朝―。



第一話:詐欺師と天才







耳元で五月蝿く鳴る目覚ましを、勢いよく叩く。

…意外と手が痛かった。



「アタタ…意外と固いなコレ…」



まだ少し重たい体を起こして、壁にかけてある新しい制服を見る。

サイズの採寸の時以来、まだ一度も着たことがない。

ハンガーから降ろして、腕を通す。

鏡に映った自分を見て、ちょっとだけ笑った。



…意外に似合うじゃん。




「湊ー!早くご飯食べないと遅刻するよー!」

「あーハイハイ。今行く」



下から母さんの声がしたので、荷物を持って慌てて階段を下りた。

もう朝食の準備はしてあって、机の上には目玉焼きやらいろいろと並んでいた。



「ほら、突っ立ってないでさっさと食べる」

「はいはい…いただきまーす」



食べている私の横に、母さんがコーヒーを置く。



「…意外と似合うわね、制服」

「でしょ?もう私もビックリ」

「お、今日も元気だなー湊」

「あ、父さん、お早う」

「あら貴方、今日は遅くなるんでしたっけ?」

「あぁ」



母さんに新聞とコーヒーを渡されながら、父さんは微笑んだ。

ふと、父さんの後ろにある時計が目に入る。

そろそろ家を出る時間になったので、鞄を持って椅子から立ち上がった。



「いってきます!」

「「いってらっしゃい」」



勢いよくドアを開く。

目の前には、青く広がる空。

うーん!今日もいいお天気!














「うひゃあ…想像してたより…でかっ」



目の前にあるのは、私立立海大学付属中学校。

今日から私はこの学校の生徒になる。

そりゃ…前居た学校もでかかったけどさ…。

とりあえず、職員室に行こうかな…。



「えっと…職員室職員室…」

「ん?なんじゃ?お前さん」



今日に声をかけられて、思わず体がビクッとなる。

恐る恐る振り返って見ると、そこには銀髪の男の人が立っていた。

ん?中学生で銀髪なんていいの?

…まぁいっか、前例がちゃんと居るし。



「あ、えっと…」

「もしかして転校生か?」

「あ、はい」

「なら着いてきんしゃい、案内しちゃる」



そう言って、スタスタ歩いて行く。

多分信用しても大丈夫だろうから…。

その後を、一応着いて行って見た。

(だってほら、知らない人には着いて行くなって言われてるしね!!)





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