ピンポーン―
ベルの音が家に鳴り響く。
ハイハイと言いながらドアを開けると、ニコニコしながら皆居た。
第21話:家庭訪問
「「「「お邪魔しマース」」」」
「はーい…」
此処は何処?
此処は私の家。
今来たのは?
勿論立海のR陣。
なんでこうなったかというと…。
数日前―。
「よし、今日は此処で終わろう」
精市の一言で、練習が終わる。
そして、集合がかかる。
「来週の考査…勿論皆勉強してるよね?」
「ゲッ…」
精市の言葉に一番に反応したのは、勿論赤也。
そんな赤也に、精市がニッコリと微笑む。
「赤也〜?補習とかになったら…どうなるか分かってるよね?」
「じゅ、じゅじゅじゅ、十分に承知しております!」
「へぇー…本当かなぁ?」
「ハイッス!次のテスト、全教科50点以上は取るッス!!」
低ッなんてツッコミをしつつ、まぁ赤也だから仕方ないかって思った。
…ん?待てよ…。
全教科ってことは…当然万年欠点の英語も含まれてる訳で…。
「それは楽しみだな〜、当然、英語もそれくらい取るんだよね?」
サァアアアアアア―
赤也の血の気が引く。
あれは絶対勢いで言ったんだろうな…。
「赤也が英語で50点…出来るのか?柳」
「ふむ…取れる確率、10%だ」
「10%もないだろぃ、アイツこの間の小テスト、2点だぜ?」
「天地がひっくり返りでもせんとのぉ」
「酷い言い方とは思いますが…確かに」
「うむ、本気で勉強せんとな」
いいのか赤也、先輩達かなり酷いこと言ってるぞ!
…なんて、こんなこと言ってる私だって多分無理だって思ってるけど。
視線を感じて、顔を上げてみる。
…バッチリ赤也と目が合った。
あれか?この展開はもしかしなくてもあれか?!
「湊先輩ー!!」
泣きついてくる赤也。
…あぁ、やっぱり。
「赤也、そのお願いは聞けない」
「なっ!まだ俺何も言ってないッスよ?!」
「言わずとも言いたいことが分かるの!!」
どうせあれだ、勉強教えてくれとかだろ!
「いいじゃないッスか!湊先輩頭いいでしょ?!」
「確かに、湊は学年の5位以内には必ず入っているな…」
「ちょっ、蓮二!」
「そういえば…湊の得意教科は英語だったかのぉ?」
「そうなんですか?」
「あぁ、この間の授業の発音…あれも凄かった」
褒められてるけど全然嬉しくないからね、雅治。
この状況でそんなのいらないわ!
「湊せんぱいぃ〜」
「そ、そんなこと言ったって…人に教えるなんて…」
「そうだ!湊だって困ってるじゃねーか!」
「ま、丸井先輩には関係ないッス!!」
あぁ、また喧嘩始めたよ…。
間に居る私はどうしろと…。
「湊先輩ッ!!この通りッス!」
手を合わせて頼み込んでくる赤也。
…選択肢に蓮二や比呂士はないのか…?
あ、いや…扱かれるのが恐いのかな?
ハァと溜め息をつく。
「…分かった、教えてあげる」
「本当ッスか?!有難うございます!」
赤也の顔が明るくなる。
…なんか可愛い…。
「場所はどうする?」
「あー…湊先輩ン家がいいッス」
「…え?」
「あぁっ、ずりーぞ赤也!俺も混ぜろ!」
「湊の家か…部長として、訪問するのも悪くないかもな」
「いや、それ全然関係ない…」
「湊の家か…きっとでかいんだろうな」
「ピヨッ、面白そうじゃ」
「えぇ、一度拝見してみたいものです」
「…決まりだな、弦一郎」
「あぁ、湊」
「な、何…」
弦一郎から声をかけられ、思わずビクつく。
「今週の日曜、邪魔してもいいだろうか?」
「…もう勝手にして下さい」
そんなこんなで今日皆で勉強会をすることになった。
「でけー…」
「見た目通り、やはり中も広いですね」
「コラコラ…あ、そこ私の部屋ね」
指を指すと、皆が楽しそうな顔つきで入っていく。
…別に楽しいものなんて何もないんだけど…。
「ほぉ…意外と可愛いのぉ」
「意外とは失礼でしょ?」
「ふむ…いいデータが取れた」
「え、何処が?!」
「やっぱり可愛いね、湊」
「…貴方に限っては意味がわかりません」
そんなグダグダだが、勉強会は始まったのだった。
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