!サンタクロースに夢を抱いて居る方はご遠慮下さい。
























「今年はサンタさん、何を持って来てくれるんだろう」



そう言って笑顔で隣を歩く彼女に、思わず絶句した。











季節は早いもので今年もあと少し。

その前にあるのがクリスマスである。

キリスト教徒でもないのによくあるもんだなんて考えつつも、この雰囲気に酔っている自分に苦笑い。

そして、何と言っても今年のクリスマスは困ったことが一つ。



「どうしたんだ?風丸」



不思議そうな顔で俺の顔を見る豪炎寺。

どうやら顔に出ていたらしい。



「いや、もうじきクリスマスだろ?」

「ああ…プレゼントとか何かか?」

「まあそうなんだけど…」



間違ってない、間違ってはないんだけど…。



「渡すプレゼントは初めてじゃないから迷ってないんだ」

「他に何かあるのか?」

「実は…」







俺の幼馴染…現彼女である梨音は、可愛いし優しいでサッカー部の奴らからは羨ましがられるくらいいい奴だ。

ただ、一つ問題があるのは夢見がちということで、中二になった今でもプレゼントはサンタクロースが運んでくると信じている。

そんな梨音の両親も両親で、娘可愛さに未だに枕元にプレゼントを置くことを続けているし、サンタクロースのことなんて勿論否定したりなんかしない。

その両親が今回父母共々クリスマス当日に家を空けなくてはいけないらしく、「私たちの代わりに今年はプレゼントを届けてやってくれないか」と頼まれたのは先日。

とりあえず梨音が毎年やっているらしいプレゼントの下見に着いて行った時、欲しいものの前で必死に願う梨音を見て、自分にかかった責任の重大さに嫌でも気づいた。




「それは…大変だな」

「だろう?」



思わず溜め息が出る。



「あ、でも豪炎寺は妹さんにいつもやってるんじゃないか?」

「まあな、でも妹と彼女じゃ大分違うんじゃないか?」





そうちょっと困ったように笑う豪炎寺に「全くだ」と返した。



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