の前で笑う彼に文句を述べるべく、口を開く。しかし次の瞬間出かかっていた文句がルカの喉で詰まり、代わりにその赤い瞳が揺れた。
「ぁ・・・っ」
熱が奥から流れ出てくる。頬は上気し、その赤い瞳が蕩けそうなほど甘くなっていく。
キラはルカの突然の変化に笑みを深めると、一度離れていた体を、彼に密着させた。
ルカの腰がびくりと跳ね、ルカはキラをみつめる。キラはその瞳を愛おしそうに見つめながら、彼の頬を撫でた。
「・・・欲しい?」
簡潔な問いかけに、再びルカの瞳が揺れる。彼は何度か逡巡し、しかし最後には諦めたように自分からキラへ体を摺り寄せた。
「キラの、好きにしていい・・・」
甘いその囁き。
キラは甘い、そして深い微笑と共に彼の唇へとキスを落としたのだった。


その頃。キラとマヤの家のそばの木陰では。
「・・・もう、ユダ遅いな・・・。何してるんだろう?」
何も知らないシヴァがいつも通りユダウォッチングをしていた。
ユダがレイやシンにお茶会へと誘われたのはシヴァも知っている。そして、ここ、キラとマヤの家に来たのも、あの兄弟をそのお茶会とやらに誘うためなのだということも、シヴァは分かっていた。だからこそ、なかなか出てこないユダに疑問を持っているのである。
「またキラやマヤがユダに迷惑をかけているんじゃないんだろうな・・・」
あながちはずれではない。
それにしてもそわそわと木陰で肩を揺らしているシヴァは、いつものことながら不審である。
そんな彼に、ふいに後ろから声がかけられた。
「シヴァ」
穏やかながらも、嘘臭い爽やかさを含んでいるその声に、シヴァの体が異様に大きく震える。
「パンドラ・・・」
引きつった笑みを浮かべながらシヴァが振り向けば、予想通りの笑顔がそこに浮かんでいた。
肩にいつもと同じようにパールを乗せている彼、パンドラは、シヴァの引きつった口元に気付かないよう小首を傾げ、口を開く。
「こんなところで、何をしているのです?」
「べ、別にお前には関係ないだろう!」
「おやおや、つれない方ですね・・・。ねえ、パール」
わざとらしく目を見開いて驚きを示し、パンドラは肩のパールへと視線を落とした。
パールは何度か角度を変え小さな頭を傾げると、「そうだね、パンドラ」と高い声で答える。
「まあ、聞かなくても別に分かりますからいいですけど。どうせ、ユダ殿を追いかけてきたんでしょう?」
パールから視線を外し、再度シヴァを見つめるパンドラの言葉に、シヴァは「ぐ」と言葉を詰まらせた。
分かっているなら聞くなよ!と突っ込みたいが、相手がパンドラなので我慢する。
「それで?一体何の用なのさ」
早くパンドラに帰ってほしくてぶっきらぼうにシヴァは問いかけた。
パンドラは「そうそう」と楽しそうに手をたたくと、シヴァのその腕をとる。
「さ、行きましょう」
「って、どこにだよ!」
突然シヴァを引っ張り出したパンドラに、シヴァは思わず戸惑いの声を上げた。
パンドラはそんなシヴァに振り向くと、その顔ににっこりと微笑を浮かべる。
「どこ、って神殿そばの噴水ですよ?」
「なんでそんなところに僕が行かなきゃいけないのさ!」
「どうせレイ殿たちのお茶会には誘ってもらえなかったのでしょう?」
唐突なパンドラの言葉に、真実を突かれてシヴァはう、と怯んだ。
パンドラの言葉は続く。
「シヴァが寂しい思いをしないようにと、パールと一緒にささやかですがお茶会を開いてあげることにしたんですよ」
「え」
「神殿近くの噴水のそばでね」
補足するように言葉を付け足すパール。
パールまでもがそんな風に言うなら、嘘ではないのだろう。
思わぬ展開にシヴァの目が丸くなる。
パンドラはそんなシヴァにまた一度微笑みを向け、再び彼を引きずり出した。
「さ、さくさくと歩いて、向こうでお茶会を始めましょう」
ずりずりとシヴァを連行していくパンドラに、しかし今度は、シヴァも文句の言葉を上げなかった。
大人しくパンドラに手を引かれ、彼はとてとてと歩みを進める。
うつむき加減のその幼い顔が、うっすらと桃色に染まっていたのを、パンドラの肩からパールは発見していた。


