「ねえ、若葉」
「・・・」
今日はせっかくの休日だしと若葉を家に誘った。
今俺は二人でベッドに座り若葉の手を握り微笑む。
対する若葉はいつもの無表情。
いや、そんなクールなところも好きだよなんて言いたくなる自分がまず気持ち悪い。
「好きだよ」
「・・・」
「え、無言?」
「…一之瀬さん、そんなこと軽々しく言わない方がいいですよ」
はあと溜め息混じりに言う若葉。
俺ってまさか呆れられているんだろうか、いやいや、そんなことは無い筈。
「いや、だって事実だよ?」
「冗談言わないで下さい」
「冗談って酷いな若葉…俺、本気なのに」
若葉の手を握る手に力を込めれば、びくりと体が震える。
そんな若葉に思わず笑みがこぼれ、いつもより低めの声で語りかける。
「ねえ、好きだよ…若葉」
「…っ」
「若葉はどう?俺のこと、好き?」
逃さないように顔を近づければ、俺から目を逸らす若葉。
そんな若葉の顔が見たくて、俺は空いた手を使って若葉の視線を俺に合わせるように促す。
いつもの無表情とは一転して、可愛らしい表情を晒している若葉に、思わず胸が躍る。
「…ずるいです、一之瀬さんは」
「え?」
か細い声で呟く若葉。
その声を聞き逃さないように、聴覚をフル活用。
「そんなこと言われたら…女の子はみんな勘違いしちゃいますよ」
「勘違いって?」
「…一之瀬さんが、自分に好意を抱いてくれているっていう…」
「…ぷっ」
「な、何がおかしいんですか!」
笑いを堪えようとするがどうにも止まらない。
ああ本当に、なんて可愛いんだろう。
「勘違いしてくれていいんだよ」
「だって私なんか…」
「若葉だから…いいや、若葉がいいの…ねえ、若葉は?」
「・・・」
「目、逸らさない…ちゃんと言ってくれるよね?」
「…本当にずるい人」
まあ、そのつもりだからということは言わないでおこう。
これ以上若葉がいじけても困るしね
何か決意したのか、俺の目を真っ直ぐに見てくる若葉。
「私も…一之瀬さんが好きです」
「ん、良くできました」
そう言って抱き締めて、額にそっとキスをする。
そんな俺の行動で、若葉は真っ赤になって「一之瀬さんの馬鹿」なんて。
でも、そう言っている反面、弱々しく背中に腕を回しながらもぎゅっと俺の服を握る彼女がとても愛しく感じた。
恋い焦がれオリオン
(んーやっぱり可愛いなあ若葉)
(や、やっぱり離して下さい!)
(だーめ、我慢我慢)