とりあえず、普段泣かないらしいアイツが、泣き顔を見せてくれたのが嬉しくて。

それが俺に対する安心とか信頼とかじゃないかとか一人で自惚れて。

そんなのも全部顔に出ていたらしく、仁王にニヤニヤと笑われた。




第8話:合宿へ行こう〜part4〜







現在練習も兼ねてのゲームが行われております。

もう眩しいよね、スポーツする男の子って。

昨日あの後杏ちゃんから、「丸井さんと話をしている時の湊さんはなんだか雰囲気が違います」って言われたけど…。

どうなんだろう、私自身全く分からないし。

まs確かにブン太とかに近寄られたらドキッとするけど、ほら、やっぱり男の子に近寄られたらドキッとするじゃない?

ブン太は可愛いけどね…というか可愛いとか言われたら絶対に怒られるけどね!



「フフ、さっきから面白い顔になってるよ」



かけられた声を聞いて、慌てて顔を普段に戻した…つもりだけど。

その光景も面白かったらしく、クスクス笑いながら此方に近づいて来る。

声だけで誰だか分かったので、私は満面の笑みを浮かべて笑いかけた。



「そうでもないよ、周ちゃん」

「そうかい?じゃあ僕の見間違いということにしておくよ」

「うん、そういうことにしといてくれると嬉しいよ」



そんな感じで会話は弾む。










一方―。



「くそっ…負けたぁ!!」

「俺って天才的だろぃ!」

「…ブン太、あまり調子に乗るなよ」



俺は山吹の【地味’s(千石命名)】とゲームをして見事勝利!

ま、当然のことだろ?

丁度喉も渇いたから、湊を探そうと思ってキョロキョロする。



「…ブン太、湊ならあっちに居るぞ」

「おっサンキュー、ジャッカル!」



さすが俺の相棒!

意思の疎通は完璧、だろぃ!!

俺はジャッカルの言った方向に、少し小走りで行った。

確かに湊はそこに居た。

声をかけようと思った。



「にしてもこんなに周ちゃんと話すの久しぶりだね」

「フフ、そうだね」



そこで不二と楽しそうに話してるもんだから、何だか少しだけムカッとした。



「あ、ブン太、どうしたの?」



湊は気づいたらしく、こっちに微笑かけてきた。

反則だろ、嫉妬とか、全部吹っ飛んだ。



「あ、いや…ボトル貰おうと思って」

「あ、ごめんね…はい、お疲れ様!」

「おうっ…」

「…何だか初々しいね、2人とも」



不二がニコニコ笑いながら言った。

…というかコイツが笑ってんのはいつものことか。



「そ、そんなことないでしょ、周ちゃん!」



周ちゃん…?

氷帝の奴らなら分かる、ずっと一緒の学校だったから。

でも不二は?

何で周ちゃん呼びなんだ?




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