ふむ、と比呂士が言った。
「才崎君のお姉さんと言うことは…湊さんは才崎財閥のご令嬢ということになりますね」
「「令嬢?!」」
あ、やっぱり驚いてる…。
仕方ないかな、私って社長令嬢って感じじゃないし…。
「そうか…湊はボンボンだったのか…」
「ちょっと、その言い方はやめてよ、雅治」
「世の中って…酷だよな…」
「ごめんねジャッカル…本当にごめん」
「なぁ、湊は何で今日此処に居んだ?今日は男子だけの筈じゃ…」
「あぁ、私マネージャーだから」
「「はぁ?!」」
今度は氷帝メンバー大合唱ですか…。
「ちょっと待てよ、湊がマネージャーって…」
「何でですか?!俺はてっきりテニス続けるのかと「わーわーわー!!」
「「?」」
あぁ、ほら…長太郎が余計なこと言うから、立海の皆が怪しがってるじゃない…。
「と、とりあえず、マネージャーですんで宜しく」
とりあえず、その一言で一旦話は終わった。
練習は順調に進み、皆それぞれ自主練習をすることになっていた。
私は手伝いに来ていた杏ちゃんと一緒に、タオルを取りに行っていた。
「ホント忙しいよね…」
「まぁ結構な人数が居ますからね」
「あぁ…景吾の提案少しだけでも受けとくんだった」
最初に景吾がお手伝いの人を寄越してくれそうだったんだけど、杏ちゃんと相談して断った。
まぁ食事とかはお願いする事になったんだけど…結構仕事あるんだわこれが。
「橘先輩!才崎先輩!こっちは終わったです!」
「あぁ、有難う、壇君」
山吹中の壇君も、こうしてお手伝いしてくれている。
まぁ、なんとかなるでしょ、3人でも。
「にしても…本当に湊さん、テニスやめちゃったんですね」
「あはは、まぁ仕方ないよ」
「あたし…また試合出来ると思ってたのに」
杏ちゃんが少し悲しそうな顔をする。
そんな顔して欲しくないのになー…。
「才崎」
不意に名前を呼ばれて、後ろを振り返る。
すると、そこにはスーツを来た男性が立っていた。
「お久しぶりです、榊監督」
「元気そうだな」
「おかげ様で。昇はご迷惑をお掛けしてませんか?」
「少々自信過剰な部分があるかもだが…問題はない」
「そうですか…まあでも、あの子のいいところですから」
少しだけ微笑む。
監督の表情はやっぱり変わらない。
…というか、変わったら恐ろしいわ…。
「仕事中すまないな」
「いえ、もう終わりますから」
「ふむ…それでは、行ってよし」
久しぶりに見たなぁ、行ってよしポーズ。
なんかこの合宿来て良かったかも。
とりあえず、何だかんだで、今日の練習は終わった。
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