まさか、まさかね…。
こんなことになるなんて思ってなかったよ…。
第6話:合宿へ行こう〜part2〜
久しぶりに高級なお食事を頂きました。
いやね、令嬢って言っても、ウチの母さん使用人とかそういうの苦手らしくて…。
家事は全部自分でやるって言っておりまして…。
メイドさんとか執事さんとか居る生活なんて送ったことないよ?私。
ってな訳であんな豪華な食事はお久しぶりなのです。
合宿なのにフルコース並みの豪華さってどうよ?
そんなこんなで今からお風呂な訳なのです。
「うん、準備完了!杏ちゃんいこー?」
「あ、すいません、もう少し掛かるので先に行ってくれますか?」
「そっか…じゃあ先に行ってるよ?」
お願いしますと言われて、私は渋々先に部屋を出た。
のまで良かった。
「此処、どこ?!」
まさかの展開で迷っちゃいました。
そうだ、私方向音痴だっけ…?
というか、何回此処に来ても慣れないよな…。
「ってそれどころじゃないじゃん」
お風呂何処よ、てか無駄にでかいんだよ此処!
結構な人数泊まってるのに、部屋余るってどうよ。
「確かこの辺って思ったんだけどな…あ」
見つけました、”風呂”って書いてある…。
てか待って、こんな洋風な別荘になんで達筆で”風呂”って書いてある暖簾がかかってんのよ!
合わないよ、ハッキリ言って合わないって!
まぁそれはいい…とりあえず早く入ろう。
「あぁ、お風呂お風呂〜!…ん?」
目の前には脱衣所…それは当たり前。
そこにある筈…いや、居る筈ない者が…。
「あ…」
目の前にはまさにお風呂上りの半裸のブン太、それにその他モロモロ…。
…ブン太だけ説明濃いななんて疑問抱いちゃ駄目よ(そのフォローがすでに痛いよね)
少しだけショートした後、やっと自分の状況が理解出来た。
「しししししし、失礼しましたあああああ!!」
ドアを勢いよく閉めて、肩で息をした。
壁をよく見ると、そこにはちゃんと”男子用”って書いてあった。
…最悪だ。
この後どうしよう…もの凄く顔合わせ辛いんだけど…。
しかも心臓ドキドキ言ってる…。
…ブン太、意外とガッチリしてたなぁ…結構華奢な感じなのに…。
って違う!何考えてんのよ私!
恥ずかしくなって、頭をブンブン横に振った。
「何一人で暴れてんだ?」
「うわあああああ!」
急に耳元で声がして、反射的に叫んだ。
バッと後ろを振り向くと、まだ髪から雫を垂らしているブン太が、ちょっと分が悪そうな顔でこっちを見ていた。
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