「う・・・んあ・・・っ」
ゆっくりと、しかし確実にその腰を進めてくるマヤに、ユダは苦しそうに息を吐き出した。
「ユダさん、苦しい?」
「う、あ・・・んん・・・」
「もう聞こえてないのかな?」
くすくす、と愛らしい笑みを零しながら、マヤは目の前で四つん這いの格好のユダを見下ろす。
ぐずぐずに蕩けたそのユダの中に、マヤはすでに入り込んでいた。四つん這いは、自分より体の大きな者を攻めるのに一番楽な体位である。意識が朦朧としているユダにその格好をさせるのは、実に容易かった。
「ふ、ああ・・・あう・・・っ」
閉じることを忘れたかのようにユダの口は開きっぱなしになっている。口内から溢れ出る唾液はユダの頬を汚し、白いシーツにしみをつくっていた。
それを視界の隅に止めたマヤは、その大きな瞳を細める。汗で濡れた顔が、艶かしい色で彩られた。
「ねえ、兄さん。ユダさんってば口が寂しいみたいだよ」
マヤの視線が隣に移る。キラは、ルカを見つめていたその瞳を弟へとスライドさせた。キラももうルカの中に入っているらしく、ルカはキラに向き合う形で、その膝に跨っている。上体を起こし、ルカの腰を揺らしていたキラだが、弟の言葉に口端を上げた。
「へえ・・・それは可哀想だな」
彼はわざとらしく哀れみの言葉を口にする。
そしてそのまま欲望で瞳を濡らしているルカを見上げ、キラは彼の腰をみ直した。
「あ、ぅ・・・」
ふる、と腰を震わすルカに、楽しそうな笑みを浮かべて、キラは彼の体を反転させる。
体内をえぐるように一周するキラ自身に、ルカは高い悲鳴を上げた。キラはルカを後ろから抱きしめると、再度マヤに視線を投げる。
「これを、銜えさせたらどうだ?」
ぴん、と張り詰めているルカの雄を指で弾き、彼は笑う。マヤの瞳もキラの提案に黒い輝きを見せた。
「さすが兄さん。それいいね」
頷いて、マヤもユダの体を四つん這いの格好のままルカ達の方向に向けさせる。
「ほら、ユダさん・・・」
甘く、ねだるように、ユダの耳元でマヤは命令の言葉を口にする。
ユダは緩慢な動きで顔を上げ、瞳をさまよわせた。
「ユダさん」
マヤの手がユダの後頭部に添えられる。ぐ、と力が込められたそれにユダが微かに顔を歪めると、マヤはそのままにい、と笑ってユダの頭をルカの屹立に向けた。
「・・・・・っ」
唐突に力が込められた手で、マヤはユダの顔面をルカ自身へと誘導する。力が抜けているユダはそのまま何の抵抗も示さず、口内にルカ自身を迎え入れた。硬く張り詰めていたルカの雄は蜜に濡れており、多少なりともユダの口元を汚す。ルカは生暖かいその感触に腰を跳ねさせた。
「ああ・・・っ!やっ・・・」
太ももを痙攣させて、ルカの中心が弾ける。液体が口内を満たし、ユダは反射的に頭を引こうとしたが、頭を押さえつけているマヤの手にそれは阻まれた。
「だめだよ、ユダさん。ちゃんと飲んであげなきゃ」
「う、ぐ・・・」
苦しそうに喘いで、ユダはそれを嚥下する。マヤは満足そうに息をつくと、ゆっくりとその腰を動かし始めた。再開されたその動きに、ユダの中がマヤに絡みつく。
「ん・・・っぁ、う・・・」
ユダはルカ自身を頬張ったまま、マヤの腰の動きに合わせて腰を振った。気持ちよさそうに吐息を零しながら、ユダは彼を受け入れる。キラもそんなマヤ達の様子に色香を漂わせるような笑みを浮かべて、ルカを再び蹂躙し始めた。
「ぁ・・・ぁ・・・ん、やあ・・・っ」
ルカの腰がキラに揺らされる。ユダの口内に含まれたルカの雄も、自動的に彼の口内を行き来した。一番敏感な二つの部分を同時に刺激され、ルカの乱れ方が大きくなる。
「あ、あ、ああ・・・っ」
四人の息が上がる。吐き出された吐息はひとつの空間で融合していく。閉ざされた空間はただ熱く、妙な熱を持っていた。
少しずつ早くなる動きは、四人の限界を知らせている。
「ふ、んん・・・うう・・・っ」
「あ、ああ・・・あ、ぅ・・・っ」
気持ちよさそうに喘ぎ声を漏らすユダとルカに、マヤも、そしてキラも、興奮した。
「ねえ、兄さん。もう僕、限界が近いかも」
マヤが上がった息の中、兄に告げる。
キラも熱い息を漏らしながら、「俺もだ」と、笑みを見せた。
兄弟二人は視線を絡め、そしてほぼ同時にユダとルカの腰を、それぞれ強く引き寄せた。
「・・・・・っ!!!」
四人は同時に、果てた。


