「そろそろかな…」



今私は駅に居る。

それは何でかって言うと…。








「姉ちゃーん!」

「あ、昇!長太郎!」








第15話:宿敵訪問








嬉しそうに改札口から出てくる昇。

その後ろを苦笑しながら追っているのは長太郎。

何故この二人が居るのかと言うと…。








三日前―。



ブー、ブー、ブー。



お風呂上りで髪を拭いていると、携帯がなった。

ディスプレイには勿論知ってるアイツの名前。

でもなかなか電話したりすることもなかったし、珍しいななんて思いながら電話に出た。



「はい、もしもし」

『あぁ、俺だ』

「俺だって…新手の俺オレ詐欺と間違われるよ?





…景吾」

『ハンッ、俺様がそんなもんに間違われるわけねーだろ』



その自信はどこから来るんですかってツッコミたいけど…まぁ置いておこう。



「で、珍しいじゃん…昇が何かした?」

『アーン?何で湊なんだ?』

「あ、いや…なんとなく昇のことじゃないかなって気がしただけ」

『まぁあながち間違ってねーけどな』



電話の向こうでカチッという音が聞こえた。

どうやら景吾はティータイムらしい。



「で、昇がどうしたの?」







『あぁ、昇を三日間程度、立海に偵察にやる』

「…はぁああああ?!」



自分でもビックリするぐらい声が出た。

え、昇を?マジで?



「え、ちょ、いつ?!」

『三日後だ』

「三日後って…ナチュラルに言ってくれるわね本当に」

『幸村には話はつけてある』

「え、ちょっと待って…精市、偵察堂々としていいって言ったの?」

『あぁ、条件付でな』



条件…?



「条件って…何よ」

『三日間偵察を許可する代わりに、昇と部員を試合させろだとよ』

「え、昇と?」



まあ確かに氷帝の準レギュラーの力は持ってるけど…。

ていうかそもそも偵察なんて許可するなよ畜生。



『まぁ安心しろ、鳳も一緒に送る』

「え、長太郎も来るの?」

『昇だけじゃ不安だろ?』

「…確かに」



我が弟であるが…これは否定出来ない。

そもそも昇って偵察に向いてない気がするんだけど…。

ま、仕方ないのかな?



「で、こっちで破目外さないように見てろって言いたいの?」

『よく分かってんじゃねーか』

「君と何年付き合ってると思ってるんですか」

『ハンッ、まぁ、期待してねーけど宜しく頼むぜ?』

「一言余計です、頼まれました」







ってことがあった訳さ。

とりあえず荷物があるから一度家に帰ることになった。

家につくと、二人は昇の部屋に荷物を置いた。

そして、ついたかと思うと、さっさとテニスの準備をし始めた。



「あれ?まだゆっくりするんじゃないの?」

「そうもいかないだろ、せっかく部長が立海を叩きのめすチャンスくれたってのに」

「…昇、偵察に来たんだよね?」

「あ?あぁ、まあそうだけど…」



つい本音が出てしまった昇の横で、ちょっと困ったように笑う長太郎。

…きっと氷帝でも迷惑かけてるんじゃないのかな…。



「まぁ俺たちのことは気にせず…湊先輩はマネ頑張って下さい」

「有難う、長太郎」



ニコッと笑う長太郎。

何か見ない間に大人っぽくなったかもしれない…。

あ、いや…昇と居るからかな?

二人の準備もすみ、私たちは立海のテニスコートに向かった。



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