「ねぇ、×××」

「ん?」

「おおきくなったら、×××のおよめさんにして?」

「…まぁかんがえといてやるよ」





第24話:衝撃





憂鬱。

まさにその状態。

ハァ、なんて溜め息をついて見たり、遠くをボーッと見つめたり…。



「何?今度は何?」



流石に不思議に思ったのか、歩夢が聞いてきた。



「ちょっと…ね」

「…聞いてもいい?」

「うん、実は―…」




呟くように言う私の話を、歩夢はちゃんと聞いてくれた。

そして、話終わった後、「ふーん」と言った。



「なるほどね…そりゃビックリだわ」

「…でしょ?」

「それ…テニス部の奴らに言ったの?」

「ううん。私も昨日聞いたから」

「…言わないの?」



歩夢が聞きづらそうに聞く。

その言葉に、困ったように笑う。



「これは…言わなくてもいいと思って」

「そっか…でも、幸村と丸井ぐらいには言っときなよ」



チラリと目線だけでブン太を見る。

雅治と楽しそうに話している。



「言わなきゃ…かなぁ。あぁ、何でこんなことになっちゃったんだろ…」

「さぁ?私もそんなことになったことないからねぇ」

「私だって初めてだよ」



そう簡単に経験するもんじゃないでしょ、こんなの。

とりあえず、ブン太と雅治のところに行く。




「ごめん、今日部活行かないから…皆に言っといて?」












家に帰って、部屋で出かける準備をしていると、ドタドタ足音が聞こえた。



「姉ちゃん!!」



バンッと扉が開く。

そこには、息を切らした昇が居た。


「昇…部活は?」

「無理言って休ませて貰った…それより、本当なの?!」

「…何が?」





「姉ちゃんが…部長と婚約するって」



ああ、昇も聞いたんだ。

そりゃそっか。

微笑んで、昇に答える。



「うん…そうだよ」



普通に言った事に驚いたのか、昇が目を見開く。



「いいの…?姉ちゃん」



昇の声が震えている。

それでもね…



「ま、仕方ないんじゃないかな」



そういうと、部屋を出た。










立海大テニスコート―。

いつも通り、テニス部が部活をしている。



「なんかこー…またこれか」



ブン太が呟く。



「そうじゃのー」



それに雅治も相槌を打つ。

そこに、何人か集まってくる。



「湊…どうしたんだろうね?」

「体調が悪そうには見えなかったがな」



そんな事を話していると、R陣の元に足音が聞こえてくる。



「ハァハァハァ…」

「昇?!」



赤也が叫ぶ。

R陣は、昇の元に近寄る。



「何だよ才崎、お前部活は?」

「…やっぱり、丸井さんでも聞いてないんですね…」

「?何のことだよ」



ブン太の言葉に、昇がゆっくりと顔を上げる。

その目は、凄く真剣だった。






「姉ちゃん…正式に部長と婚約するんですよ」

「「「「?!」」」」



皆の顔色が変わる。



「父さん達の間では話は出てたんです…それが今日正式に決まって…」



昇の言葉が響くだけだった。

皆、言葉を無くし、ただただ昇を見つめていた。



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