こんにちは、沢田綱吉です。
今日は九月九日、獄寺君の誕生日ということで、俺の家で秘密で誕生日パーティーを開く計画を起てていた。
企画者は俺、山本、京子ちゃんに京子ちゃんのお兄さんにハル、それにビアンキやフゥ太、ランボにイーピン。
あと、俺たちの友達である梨音。
梨音は俺たち皆とも仲がいいし、ボンゴレのことも知っている。
それに、獄寺君が心を許す数少ない人間の一人…なんだけど。
「ちょっと、今の言葉訂正しなさいよ!」
「うっせぇなあ…馬鹿に馬鹿っつって何が悪いんだこの馬鹿女!」
「ばっ…馬鹿って言った方が馬鹿なんですこのタコヘッド!」
「おまっ…表にでろ!けり付けてやろうじゃねえか」
「上等よ、そっちこそ後で泣き言言うんじゃないわよ!」
若干クラスメイトたちがうんざりした顔をしている。
二人は仲がいい、仲がいいんだけど、こんな感じで何かと言い争いをしている。
最初の頃は獄寺君がダイナマイトを取り出したりして大変だったけど、今では大分落ち着いている。
はあと溜め息をつく俺の横で、山本が楽しそうに笑った。
「あいつら仲いいのなー」
「仲いいだけならいいんだけどね…ああ、また梨音、スパッツ履いてるからってあんなことして」
「梨音って動いてないと死にそうな感じだもんな」
「え、梨音鮪レベル?」
「お、そしたらツナとお揃いだなー」なんて笑う山本。
こっちとしては全く笑えないんだけど…。
「そういえば準備進んでんのか?」
「あ、うん…ケーキとかは京子ちゃんやハルが準備して、部屋の飾り付けとかはフゥ太達がやってくれてるから…山本の方は?」
「俺んとこは今頃親父が活きのいい奴用意してくれてると思うぜ」
「そっか、獄寺君…喜んでくれるといいなあ」
「絶対に喜んでくれるって」
「…そうだね」
放課後、授業を終えた俺達は、校門でハルやお兄さんと合流して俺の家に向うことになった。
「獄寺君」
「はい、なんでしょう十代目!」
「え、えっと…今日、うちに寄って貰っても大丈夫、かな?」
「大丈夫です!十代目の為なら春夏秋冬24時間どんな時でも!」
「は、はは…」
そこまで意気込んで貰わなくてもいいんだけどなあ。
「今日、獄寺君誕生日でしょう?」
「じゅ、十代目…覚えてて下さったんですか?!」
「うん、それで、うちで誕生日パーティーの準備してるんだ」
「も、勿論!死んでも這ってでも行かせて頂きます…!」
「そ、そんな大げさな…!」
「ちょっと」
俺と獄寺君が会話していると、仁王立ちの状態の梨音が会話に入ってきた。
彼女の顔は剥れていて、どうやら俺達が置いていったことに腹を立てているらしい。
「酷いじゃない、置いていくなんて」
「あ?なんだよ、帰る約束なんてしてないだろ?」
「私だってその誕生会に参加するのよ」
「はあ?!」
「ツナ君、ツナ君」
言い争いをしている二人を見ていたら、京子ちゃんから手招きされる。
小走りでそこに向うと、小声で「先にゆっくりいってよう」とのこと。
どうやらこの二人を二人っきりにするらしい。
「大体、なんで私が参加しちゃ駄目なのよ」
「お前が来るとうるせぇだろ」
「わ、私だって獄寺の誕生日祝いたいだけなのに!」
「きゅ、急に気持ち悪いこと言い出すんじゃねえよ!」
「気持ち悪いですって?!好きな人に”おめでとう”って言いたいって思っちゃいけないわけ?!」
「はあああ?!」
あの二人、完璧に周りが見えてないみたい。
場所は校門だと言うのに、あんな大声で…しかも梨音なんてさりげなく告白しちゃって、それを聞いた獄寺君だって顔を真っ赤にして口を鯉みたいにパクパクさせてるし。
俺の周りに居る皆はもう姿が小さくなった二人を見ながら笑いを堪えるのに必死らしい。
…大体、もうあの二人って見てて呆れるくらいお互いに想いあってるの丸分かりなのに、本人同士気付いてないもんな。
そう考えてみると、なんだか此処まで長かった。
「お、お前…今…」
「っ…!ああもう!気持ち悪いんでしょ?!もうどうとでも言えばいいじゃない!」
「…っああもうめんどくせぇ!!」
そう大声で叫ぶと、獄寺君は梨音の前に手を差し出した。
その動作に、首を傾げる梨音。
「…何よ」
「とれぇな、手だよ手」
「あいっかわらず口悪いわね!」
そう言いつつも獄寺君の手を握る梨音。
「ほら、十代目をお待たせしてんだからさっさと行くぞ!」
「本当に獄寺は十代目以外言えないわけ?」
「お前だって一言多いんだよ!」
「なあ、結局お前ら付き合うことになったのか?」
「「(まだ)なってない!!」」
なんでそこにむきになるかな。
まあ、お互いに素直じゃないんだな。
なんて、硬く繋がれた二人の手を見ながら、其処に居た誰もが笑った。
気持ちとは裏腹に
(いい加減二人とも素直になっちゃえばいいのに)
title by Aコース
Happy birthday!!
09,09