「え、おつかい?」

「そう、おつかい」




第19話:ようこそ青学!






ガタンゴトンと電車に揺られること…。

今私が居るのは、青春学園中等部前。

精市から届け物を頼まれた訳で、他のR陣からは一人で行くの凄く反対されたけど…。

まぁ私も青学くらい一人で行けるし?

とりあえず、テニスコートに向かう事にした。

ラケットにボールが当たる音がする。

やっぱりこの音が大好きで、テニスコートに来たんだなって思う。





…なんて、やってる場合じゃないよね。

早く届けて帰ろうっと。



「お邪魔しまーす」



何人かの視線が此方に向く。

そして、明るい表情で、此方に駆け寄ってくる。



「「湊(さん)」!!」

「やっほー」



駆け寄ってきたのは、英二と桃ちゃんとタカさん。

ニコッと笑うと、英二がガバッと抱きついてきた。



「会いたかったニャ〜湊」



キュン―。

この子、連れて帰っても罰当たらないかな?

とりあえず、抱きつき返してみた。



「私もだよー英二ー」

「ああ!英二先輩だけズルいっス!俺も会いたかったのに!!」

「と言うより、湊の性格もかなり壊れてるよね」



タカさんが苦笑いする。

そこに、クスクス笑いながら…



「相変わらずだね、湊」

「ああ、合宿時とちっとも変わらないな」

「データ通りだな」

「…お久しぶりッス」



上から、周ちゃん、秀一郎、貞治、薫ちゃん。



「わーわー、周ちゃんに秀一郎に貞治に薫ちゃんまで…いきなり勢ぞろい?」

「あの…湊さん、その薫ちゃん呼びは…」

「ん?可愛いからいいじゃない?桃ちゃんだってそうだし…ね?」



なんて言ってみるけど微妙な反応。

でも”薫ちゃん”はやっぱり”薫ちゃん”なのよ…今更”薫”なんて呼べないわ。

そんな中、帽子を被った子を発見。

その子にニヤリと笑いかける。







「やっほ、リョーちゃん?身長伸びた?」

「…嫌味っすか、それ」



ムスッとする。

まぁそうするって分かってるんだけどね。



「はにゃ?何?おチビ”リョーちゃん”って呼ばれてんの?!」

「ち、違いますよ!!」

「俺のデータによると、越前は”リョーマ”とちゃんと呼ばれているな」



…何処まで調べてるの貞治。

ていうかなんかデータ見てる時蓮二そっくりだわ。



「いいじゃん、小さい頃もそう呼んでたんだし」

「な、マムシ…俺なんか初耳なことが多すぎる気がすんだけど」

「安心しろ馬鹿、俺も同じだ」

「湊と俺、一応親戚なんすよ」

「「「親戚?!しかも湊?!」」」



どうやらリョーマが私のことを呼び捨てにしたのに驚いたらしい。

まぁ仕方ないか…。

一応説明しよう、私の母さんとリョーマのお母さんは従姉妹…つまり私とリョーマはハトコなのです。

こうやって考えてみると、私の他校の知り合い、結構母さん繋がりが多いのよね…。

氷帝に居た頃の知り合いは父さんの知り合いの方が多かったんだけど…。

まぁ、景吾のお父さんとウチの父さん、幼馴染だしね。



「そ、そういうことか…」

「へぇ〜、僕もそれは初耳だったな」

「確かに周ちゃんにも言ったことないな…」

「でもそれで越前が湊さんを呼び捨てとは…いけねーな、いけねーよ」

「まぁ落ち着け桃、そういえば湊、今日はどうしたんだい?」



秀一郎の声で、今日の目的を思い出した。



「あ、忘れてた」

「(忘れるなよ)」

「国君居る?精市から預かり物なんだけど…」

「ああ、手塚なら今竜崎先生と話をしていたから…職員室に居ると思うよ」

「職員室か…」

「俺、預かろうか?」

「ううん、職員室なら分かるし…挨拶がてら行って来るよ、有難う、秀一郎」

「あぁ、いいよ」



ニコッと笑い、皆に手を振ると、私は職員室に向かった。




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