嫌でも巡っていくのが時で、ついにクリスマス当日。

机の上に置かれた梨音へのプレゼントを見て、思わず溜め息が出た。

俺個人からのプレゼントはすでに渡してある、残るは、梨音の両親に頼まれたプレゼントだけである。

先ほど話した時に、「今年こそサンタさんの顔を見るんだ」と意気込んでいるのを見て、思わず胃が痛くなりそうになった。

はあ、と一息ついて、決意を固める。

ここで悩んでも仕方がない。

そう思えば楽になって、梨音のプレゼントを持って部屋を後にした。







音を立てないように梨音の部屋に入れば、規則正しく寝息を立てている梨音に安堵する。

そっと歩み寄り顔を覗けば、自分と同じ年なのに凄く幼く感じられる。

枕元にプレゼントを置いて、額に唇を寄せ、「おやすみ」と一言。




と、それがまずかった。





「ん…?」



閉じていた筈の梨音の瞳が開かれる。

そんな梨音に、俺は冷や汗をかくばかりだった。



「あれ…?いちろーた?」



まだ意識が朦朧としているらしく、俺の名前さえ舌っ足らずになっていた。



「なんで…いちろーたが居るの?」

「いや…その…」

「サンタさん…は?」



虚ろだった瞳がしっかりと開かれ、大きな瞳が涙ぐんでくる。

やばい、これは本当にやばい。



「梨音…」

「一郎太…?」

「あのな、俺、サンタさんの代わりに来たんだ」

「サンタさんの…?」

「ああ、サンタさんは忙しいから、俺に運ばせて下さいって頼んだんだ」

「一郎太が?」

「ああ、梨音には俺が運びたかったんだ…ごめんな」



梨音の頭を撫でながら謝れば、最初は泣きそうにしていた梨音も、機嫌を取り戻したのか、いつもの笑顔に戻った。



「そっか、なら仕方ないね」

「…有難う、梨音」

「ううん、私もこんなに遅くまで一郎太と一緒に居れて嬉しいもん」



そう言って、俺の腰に抱きついてくる。

そんな梨音を一度ギュッと抱き締めると、ベッドに寝かせて額に唇を落とす。



「梨音が眠るまで居るから、もう寝ろ」

「…うん、おやすみ、一郎太」

「おやすみ…梨音」



梨音が再び眠りついたのを確認した後、俺は静かに部屋を出た。









(そう言えば、一郎太ってサンタさんと知り合いなの?)
(ま、まあな…)
(ずるーい!私にも会わせてよ!)
(…いつまでつき通せばいいんだこれ)




title by 水葬


風丸さんはこのくらいやってくれると信じてます。
主人公ちゃんがやっていたのは我が家の子供がみんなやってたことです。
本気でおもちゃ屋さんでお祈りするんですよ、今考えるとかなり恥ずかしい(笑





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