青い空の下、四聖獣はレイが用意したテーブルといすを使って、小さなお茶会を開いていた。
「うんめー!!」
レイお手製クッキーを噛み砕きながら、嬉しそうに声を上げるガイに、残りの三人もつられて笑顔になる。
「・・・それにしても、残りの皆、遅いですねえ」
ふ、とレイが不思議そうに首を傾げた。
ユダと別れて、長い時が経っているはず。ルカや、キラ、マヤの三人を呼びに行くのに、こんな時間を要するはずがないのに。
レイの疑問に隣でお茶を飲んでいたシンも「そうですね・・・」と眉根を寄せる。
「もしかして、何か用事でもあったのでしょうか」
「でもユダは来る、と言ってくれたのに・・・」
レイの表情が曇る。
しかしそこに二人の会話を聞いていたゴウが、口を開いた。
「ユダは多忙な奴だからな。もしかして急用でもできたのかもしれん。ルカもユダの用に付き合っているんじゃないか?」
確かに、あの二人はいつも忙しい。優れた天使であるから故であるのも、皆よく知っている。
その可能性は確かに大いにあり得る、とレイも考えた。
少し表情の陰りを消したレイに、ゴウはやれやれと肩をすくめる。
「キラとマヤの場合は・・・まあ、あいつらも気まぐれな奴らだからなあ」
「それは確かに言えていますね」
即座にシンが深く頷き、三人は声を立てて笑った。
そこにガイがお茶のお変わりを催促する。
皆の顔が、笑顔になる。
四人はそうやって、いたって幸せな時を過ごしたのだった。


