「本当のこと言わないと…今この場で犯すよ?」

「すいません本当のこと言いますから止めて下さい」



とりあえず魔王様には逆らっちゃいけないって改めて学習しました…。

精市の手が離れたのでホッとしていると、急に体が軽くなる。

というか足が浮いている。

というかこの状況ってお姫様だっこじゃない?!



「ちょ、何やってんの?!」

「何って…何がいい?」

「いや…そんな…にこやかに仰らないで下さい…」

「フフ、安心しなよ、病人には手は出さないから」



本当かよ…



「何、何か文句ある?」

「いいえ滅相もございません!!」



そうだよね、と笑う精市。

何でこんな恐ろしいんだこの魔王様は…。

降ろせと言っても聞く筈もなく、私はそのままの状態で保健室まで連行された。











屋上では、R陣が揃って昼食を取っていた。



「そういえば…幸村部長と湊先輩、遅くないっすか?」

「そうですね…もう来てもいいと思うんですが…」

「ブン太、湊と一緒に来なかったのか?」

「ん?あぁ、先に行ってくれって言われてよー…」



そんな会話をしながらも、R陣の食事は止まらない。

一人ぐらい箸止めたっていいんじゃないの?!



「てか…何かあの2人居なかったら静かだな…」

「ん?俺のことが恋しくなったかい?ブン太」

「のぁ?!」



突然後ろから現れた精市に、驚くブン太。

赤也を覗く他のR陣は、至って冷静である。



「精市、遅かったな」

「あぁ、すまない。ちょっと湊と…ね」



そう精市が言った瞬間、ブン太と赤也の動きが止まった。



「ゆゆゆゆゆゆ、幸村部長っ?!」

「な、何があったんだよぃ?!」

「フフ、知りたい?」



ニッコリと笑う精市、焦りまくっているブン太と赤也。

その光景を冷静に見るR陣。



「精市、2人をからかうのは今度でいいだろう?」

「あぁ、すまない蓮二」

「湊はどうしたんだ?」



ジャッカルの問いに、精市が少し困った顔をする。



「湊は熱があったみたいでね、それで保健室に連れて行ってたんだ」

「え…?」



精市の言葉に、驚くブン太。



「やっぱりのぉ」

「ん?仁王君、気づいていたんですか?」

「まぁな。ちょっと顔が赤かったし…まぁ本人が何も言わんのなら此方も言わん方がいいと思っての」

「そうか…まぁ安静にしておくように言ったし、大丈夫だと思う」

「うむ…そうか」



皆が話している中、一人呆然とするブン太。

それに気づいたのか、ジャッカルが肩を叩いた。



「…何だよジャッカル」

「そう気にするなよ、な?」

「…うるせぇ」

「(どうして、気づいてやれなかったんだ…)」



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