そして迎えてしまった次の日。
私の気分は最低値だよ本当に…。
「どうしたんすか?湊先輩、車酔いッスか?」
前の座席から顔を出す赤也に、とりあえず笑顔を作った。
「違う違う…まぁ大丈夫だから、気にしないで」
「酔った時は外を見るといいぞ?」
うん、ジャッカル有難う…。
でも酔ったんじゃないって言ったよね?ちゃんと。
…まぁ優しさとして受け取っておくよ…。
「お、そろそろ着くみたいだぜぃ」
「うはー!でけぇー!!」
目の前に広がる別荘に、思わず絶句した。
あぁ、とうとう来てしまったか…まさかまた来ると思ってなかったよ。
バスから降りると、見慣れたユニフォームの学校があったので、丁度隣に居たブン太の後ろに隠れた。
…のに、気づかれていた。
「あー!湊ー!」
一人の声に、全員が一斉に此方を振り向く。
そして、此方に向かってくる。
あぁ…逃げたい、激しく逃げたい。
「久しぶりだなー湊」
「くそくそ!遊びに来るって言ったじゃねぇか!」
そう言って、バッと抱きついてくるのが一名。
あぁ、やっぱり可愛い…。
すっごい懐かしい感じがするよ…てか和む。
「ごめんね…岳人。私も遊びに行きたかったんだけど…」
「がっくんずるいC〜!俺も湊にくっつきたい!」
「うぉっ!ちょっと、ジローまで何やってんの?!」
えへへ、と笑いながら抱きついてくるジローに、少しだけ笑みが零れた。
前を見ると、懐かしいメンバーが…。
「お久しぶりです、湊先輩」
「久しぶり、長太郎も若も崇弘も…元気そうで良かったよ」
久しぶりに見る顔に、自然と笑みが零れた。
すぐに、ダダダダダと凄い音がした。
何となく予想がついたけど、恐る恐る振り返ると、勢いよく走ってくるのが一名。
「姉ちゃあああん!」
「うおっ!!」
身構えていたものの、向こうの勢いに飲まれ、ジローと岳人から離れた。
顔を向けると、少し不満そうな顔の少年が…。
「姉ちゃんに会えなくて寂しかったんだぞ俺!!」
「あはは、ごめんね…昇」
頭を撫でてやると、少し照れながらも嬉しそうな顔をした。
「…なぁ、ちょっと質問していいか?」
「え、あ…」
声がした方を見ると、凄く聞きにくそうに言うブン太と、ちょっとムスッとした顔の雅治が。
あぁ…これ事情説明しなきゃかな。
「まず一つ、ソイツもしかして氷帝の…」
「クイックプレーの才崎湊じゃ…ん?」
「「才崎?」」
どうやら気づいたらしい…。
「そ…これ、ウチの弟」
2人の動きが固まった。
そりゃそうだよね、確かに湊と私、似てないもん。
「アーン?何やってんだ、お前ら」
…出た、出たよ…。
私は昇で自分を隠そうとしたけど、
「何やってんだ?湊」
やっぱりバレました。
「ハハ…久しぶりだね、景吾…それに侑士も」
「あぁ、久しぶりやな、湊」
「どういうことなんすか?柳先輩」
「あぁ、湊が此方に転校してくる前に居た学校は、氷帝学園だそうだ」
調査済みですか蓮二さん…!
この子等に会ったらいろいろバレるから、今回来たくなかったのに!
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