「本当に、行っちまうんだな…」
「うん、ごめんね?」
少しだけ微笑む私の先には、これまでずっと共に居た人々。
「遊びに来いよ!絶対だかんな!」
「ほんま…おらんごとなるなんて寂しいわ…」
「俺たちの事…忘れないで下さいね」
「そんな…神奈川と東京だよ?」
「後の事は任せて下さい」
「…お元気…で」
「有難う…頑張ってね」
皆の泣きそうな顔とか…寂しそうな顔とか…。
そんな顔させたかった訳じゃないんだけど…ごめんね?
「向こうでも頑張ってね」
「フン、ま、精々向こうの連中とも仲良くな」
「大きなお世話です…じゃあ…またね!」
笑顔で手を振り歩いて行く私に、皆はいつまでも手を振ってくれた。
また会えるよ…絶対に。
「姉ちゃん、向こうでもテニスやんの?」
「うーうん、多分しないと思うよ?」
ベッドの上でゴロゴロやっていた弟が、急に飛び起きた。
「何で?!もったいないじゃん!」
「ごめんね」
「謝んないでよ…俺は続けて欲しいんだけど…」
『…私の分まで頑張ってね』
そう優しく言うと、戸惑いながらも少しだけ頷いた。
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