「…嬉沙ちゃん、最近楽しそうだね」

「…そう?」



「そうだよ」と言いながら、嬉しそうに笑う真知。



「…何がそんなに嬉しいの?真知」

「え…だって、今まで嬉沙ちゃん…他の人と関わったりするの避けてたでしょ?それがあんなに楽しそうに話してるから」

「あたし、楽しそうに話した覚えないけど…」



思わず苦笑い。

それでも首を左右に振る真知。

そして、やんわりと微笑んだ。



「そんなことないよ、切原君への接し方、他の人と全然違うもの」

「・・・」



まぁ確かに、他の奴より面白いし、いい奴だし…。

一応、流石兄さんの後輩って感じ?



「アイツが人懐っこいから、構ってあげてるだけだよ」

「満更じゃないくせに」

「…真知、何か変なもの食べた?」

「食べてないよ」

「嘘、あんたいつもとキャラ違うじゃん…」

「私にだってこういう日だってあるんだよ?」



そう言って、いつも見せないような悪戯っぽい笑顔を浮かべた。

…こんな真知見たことない。

ずっと付き合って何でも知ってるつもりになってたけど…あたし、まだまだ知らないことあるんだな。

ちょっと自惚れてた、反省反省。

そんなことを考えていると、自然と笑みが零れた。

それに、真知が首を傾げる。



「嬉沙ちゃん?」

「…なーんでも?ただ真知が可愛いなーって」

「なっ!嬉沙ちゃん!!」

「ごめんごめん、ほら、部活遅れるよ?」

「う、うん…」



そう言うと、あたしは真知に鞄を渡した。

そして、「バイバイ」と挨拶をして、教室を出た。



「…私としては、切原君に嬉沙ちゃんの錘を取って欲しいんだよ…」



そう真知が呟いたことは、あたしが知る筈もない。






To be continue...


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