何が正しくて何が間違っているんだろう。








episode14、寂しさ








あいつと話さなくなんて、大分たった。

なんだかあたしから話しかけるなんて出来なくて、もどかしいままの時間が続いている。

手を伸ばせば届く距離、そんな距離にいつもあたし達は居る。

なのに、その手を伸ばそうともしない。

少しでも伸ばせば、この寂しさから開放されるのに。

今のあたしには、そうする勇気がなかった。




「嬉沙ちゃん、最近元気ないね」



ふと、真知に言われた。

図星をつかれ、あたしは戸惑った。



「…そんなことないよ」

「いいや、絶対に元気ない」

「あたしはいつも通りだって」

「…ねえ、嬉沙ちゃん」



真知があたしの名前を優しく呼ぶ。



「切原君と…仲直りしたら?」

「・・・」



ああ、やっぱりこの子は分かってるんだな。

そうだ、悪いのはあいつじゃない、あたしなんだ。

あたしが謝ればいい、悪いことをしたのはあたしだ。

一言言えば、あいつは「そんなこと気にしてねえよ」と笑ってくれるだろう。

でもね、でもね真知。



「…出来ないんだ」

「え?」

「あたしには、出来ないよ」



やっぱり、弱虫はあたしだったんだ。











夜、兄さんの部屋に訪れると、鞄の中に荷物をつめていた。



「どうしたの?」

「明日から連休だろう?だから合宿」

「そうなんだ…」



合宿ってことは、あいつも居るんだろうな。



「嬉沙?」

「…怪我、しないでね」

「うん、大丈夫だよ」

「本当に約束だからね」

「心配性だなあ嬉沙は、俺がそんなヘマすると思う?」



そう言って笑った兄さんの笑顔に、凄く安心するあたしが居た。

願うことなら、誰も不幸でないように。

そう願っているのに、そうさせないのは、あたし自身なんだろうな。

そう分かっていても、弱虫なあたしには、ただここにいることしか出来ない。







To be continue...


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