「何の話をしてるんだ」
普通の奴なら聞き流す何気ない会話。
それでも、俺には聞かずにはいられない内容だったので、思わず楽しく会話する二人の中に入っていった。
案の定、源田の奴には「なんだ、寂しかったのか」なんて言われてムカリとくる。
そんな俺を、源田の横でクスクス笑う彼女…マネージャーである梨音を睨む。
「そんな笑うことないだろ」
「ごめんごめん、佐久間が可愛いかったからつい」
「可愛いとか言われても嬉しくない」
「まあまあ、何の話をしていたか知りたかったんじゃないのか?」
ニヤニヤと笑いながら俺を見る源田。
こいつは分かってやっているからかなりタチが悪い。
「あのね、子供は何人欲しいかって話」
「そこまで聞いてた」
「聞いてたのかよ」
「そこからだよ…その…源田が父親で梨音が母親とかいう」
「ああ、その話」
言いたいことが分かったのか、梨音がにこりと笑う。
「帝国で家族を作るなら、源田くんがパパで私がママかなって」
「ちなみに長男が佐久間で次男が成神、三男が洞面だ」
「ちょっと待て、なんで俺が長男なんだ」
「あら、いやだった?」
「梨音、佐久間はきっと次郎だから次男が良かったんじゃないか?」
「そっか…じゃあ長男はどうしようかな…辺見くん?」
「ちげぇよ」
馬鹿にしてんのかコイツら。
源田にはあとでジャッジスルーくらわせてやる。
「俺が言いたいのは何で梨音の相手が源田かってこと」
「え、だって源田くん、面倒見いいし、優しいし」
なんか凄く負けた気分になる。
なんだ、俺は源田以下か。
「と、いう訳で梨音と俺が夫婦な」
「認めるか馬鹿」
「さっくん、何が気に食わないの?やっぱり次男がいい?」
「さっくん言うな、そしてそのネタから離れろ」
「みんなのお父さんをするなら私は源田くんが適任だと思うんだけど…もしかして、私がお母さんっていうのが駄目?」
「違う!梨音の相手が俺じゃないっていうのが気に食わないんだ!気づけ馬鹿!」
言い終わってはっとなる。
今、俺なんてこと言った…?
目の前に居る梨音はぽかんとしているし、源田に至っては必死に笑いを堪えている。
…お前、本当にあとでジャッジスルー2な。
「えっ、えっとその…」
「あーもうっ!そんな困るなよ!俺がお前の相手が良かったの!分かったか?」
「う、うーん…」
さっきとは打って変わり、頬を染めながら黙り込む梨音。
あの威勢の良さはどこに行った。
俺が一番恥ずかしいんだぞ。
「じゃあ佐久間が妬く前に、父親役は譲るとするか」
わざとらしく溜め息をつき、ちらちらと横目で俺を見る源田。
そして俺の方にぽんっと手を置くと、「頑張れよ」とニヤリと一言。
捨て台詞のように言い残すと、さっさと俺たちから離れて行ってしまった。
おい、去るならこの状況どうにかしてから去ってくれ。
What do I do?
(あ、あの…佐久間…)
(ああもう、そんな照れるな)
(だっだって…!)
(どうすんだよこの状況)
話がうまくまとまって書けるようになりたいです。