青い空に浮かんでいた太陽が沈み、静寂の夜が世界を包んだ。
暗い部屋の中、ベッドに横たわっていた影がひとつ、動きを見せる。
「う、ん・・・?」
ユダだ。
彼はしばらくぼう、とその瞳を天井に向け、喉の痛みや、腰の痛みに気付き、思わずその顔をしかめた。
だるい。
溜息交じりで、ふと隣に視線を移す。
すると、視線の先で枕に顔をうずめていたルカが、唐突にその顔を上げた。
「起きたか」
「・・・起きていたのか」
ルカの問いかけに似たような問いかけを返し、ユダは再び天井に視線を動かした。
薬の効果はすでに消えているようだ。正気に戻った時どれほどの羞恥に襲われるだろうか、と思っていたが、なんら大したこともない。
「起きていたなら、なぜ着替えていないんだ?」
いつも着ている彼の服は、首元を覆っている形のものだ。しかし未だに剥き出しになっているルカの首元を視界に止め、ユダは聞いてみた。
ルカの顔が歪む。
「・・・まだ動けない」
「・・・なるほど」
あれだけの行為だ。それも仕方ない。
それにルカはユダがここを訪ねる前にも、キラと体を重ねていたはずだ。自分より疲労も大きいのだろう。
そこまで考えて、ユダはふと思う。
「・・・お前、よく俺よりも早くに目覚めることが出来たな」
いたって真剣な顔をして言うユダに、ルカはますますその顔を歪めると、「それは嫌味か」とだけ返して再び枕に顔をうずめた。
ユダもそれに倣い、枕に頭を沈める。
そういえば。
行為の最中、ユダはルカ自身を銜えた。そのことを唐突に思い出したユダは、「懐かしいな・・・」と呟きを零す。
「何がだ?」
「・・・いや、昔やっていただろう?“舐め合いっこ”」
苦笑交じりでユダが告げれば、ルカもああ、と声を上げる。
「確かに、懐かしいな」
ユダとルカが、生まれた時からの付き合いなのは誰もが知っているだろう。二人はほとんどの時を共にすごし、そして共に学び、成長していった。
そんな彼らだが、実は男の精についても共に学んでいたりする。
あれはたまたま、先輩天使が自慰をしているところを目撃してしまったのがきっかけだった。先輩の気持ちよさそうな顔に、あれは本当に気持ちいいのか、と疑問を持ってしまった二人は、実際に試してみることにしたのである。もちろん、二人で。
互いのモノを舐め合う行為。その妖しくも気持ちいい世界に、二人ともすぐにはまった。さすがに青年期に入ってからはしてないが、少年期の頃まではよく二人で舐め合いっこしていたものだ。
「今考えると末恐ろしいな」
「同感だ」
昔の記憶に困ったような笑みを二人で浮かべ、ひとしきり笑う。
しかし再び二人を眠気が襲ってきた。
「・・・もう一眠りするか」
どちらともなくそう呟き、二人はシーツに身を包む。行為で汚れたシーツはキラかマヤが換えていておいてくれたらしく、二人は爽やかなシーツの上で丸くなった。
瞼が下りる。
おやすみ。
お互いの声が、同時に響いた。


さて、ユダとルカが完全に夢の世界へと旅立ってしまった頃、二人が寝ている部屋の外では。
「…ねぇ、兄さん聞いた?」
「ああ、勿論」
部屋の中が静かになったのを見計らって口を開いたマヤに、キラは頷きを返す。
マヤはそんな兄の反応に満足そうな笑顔を浮かべて、そして。
「ユダさんとルカさんって少年期の頃、そんな楽しいことしてたんだね…」
ユダとルカの"舐め合いっこ"の事実を知った二人の顔には、輝かんばかりの笑みが。
「どーりでルカさんが敏感な身体をしてるわけだ…」
「ねー。それにユダさんも今日スッゴく気持ちよさそうだったしね」
にこにこと際どい会話を続けて、二人は一度視線を交わす。
二人は思った。
また面白い玩具を手に入れた…、と。





 タイトル&ネタ提供はオフ友の有生クンでした(笑)個人的には満足ですが、それでもどこかぶっとんでいる話だとも自覚しているので冒頭にたくさん注意書きさせていただきました。もしここまでご覧になった方、いらっしゃいましたら本当にありがとうございます。

 そして実は、この次もあります。(少なくともあと二つ書きます)名付けて『年上シリーズ』。裏お題は『覗き魔シリーズ』です(爆笑)CPは変わりますが、有生クンがまたタイトル共々ネタ出ししてくださったので、時間がありましたらチャレンジします。





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