どうして…



どうして気づいてやれなかったんだ?






第14話:存在感









授業も終わり、もう放課後。

部活に行く俺は憂鬱。

今日部活に湊が来ないってことと…

何より、仁王に気づけて俺は気づけなかったってことが…




すっげぇ悔しかった。








部室で憂鬱な顔をしながら着替える俺の横で、ジャッカルが心配そうな顔をする。

結構見てくるもんだから、ちょっとイラッときた。



「…何だよ、ジャッカル」

「あ、いや…なんでもねぇよ」

「じゃあそんな見てくんなよな」

「ブン太…」



あぁ、かっこ悪ぃ。

あからさまにやつ当たりだろぃ。

すまねぇな、ジャッカル。

着替えが済んで、部室を出る。









コートについても、やっぱりアイツは居なくて…。

って当たり前か。

落ち込んでいる俺に、仁王がニヤニヤ笑ってくる。



「丸井、元気ないのぉ」

「そんなことねぇ」

「フッ、どうだか?お姫様が居ないんじゃ、まぁ仕方ないか」



コイツはどうしてこう癇に障るような…。

まぁいいや、相手にしないでおこう。

ニヤニヤ笑う仁王を睨んだ後、俺はそこから離れようとした。







「湊さん?!」



柳生の声がして、勢いよく振り向く。

そこには、辛そうだが、笑顔を作って立っている湊。

他の奴も湊に気づいて、コートの入り口に集まる。

近づいてみて凄く分かる、湊の顔が少し赤い。




「湊、今日は来なくていいって言っただろう?」

「そういう訳にも行かないでしょ?」

「私たちだけで大丈夫です。湊さんは風邪を治す事に専念して下さい」

「有難う比呂士。でも、私居ないと部活回んないでしょ?」

「そんなの大丈夫ッスよ!!湊先輩が来る前も俺たちでやってましたし」

「だーめ、私がやるって言ったの。意地でも倒れないから」



ニコッと笑う湊。

バカヤロウ…いかにも熱がありますって顔してんじゃねぇか。

心配そうに見る俺たちを見て、湊がニヤリと笑う。






「大体、私が皆の言う事…素直に聞くと思う?」






その言葉に、顔を見合わせる。

まぁ確かにコイツ頑固なとこあるしな…。





「…分かった、ただし、辛くなったらすぐに言う事。いいな?」

「有難う弦一郎」



呆れたように言う真田に、ニッコリと笑いかける湊。

他の奴も、やれやれと呆れている。



「よし、じゃあ練習始めよう」



幸村の一言で、俺たちはコートに入った。



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