とりあえず、ちゃんと職員室に着いて担任の先生とも会えた。
私のクラスは3−Bらしく、ガヤガヤと少し騒がしい教室のドアを、先生が勢いよく開けた。
「おーっし、お前ら〜転校生を紹介するぞー」
「マジッすか!女子?男子?」
「喜べー女子だー」
何か拍手やら雄たけび(?)やら聞こえるんですけど…。
ちょっとビクビクしながら恐る恐る教室に入った。
うわあ、視線が痛い…!
「転校生の才崎だ。ほれ、自己紹介」
「才崎湊です、宜しくお願いします」
軽く御辞儀をして、教室を見渡してみると、さっき道案内をしてくれた銀髪の人が居た。
軽く笑われた後、何故か手を振られたので、一応軽く頭を下げといた。
「何だ仁王、知り合いか?じゃあ才崎、仁王の隣でいいか?」
え、マジで?
いや、別にいいけど…。
「わ、わかりました…」
「じゃあHR始めるぞー」
とりあえず言われた席に着くと、頬杖をつきながら銀髪の少年(さっきから呼び方変わってるような…)に話しかけられた。
「お前さん、このクラスになったんじゃな」
「そうみたいだね、えっと…」
「仁王雅治。まあ好きに呼びんしゃい」
「え…あ…宜しく仁王君」
「あーやっぱ訂正」
「何?」
「下の名前で呼んでくれんか?お前さんに呼ばれてみたい」
「何をいきなり言い出すんですか、苗字でいいじゃないですか」
何これ、てか何私敬語使ってんのよ…。
てか変態か?変態なのかこの人?!
「仁王…何初日からからかってんだよ」
「ん?あ、丸井」
仁王君の目線の先を見ると、ガムを膨らませながらこっちを見る赤毛…。
うわ、赤毛?!
しかも何か可愛い!
「ね、君名前は?」
「ん?俺?俺は丸井ブン太」
「へー、ブン太君ね、宜しく!私の事は湊から」
「あぁ、シクヨロ!」
し、シクヨロ…?
あ、ヨロシクね…。
「なー、何か俺の時と態度あから様に違わんか?」
「あ、ごめんごめん、ちょっと赤毛には思い出があってね」
((何があったんだよ))
と心の中でツッコむ二人。
「あ、てかブン太でいいぜ?俺も湊って呼ぶんだし」
「じゃあ俺も湊と呼ばせて貰おうかのー」
「あ、いいよ。えっと…ブン太と仁王でいいよね?」
「何か愛情の差を感じるが…まぁよか」
「おう!ところで、湊は何か部活入るんだろぃ?」
「え、部活?」
あぁ、考えてなかったよ全く…。
どうしようかな…部活か…。
ん?待って、この二人、何処かで見たことある気が…。
「ね、もしかして2人って…テニス部?」
私の問いに、2人がキョトンとする。
「あぁ、そうだけど…何で知ってんだ?」
「え、あ、勘?勘だよ!!あははははは…」
「怪しい…」
「(ギクッ)」
何か仁王の目が恐いよ…えっと…前アイツが言ってたよな…。
立海大の仁王雅治は”コート上の詐欺師”って呼ばれてるって…。
何で今思い出すんだよ私…。
と言うことはブン太の方は…”ボレーのスペシャリスト”か…。
「で、どの部活に入るんだ?」
「え、えっと…今日見学するよ」
「そうか、ならテニス部も見にきんしゃい。俺のペテン見せちゃるぜよ」
ぺ、ペテン…?
何かもう頭痛くなってきたかも…。
ごめんね皆…私ちょっと泣きたくなってきた。
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