案外、面白い奴なのかもしれない。
episode4、変化
昨日あんなことを言ったにも関わらず、切原は相変わらずだった。
でも、話してみると何だか面白い奴だなって分かった。
「おいっ、聞いてんのか?!嬉沙」
「…ちょっと黙りなよ」
「いいじゃねぇかよ」
ニコニコ笑いながら話す切原。
…まぁ、”テニス部としてじゃない”コイツなら構わないからな。
「あ、そう言えば」
「ん?どうした?」
「今日、英語の小テストがあるよね」
「・・・」
あ、固まった。
やっぱり苦手なんだ、英語。
「…大丈夫な訳?」
「な、なんとかなるんじゃねぇの?」
「点悪かったら、真田さんに怒られるんじゃないの?」
「うっ…」
思わず詰まる切原。
ハァと溜め息をつくと、机の上に自分のノートを出し、広げる。
?を浮かべながら、切原があたしの顔を見る。
「え、えっと…」
「可哀想だから教えてあげるよ、これで殴られなくて済むでしょ?」
「…おおっ!」
嬉しそうに笑う切原。
「お前って、優しいんだな!」
「…あっそ」
…そんなに嬉しいものなのか?
というか、優しいなんて…今まで言われたことあったっけ?
…もう記憶にないや。
まぁいいや、と思いながらそのまま英語を教えていた。
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