秋空が広がる今日、最愛の人の誕生日。
何をあげていいかなんてさっぱりだから、彼に直接聞いてみることにした。
すると、いつものあの飄々とした声で一言。
「なんでもいい」
出た、率直な私の感想。
「あのさ那岐、何でもいいが一番困るんだけど」
「じゃあ何もいらない」
「人の善意を無駄にする気?」
「別に頼んでないだろ?」
ああもうどうしてこんなに捻くれてるんでしょう。
似合わないけど「梨音のくれるものならなんでもいいよ」なんて可愛らしい言い方は出来ないものか。
私の親友兼彼のお姫様に聞いたら「梨音が何あげても絶対に喜んでくれるよ」と。
寧ろあげる以前の問題だ。
こんな言い方されたら私だってやる気無くすわ。
「なんかしたいって思ったから聞いたんだけど…」
「めんどくさい…何もいらないって」
「那岐!」
「僕に利益があるならいいけど」
「いや、何かしてあげるんだから利益あるでしょうに」
「じゃあ今から昼寝するから此処から立ち去って」
ああもうどうしてこんな奴が王子様と騒がれるのかが分からない!
まあそんなこと言いつつ私だって好きなんだけど。
「よし、分かった」
「何が」
「さあ、那岐どうぞ!」
「・・・」
文字通りげっそりした表情の那岐。
私が何をしたかというと、ただ単に正座をして膝枕をするように促しただけ。
そこまで露骨に嫌な顔をしなくても…軽く傷つくんだけど。
「遠慮しなくっていいって」
「遠慮してるんじゃない、拒否してるんだけど」
「酷っ!…那岐って、そんなに私のこと嫌いなわけ?」
流石に我慢ならなくて聞いてみる。
予想外に泣きそうな顔をしていたらしく、観念したように那岐が溜め息をする。
そして、私の膝に頭を乗せ寝転がる。
「起こしたら知らないからね」
「はいはい」
「寝顔見るのも禁止」
「なにそれ?!」
「冗談だよ」
「もう…那岐」
「何?」
「お誕生日、おめでとう」
「…うん」
そう言う彼が愛しくて微笑みかけると、彼もほんの少しだけ微笑んだ。
ガーデニアの胸飾りを君に贈る
(素直じゃなくても愛しくて仕方ない)
title by Aコース
Happy birthday!!
09,15