ちょっと気になる存在になりそうだ。






episode5、戦略








「ん〜…」

「なぁに唸ってんだよぃ」



考え事をしている俺の頭に、丸井先輩が乗っかってきた。

…重い、というかガムが髪に付きそうだ。




「別に」

「あ、赤也の癖にいっちょ前に俺に隠し事か?」

「その赤也の癖にが全然意味分かんねーッス!」



思わずツッコミ。

…頼むから俺のキャラを壊さないでくれ。



「兎に角、丸井先輩には関係ないことッスよ」

「ふーん…どうせ幸村の妹のことだろぃ?」

「なっ!!」

「ビンゴ」



ニヤッと笑う丸井先輩。

…無性に腹立つ…。



「しょうがねぇなぁ…可愛い後輩の為に、俺が一肌脱いでやるよ」

「全力デ遠慮シマス」

「何でカタコトなんだよぃ!!」



アンタなんかに相談して溜まるか!!

そんな事を思っていると、後ろからフフッと笑い声が聞こえた。

…この声は…。



「何をそんなに考えてるんだい?」

「…幸村部長…」

「あ、幸村、コイツさぁ…お前ンとこの妹のこと考えてたんだぜ」

「アンタ何言ってンすか!!」

「へぇ〜…嬉沙のことをね」



…あれ、何かヤバイ?

そんな訳ねぇな、幸村部長だって俺に”嬉沙を頼む”って言ったんだし…。



「そうか、ちゃんと考えてくれてるんだね、赤也」

「そりゃーそうっすよ」

「それは俺が頼んだからかな?」

「えっ?!」

「冗談だよ」



フフッと笑う幸村部長。

この人が言うと冗談に聞こえねぇ…。

まぁ、丁度幸村部長が居ることだし…相談してみるか。



「その、幸村部長」

「何だい?」

「あの…



どうしたら嬉沙に名前で呼んで貰えると思いますか?」

「「え?」」



丸井先輩も一緒にポカンとする。

いや、かなり切実なんだって。



「結構仲良くなって日経つし、いろいろ話したりするんすけど…俺、未だに”切原”何スよ」

「なんつーか…距離置かれてる感あるな」

「そう思うでしょ?」

「うーん…嬉沙が真知ちゃん以外下の名前で呼んでるの…あまり聞いたことないからな」

「え、ガキの頃からあんな感じなんですか?」

「いや…まだ小さい頃はそうでもないよ」



少し困ったように笑う幸村部長。

じゃあ、何でアイツはあんな風になったんだ?



「その…”真知”ってのは?」

「嬉沙の親友だよ」

「成る程…つーことはお前は親友とかそのくらい心を許して貰えないと名前で呼んで貰えないって事だな、赤也」

「…なんかかなりハードル高いッスね」

「そうでもないと思うけど」



そう言った幸村先輩の言葉の意味が分からなくて、思わず振り返る。

そうすると、ニッコリと笑う幸村部長が居た。



「嬉沙、この前俺に言ったんだよ…”切原って案外面白い奴だね”って」

「・・・」

「おお!やったじゃねぇか赤也!」

「は、ははっ…」



案外面白い奴?

そう思ってんだったら、もっと話す時に楽しそうにしろっつーの。

そう思いつつも、自然と笑いが出て来た。



「へへっ…」

「あー?赤也の癖に生意気だぜ…いっちょ俺も仲良くなるか」

「ちょ、何言い出すンすか丸井先輩!」

「別に構わねぇだろぃ?なぁ、幸村」

「あぁ、テニス部のメンバーと嬉沙が仲良くなるのは、俺の願いでもあるからね」

「その話、俺も混ぜてくれんかのぉ」



行き成り違う声が混ざったので、バッと振り向く。

そこには、いつもの妖艶な笑みを浮かべている、仁王先輩が居た。



「仁王先輩…」

「ブン太、俺も幸村の妹と仲良くなりに行くぜよ」

「あぁ、いいんじゃね?」

「よくないっすよ!!」

「構わないけど…あの子を怒らすようなことだけはしない方がいいよ?」

「その辺は大丈夫なり」



ニヤリと、仁王先輩が笑った。



「なぁに、俺に任しときんしゃい」






To be continue...


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