「ううう…」
直に寒気があたる素肌を撫でれば、鳥肌状態。
息は白く、体はぶるぶると震えを止めない。
アップをして体も温まったから大丈夫だろうとジャージを脱いでみれば、予想以上に寒い。
それでもまたジャージを着るのも煩わしくて、震える体を自分で抱きしめつつ、摩擦で温めていく。
不意に襟が引かれ、ひやりとした感覚。
刹那、背中を何か異物が通過し、体温が一気に下がった。
「ぎゃあ!」
「こら、女の子」
なんとも言えない悲鳴をあげた私の後ろには、ニヤニヤと笑うマックスが居た。
「な、何すんの!」
「面白そうだなあと思って」
「小学生か!」
「自分だって人のこと言えないじゃない…よっと」
「ぎゃああ!」
またもや色気のない声。
頬に何か当たったと思ったら、マックスの手には小さな雪だるまがあった。
「わっ、雪だるま」
「可愛いでしょー?」
「すごーい!マックス器用なんだね!」
「最初に言ったじゃん、器用だって」
「あ、そっか」
感心しながら眺めていると、持つように促される。
「有難う」と受け取れば、「じゃあ僕も」なんてどこからともなくもう一つ雪だるまを取り出した。
「じゃあ、此処をこっちに向けて」
「こう?」
マックスの指示通りに雪だるまを動かせば、私の雪だるまの口元辺りに、マックスの雪だるまの口元が当たる。
いや、正確にはマックスが当てた。
「え、な、なに?」
「サランヘヨー」
「あれ、なんかのドラマで見たぞそれ」
「気にしない気にしない」
ニコニコと笑うマックスについていけない私。
二人の手元にある雪だるまは、未だにくっついている。
「それで?」
「はい?」
思わず疑問系。
すると、マックスが頬を膨らませつつ言う。
「僕の言葉に対する返事はないの?」
「言葉って…サラ、ン…」
自分で言おうとしてやっと気づいた。
ただのドラマの真似じゃなかったのか。
「はい、なあに?」
「言わなきゃ駄目?」
「何、言わないつもり?」
ギラリと彼の目が光った気がした。
「わ、わかった!わかったから!」
「ん、早く言ってよ」
「うう…さ…サラン…ヘヨ」
「えー」
「ああもう!サランヘヨ!これでいいでしょ!」
「なーんか投げやりな感じがするけど…まあ許してあげるよ」
「よく出来ました」なんて言いながら、私の頭を撫でるマックス。
「子供扱いしないで」と言えば、やれやれと言いたげな顔でちゅっと音を立てて額にキスされた。
思わず真っ赤になって恥ずかしさを紛らわす為に、マックスを見ないように背を向け、憎まれ口なんてたたいてみるけど、彼に見えないとこれで嬉しくて思わず顔がにやけそうになる自分が居た。
白い景色と林檎の君
(ねえ、後ろ向いても耳真っ赤だから照れてるのバレバレだよ?)
(う、うるさい!)
後輩が雪だるま作ってるの見て閃きました。
人気が凄まじかったあのドラマのワンシーン拝借。
確か本家は雪だるまの中から指輪が出てくるんだったような…。
流石にそこまではしませんでしたが、マックス書いてて楽しかったです^^