「地球にはこんな言葉がある」
「明日は明日の風が吹くってね」
「ああっ、俺の台詞!」
そう言う彼に微笑みかければ、彼も照れるように笑う。
私たちが宇宙人なんて名乗っていた日々は遠くなり、レーゼ改め横に居る緑川リュウジは日本代表選手に選ばれたのだった。
「にしても、あーあ」
「なんだよ」
「私も代表選手に選ばれたかったなあ!」
「公式戦だから仕方ないよ」
「…まあねえ」
公式戦となれば女の子は試合に出られないわけで、それを悔しがっていたらなんと響木監督がマネージャーとして仲間に加えてくれることになった。
確かに日本代表に関われることは嬉しいけど、やっぱり自分でプレーした方が楽しい。
「でももし女の子が出られるなら私は選ばれてたね」
「なんでだよ」
「なんたってリュウジが選ばれてるから」
「ちょ、失礼だな!」
「あはは、冗談」
ニコニコといい笑顔で笑いかけると、リュウジはむっとした顔で私を見る。
まあ、本当に怒ってる訳じゃないんだろうけど。
「でも」と短く言えば、リュウジの頭には疑問符。
そんなリュウジを見て困ったように笑う。
「本当のことを言うとね、日本代表としてサッカーがしたいんじゃなくて、リュウジとまた一緒にプレーしたいだけなの」
「梨音…」
「ジェミニストームの時は、楽しんでプレーするとかそういう状況じゃなくて…なんで私サッカーをやってるんだろうって凄く悩んだんだ」
今の私たちはエイリア学園から解放されて、個人としてサッカーを楽しむことが出来る。
その喜びを、リュウジと分け合いたかったのだけど、思った以上にリュウジが忙しくなっちゃった訳で。
「じゃあさ、やろうよサッカー」
「へ?」
私の隣ですくっと立ち上がり、にこりと笑うリュウジ。
「もうしたい時にしたいだけ出来る、勝つことで何かを壊したりもしない」
「リュウジ」
「やろう!ジェミニストームだったみんなも、雷門のみんなも誘って!公式戦じゃないんだから、男女なんて関係ないさ!」
ね、と笑って手を差し出すリュウジ。
そんなリュウジの手と顔を交互に見た後、私は笑ってその手を握った。
飾らない素直な言葉に想いを乗せて
(貴方の言葉一つで私は嬉しくなれる)
title by narcolepsy
リュウジくんをどうしても書きたくて書いたもの。
本当は「サッカーやろうぜ!…あ、なんか円堂みたいだな」って言わせたかったんですが、まだ本編で呼んでなくて呼び方書けなかったんです。