「湊〜…」
「ちょ、ブン太?!」
現在私はブン太にベッドに引き込まれました。
しかもガッチリ抱きしめられていて身動きが取れない状態…。
というか近い!ブン太顔近い!!
下手したらキスしそうなくらいまで顔が近づいていて、私は自分が赤くなるのが分かった。
ってそれどころじゃないって!!
「ブン太!!ちょ、起きなさいっ!!さっさと起きろ!!」
勢いのままブン太の胸を叩いたら、結構力が入っていたらしく、ブン太の呼吸が一瞬だけ止まった。
「ゲホッ…ん?…うわっ!湊なんでいんだよ!!」
「いや、それ君が聞くんですか?」
「ゆ、夢かと思ってたのに…」
「夢?」
「あぁ、いや…なんでもない」
モゴモゴと目を逸らしながら何かを呟いているブン太。
何か顔が赤い気がするんですけど…。
ってそうじゃなくて。
「そろそろ行かないとご飯間に合わなくなるよ?」
「・・・」
「?どうしたの…?」
ご飯って言葉にブン太が反応しなかったので、ちょっと心配になった。
そんな私を他所に、ブン太はニッと微笑みかけたきた。
「せっかくだからこのまま寝てようぜぃ」
「はぁ?!」
ブン太は嬉しそうにすると、私を抱きしめる手にさらに力を込めた。
さっきより距離が短くなる。
「へぇ…いい度胸してるね、丸井」
そんな声が聞こえたのは、ブン太が私を抱きしめてすぐだった。
声の主は普段ブン太のことをブン太って呼んでるから…これは相当お怒りだね。
ドアの方を見ると、ニコニコ笑いながらも禍々しいオーラを出しまくってる精市。
その後ろにはちょっと怯えている弦一郎とジャッカルが居た。
…その後ろに居た雅治は妙にニヤニヤしてるんだけど…。
「ゆ、幸村…」
「遅いなぁと思って迎えに来たらやっぱりこれか…覚悟は出来てるよね?」
ブン太の顔色が青ざめていく。
…無理もない、ブン太が悪いんだと思うけどこれは軽く同情する。
「とりあえず、湊はこっちにおいで」
「う、うん…」
丁度ブン太の手の力が弱まったので、私は精市に言われたとおりベッドから出た。
そして何故か弦一郎たちのところに連れて行かれた。
そして弦一郎がドアを閉め、ジャッカルが何故か私の耳を手で抑えた。
その後、ジャッカルが耳を押さえているのにも関わらず、私の耳にブン太の叫び声が聞こえたのは、言うまでもない。
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