ああ…これか。

うん、こりゃ大変。







第22話:Do you understand?







「此処がXだから…あぁ意味ワカンネェ!」

「あ、ブン太!そこ7じゃなくて2だって!」

「んあ?…お、マジ」

「多分それで計算合う筈だから」

「湊、この漢字…何て読むんだ?」

「あ、”余韻”?これは”よいん”だよ」

「ああ、なるほど」

「湊先輩〜…意味不明な字列が…」

「待て待て赤也、それは”貴方は去年アメリカに行きましたか?”って書いてあるのよ」

「あ、そうなんすか?」

「そうなんです」



こりゃ自分の勉強どころじゃないわ…。



「フフ、大変そうだね、湊」

「ああ、でもしっかりと指導出来ているな」

「うむ、流石だ」

「ええ、見ていて微笑ましいです」

「そうじゃの〜」

「…オイそこの年長連中…手伝えやオラ」

「湊、キャラ崩壊してるぞぃ…」



思わず自分のキャラ壊しちゃったよ…。

ていうかコイツ等だって頭いいんだから手伝えよ!

ハッキリしてるじゃん!

ブン太は数学、ジャッカルは国語、赤也は英語…。



「てかさ、精市…科学苦手って嘘でしょ?」

「ん?苦手だよ」

「え…出来てるじゃない…」

「科学は薬品の匂いが苦手なんだよ」



ああ、なるほど…。

…ってそれどころじゃない!!



「勉強会なのに何で私一人で教えてんの…」

「それでちゃんと回っていますからね」

「俺たちの出る幕はないんじゃ」

「いやいや、凄くあるから」



…いつもこの子達どうしてるんだろ…。

大丈夫なのかテニス部!



「にしても…少し休憩したいね」



精市が言う。

…いや、あんた疲れてないでしょ。



「フフ、湊…そんなこと言ってていいのかい?」

「(ビクッ)な、何…」



何となく精市の後ろに黒いオーラが見える。

否…なんとなくじゃなくかなり見える。



「せ、せせせ、精市?!」

「湊




…これなーんだ?」



そう言って、雑誌を取り出す精市。

キョトンとする一同。



「え、何って普通にテニス雑誌じゃ…?!」

「フフ、気づいたみたいだね」



私の反応に満足そうに微笑む精市。

そして、あるページを開く。

冷汗が流れてくる。



「せ、精市…それはちょっと…」

「ん?ごめん湊、聞こえない」



聞こえてるだろ絶対!

何々なんて言って皆寄ってくるし…。

そして、その記事にあった写真に皆視線釘付け。

…私、今恥ずかしくて気失いそうなんだけど…。



「これって…」

「だよ…な…」

「あの…もう…やめよ?」

「「無理」」



何そこだけはもってんだ畜生!

皆は何をそんなに真剣に見てるかと言うと…



「蓮二が家で見つけたらしいんだ」

「あぁ、自分でも驚いたがな…




湊の現役時代の写真」

「・・・」



そう、これは私が現役の時に受けたインタビューの記事。

…なんでこんなものを。



「まぁ、見付からない方が可笑しいんだけどね」

「仮にも氷帝じゃ、一度くらい取材受け取っても可笑しくないじゃろ」

「そうですよね、それにしてもこれは珍しい」

「だよな」

「あぁ…





湊のスコート姿だなんて」

「ちょっと!何?何処見てんの?!」



確かにスコール姿なんて皆の前で見せたことないけどさ!




ジー…



…すっごい視線感じるんだけど…これ、合わせなくていいよね?



「見たいよな」

「あ、丸井先輩もそう思います?」

「フフ、その意見には俺も賛成かな」

「湊がスコートを…」

「ん?なんじゃ真田、興味あるんか?」



赤面する弦一郎をいじめる仁王。

…まぁそんなことどうでもいいや。



「言っとくけど…着ないからね?」



私の言葉に、一同顔を見合わせる。



「いや…だってそれは…」

「湊に…





拒否権なんてあったっけ?」



精市、それはないだろ流石に。



「まぁ、湊が拒否しても俺たちには関係ない」

「あぁ、精市が何とかする確率、99%だ」

「そういう問題じゃないでしょ?!分かる?!私は着たくないの!」

「往生際が悪いぞ、湊」

「そうッスよ、着たことあるんだからいいじゃないッスか」

「言った意味分かったかな?Do you understand?」

「流石湊…発音も完璧だな」

「いやジャッカル…そこ褒めても」



そんな私の前で、精市がニッコリと笑う。



「安心しなよ湊…今すぐとは言わないから」

「・・・」



それは後々着ろってことだよね?



「よく分かってるね」



もう何も言いません。



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