えっと…確かこっち…。
第20話:まだまだな君達!!
ガラガラッと扉が開く音がする。
そーっと除いて見ると、いきなり国君と目が合った。
「湊…?」
「や、やっほー…」
「ああ、湊じゃないかい」
竜崎先生も、机に座った状態で此方を向いた。
とりあえず部屋に入って、ペコリと頭を下げた。
「少しだけお久しぶりです」
「ああ、合宿以来じゃのぉ」
「幸村からか?」
「あ、うん」
そう言うと、精市から預かってきた封筒を、国君に渡す。
それを開けると、中身を確認した。
「確かに」
「よっし…じゃあ私はこれで…」
「ああ、ちょっと待ちな」
帰ろうとする私に、竜崎先生が声をかける。
「湊、もし良ければじゃが練習見て行ってくれんか?」
「え、練習ですか?」
「ああ、アタシが気づかない事もお前さんなら気づくかもしれないからね」
「…分かりました、お役に立てるか分かりませんが…」
そんな訳で私は今再びテニスコートに居る。
目線の先には青学R陣。
…相変わらずいい球打つよね〜…。
「湊、湊!」
「ん?何?英二」
「見ててよ!俺と大石のスペシャルコンビネーション!」
「コラ英二!」
「あはは、よっし、やってみんしゃい」
「湊さんの口調が?!ていうかっ英二先輩ずるいっす!」
「オラ桃城!ごちゃごちゃ言ってねーで集中しろオラァアア!!」
…相変わらずテンションも高いのね。
やっぱり英二はアクロバティックが凄いし…。
秀一郎はやっぱり冷静だし…。
桃ちゃんのダンクスマッシュの威力は凄いし…。
薫ちゃんのスネーク…あのカーブは…。
「湊」
「ん?」
振り向くと、リョーマが後ろに居た。
顔だけ向けるのも悪いと思って、体も向けてみた。
「どうしたの?リョーマ」
「あれ…やってよ」
リョーマに言われて、ギョッとした。
そんな顔をしてもリョーマは平然と此方を見ている。
ていうか他のメンバーからの視線が痛いぞ…。
「あれって何?」って声が聞こえるんだけど…。
「あ、あれ…無理無理。私の怪我のこと知ってんでしょ…?」
「左手、使えるんでしょ?」
「まだまだなのよ」
「そんなこと言って…どうせ裏で練習しまくってるくせに」
うっと引いてしまった。
そりゃ…この間ブン太の練習に付き合えるぐらいは出来るようになってけど…。
「やってよ、駄目なわけ?」
「だって…此処でやると皆寄ってきそうだもん」
「何、何?」
「フフ、気になるなー」
あ、ほら…皆寄ってきちゃったじゃん。
どうしてくれんのよ。
「越前!なんのことだよ?」
「…見てたら分かるっすよ、はい、ラケット」
そう言って、ラケットを差し出してくる。
ハァと溜め息をつきながら、ラケットを握る。
「…一回だけだからね」
「はいはい」
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