毎日の登校風景。
その中を、風丸と共に歩いていく。
ボールをリフティングしながら歩く俺に、風丸が「転ぶぞ」と一言。
「大丈夫だって」なんて言った矢先、ボールが転がって行く。
そのボールは何かにぶつかって動くことを止める。
何にぶつかったんだろうと見てみると、俺たちと同じくらいか一つ下ぐらいの女の子がボールを見つめていた。
「ごめん、ボール取ってくれるか?」
俺がそう言うと、ボールを拾い上げてわざわざ歩いて持って来てくれる。
俺が「有難うな」と言えば、「いえ」と短く一言。
大人しい子なのかななんて考えていると、横にいた風丸が「なあ」と声をかける。
「もしかして…何か探してるのか?」
「え?」
「あ、いや…紙、手に持ってたから」
風丸の言葉を聞いてその子に視線を移すと、確かに手にはメモが。
書いてあるのは何かの地図らしい。
「俺たちでよかったら力になるよ」
「あ…じゃあ…雷雷軒の場所…教えて頂けますか」
放課後、練習も終わり、みんなでラーメンを食べに行くことになった。
「あ、そういえば!今朝の子大丈夫だったかな」
「今朝の子って?」
豪炎寺が問う。
それに、風丸が答える。
「今朝、雷雷軒への道を聞かれたんだよ」
「へえ…女の子が…何のようだろうね」
「さあ?普通にラーメンでも食いに行ったんじゃないか?」
話をしているうちに俺たちの足は進み、雷雷軒の前へ。
扉に手をかけ、ガラガラと音を立てるそれを引く。
「響木監督こんばんはー!」
「ん?…なんだ、円堂たちか」
新聞を読んでいた響木監督がこちらを見る。
そんな監督にニッと笑いかける。
「みんなでラーメン食いに来ました!」
「ラーメン食う以外にうちに来る必要は無いだろうが」
「あ、そっか…」
「ふっ…まあ全員座れ」
「「はーい」」
ガチャガチャと音を立て、響木監督が調理を始める。
俺たちは鞄を置くと、それぞれ席に着いた。
どんどんラーメンを作っていく監督を見ていて、あっと思い出したような声を上げる。
「どうした円堂」
「そういえば響木監督、今日、此処に女の子が来ませんでした?」
「ん?やっぱりお前らだったのか」
「え、やっぱりって?」
「正剛さん」
高い声、しかも、この場にいるメンバーでは呼ばない呼び方で響木監督を呼ぶ声。
みんながみんな声の主の方を向くと、俺と風丸があっと声を上げた。
「君っ、今朝の!」
「あ…今朝はお世話になりました、お陰で無事着くことが出来ました」
「若葉、やっぱりこいつらだったか」
「はい」
「監督…その子、誰ですか?」
豪炎寺が尋ねる。
響木監督はニッとあの笑みを浮かべると、若葉と呼ばれたその子の隣に行き、ぽんっと肩を叩いた。
「響木若葉…俺の姪っ子だ」
「「え?」」
「響木若葉…今日からこちらでお世話になることになりました、以後お見知り置きを」
そう言ってお辞儀する彼女に、俺たちはただポカンとするだけだった。
ファースト・シーン
(ちょっと整理する時間を下さい)
こんな感じでやっていきます。