自分でもすっかり忘れてたけど…。

最高な日になりました。









第12話:贈り物









クレープ事件もなんとか納まったけど…。

なんかもう凄い疲れたわ、私。

とかなんとか言いながらも、皆で遊んでもう時間は後少しで次の日に変わりそう。

…まぁ中学生が出歩くにしちゃあ危ないわよね?

そして今居るのは公園なわけで…



「ねぇ精市…あの…中学生が親の許可なしにこんなとこにこんな時間まで…いいの?」

「許可?あぁ、大丈夫だよ?皆の分の許可はもう取ってるから」



…どんだけ凄いんだこの魔王様は!!

てか放任主義だなホントに…。



「でも何でこんな時間に…」

「まぁそう言わんで、すぐ分かるけん」

「?」



ニッと笑って言う雅治の言葉が、どうにも理解出来なかった。

なんだか皆雰囲気違うし、さっきから時計チラチラ見てるし…。

一体何なんだろう?

精市が時計を見て、顔を上げる。



「もうそろそろだね」

「じゃあカウントするか」





「10」



「9」



「8」



「7…」




蓮二がカウントする。

それを、不思議そうに見る。

なんでカウントなんかしてんだろう…。





「3」




「2」




「1」







パーンッ






「「「ハッピーバースデー!!湊!!」」」



一瞬、何が起きたか分からなかった…。

目の前に舞う紙吹雪と、クラッカーを持って、ニッコリと笑う皆が居る。

そんな中、ポツンと状況が読めていない。



「え、えっと…何?」

「忘れたんスか?!今日、湊先輩の誕生日っすよ?!」

「…………あぁ!!」



((((忘れてたのかよ))))

完璧に忘れてたよ…自分の誕生日。

…っていうことはもしかして…



「これ…祝うために、皆こんな時間まで…?」

「そうに決まってるだろぃ?」

「湊にはいつも世話になっているからな」

「こういう時ぐらい、お礼をしないといけませんからね」



ツーッと頬を涙が流れた。

目からポロポロ雫が落ちて、遂には嗚咽まで出始めた。

慌てて駆け寄る皆。



「そ、そんなに驚いたのか?」

「だ、だって…まさかっ…こんな…ひくっ」

「フフ、泣き顔も可愛いね、湊」

「こんな時に口説くなよ、幸村…」

「み、皆…ほ、本当に有難う…っ」



涙を止める事も出来ずに、泣き続ける私を、皆は頭を撫でたり、背中を摩ってくれたりしてくれた。

それが逆に嬉しくて、まだまだ涙は出続けた。



「お、おい…いいかげん泣きやまないか?」

「ほら、笑いんしゃい」



そう言って、両頬を雅治に引っ張られた。




「い、いひゃいよましゃはる!!」

「ブッ!!湊なんだよその顔!!」

「う、うるひゃいブンひゃ!!」

「お、泣きやんだな」



ピッと頬から手が離される。

…なんか凄いヒリヒリしてんだけど…。

頬を手で摩りながらも、ニッコリと笑顔を作って、皆に向かって言った。



「ありがとう、皆!!」



私が笑顔になったのを見て、皆もニッコリと笑い返してくれた。



「なーなー、そういやケーキあるんだろぃ?食おうぜ!!」

「丸井先輩そればっかっすね」

「まあまあ、いいですか?湊さん」

「うん、食べよう!!」




そんなこんなで終わった、15歳の誕生日。

きっとずっと忘れない、最高の誕生日でした。


← →

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -