彼女の前に姿を現すと、その瞳は大きく開かれ、唇は「どうして」と小さく言葉を紡ぐ。
その様子を見て言いたいことがすぐ分かり、彼女が言葉を発するより先に口を動かす。
「どうだ、凄いだろう?エイリア意志の力は」
怪しく輝く石を手に持ち、うっとりとする。
そんな俺に、彼女が息を呑む。
「これで俺たちは負けない、円堂たちにだって…」
「風丸…」
「なあ、お前も一緒に来いよ」
そう言って手を差し出せば、彼女が首をゆっくりと横に振る。
その姿に「そうか」と目を伏せれば、サングラスをかけた男達が彼女を捕える。
「なっ…!?離して!」
「残念だ、お前なら分かってくれると思ったのに」
「風丸!」
「俺たちは分かり合えないみたいだな…」
そう言うと、彼女に背を向ける。
何度も俺の名を呼び、「どうして」と問いかける彼女の声が耳に届くが、それを聞かなくて済むように、耳を塞ぐ。
そして、彼女から数歩離れて、小さく「さようなら」と呟いた。
傷付きたくない僕は、君から逃げていた
(君の口から「そんなの風丸じゃない」なんて言われたら、立ち上がれなくなってしまうから)
title by Aコース
どうしてもDE風丸さん書いてみたくて書いてみましたが失敗した。