初な奴らを見るのは嫌いじゃない。 両方をからかったりキューピットを真似てみたり楽しいことはたくさんある。 しかし先程から繰り返される初すぎる光景に少々苛ついてきた。 何をしても譲り合い、おまけに決定は俺に委ねてくる。 なんだお前ら、今時中学生でもそんな初な恋愛しないぞ。 初過ぎてこっちが恥ずかしいんだよ。 大体紺野は場を仕切るのに慣れてる筈だろ、なんで俺を頼るんだよ。 ああもうまたそんな捨てられた子犬みたいな顔をするな、鬱陶しい。 「今度はなんだ」 「これからどうしようかなって」 「何で俺に聞くんだ、俺はただの付き添いだろ?お前らが決めろ」 「設楽!」 ああもう面倒くさい。 どうして俺がそこまで面倒を見なきゃならないんだよ。 俺はお前たちの保護者じゃないんだぞ。 「しっかりしろよ紺野」 「わ、分かってるさ…けど」 「けどじゃない、俺はもう帰るからな」 有無を言わさず歩き出す。 こうでもしないとあいつは成長しなさそうだ。 大体俺が着いていった時点で間違っていた。 今度は誘われても死んでも着いていかない。 ようやく諦めたようで「どうしましょう」とあいつの声が聞こえる。 少しだけ間があって「僕たちも帰ろうか」なんて紺野の声。 肩越しに視線を寄越せば、二人の片方の手がしっかりと繋がれて俺に背を向けて歩いて行く。 なんだ、やれば出来るじゃないか。 等身大で万事解決 (ありのままの自分たちをさらし出せばいい) (俺なんて本当は必要じゃないだろ?) 起動ボイスの夜聞いて思いつきました。 |