□11月11日、ポッキー後飴
「ポッキーの日っスよ! きっと今日は沢山ポッキーゲームをしてる人がいるっス! だから青峰っちやろう!」
鼻息荒くして何興奮してんの?
アーモンドポッキーにつぶつぶいちごポッキー、オーソドックスな赤い箱、50本入ってますよアピールの極細ポッキー。
昨日は夜黄瀬の家に行って飯食ったから買う時間なかっただろーし、つーことは朝練前にコンビニ行ったのかよ、イベント事になるとまじ元気だな。
俺はポッキーよりトッポが好きなんだよ。黒トッポ。ビターな色、俺とそっくりっていうのは無しだ。
トッポ、うめーよなー。あー、トッポくいてぇ。
ポッキーを抱えてジリジリよってくる馬鹿犬。俺の恋人。
「出た……、御前、好きだよな、この前もピアスの日ーとか言ってたし、どんだけ記念日祝えば気が済むんだよ」
「うー、青峰っちってロマンがないっスよねー」
「御前が気持ち悪い位、ロマンチストなだけだろ……」
ここで俺が御前のポッキーゲームしよう提案にのったら、黄瀬と青峰はガタイのイイホモでのりのりで、ポッキーゲームしていたって話が一世を風靡するわ、バスケ部キモって言われんじゃねーか。
赤司に殺される。
昼休み、俺のクラスまで来てなんなのお前。つか注目集めすぎだから、デルモ様。
肝心の突っ込み役の緑間はというと、赤司と打ち合わせすると昼休みを知らせるチャイムがなるとすぐ、弁当とノート、ラッキーアイテム片手に部室へ向かっていった。
きっとチャイムがなるまで部室で打ち合わせだろう。
俺、このキラキラしてテンション高いコイツを、論破できないんだよなぁ。
めんどくさい。黄瀬をどう宥めようか。
普段使わない脳みそで考える。あー? つか、黄瀬。何、俺の前の席の奴さりげなくどかしてんだよ。
田中、黄瀬にうっとりすんな。俺んだよ、コイツは。
弁当食べ終わって、週刊の少年誌を見ていた俺。その週刊誌の上にばらまかれる、四箱。
目の前に座ったキラキラお目目のデルモ様。
正直、黄瀬がくそ可愛いし……、けど、めんどくさいしやるとまずいって状態。
このまま、もうポッキーゲームでも何でもしてやりたくなる。
美人で可愛い恋人の願いを叶えてやるのも彼氏の仕事……だよな。
いやいやいやいや、思い直せ俺。
まだ、赤司に殺されたくはない。
けど、こいつの願いは叶えてやりたい気もする……。
はあー。誰でもいいから、俺を助けてくれ。
あ。
「なあ、黄瀬。ポッキーゲームってキモくね?」
「そんなことないっスよ!」
「いや、よーく考えてみろ。いいか、ポッキーを食べ進めるのはいい、が、お互いの口がくっついてベロチューにでもなってみろ。口の中に噛み砕いたポッキーがある状態でだぞ。汚くないか……?」
黄瀬の噛み砕いたポッキーなら食えっけど、今回はまぁ、そう言ってみる。
「あ!! た、確かに! 青峰っちにそんな噛み砕いて中途半端になったポッキーなんて、食べさせたくないっス!」
「だろ?」
「青峰っち…流石っス……俺、そんなこと考えずにポッキーなんて買ってきて、最悪っスね」
「んなことねーよ?」
ニコリ、笑みを浮かべてやると、黄瀬はポッと頬を赤らめ、顔をそむけた。
ちょろい……。
ということで、ポッキーゲームを回避した俺は、普通にポッキーを開け食べだした。
断りもなく勝手にだと……? いや、黄瀬のモンは俺のモンだからいいんだよ。
将来を誓い合った中だぜ。
極細はうめーな。黒トッポといい感じに張るわ。
「まあ……ポッキーはあれだけど、チョコレート単体とか飴くれーなら、やってやんねーこともねえけど……」
「青峰っち……どこまでイケメンなんスか。もう俺死にそう」
黄瀬もポッキーを食べ始めた。
いちごポッキー。うわ、やっぱりそれを一番に取るのか。
「オトメンよね、きーちゃん! 女子より女子力高いし、私もテツくんの為にもっとがんばらないと」
さつきが気合いれてたよなー。
二人で甘ったるいポッキーを食べる。アーモンドとノーマルポッキーは紫原に渡すことにした。
◇
「青峰っち……紫原っちが飴、ポッキーのお礼ってくれたんだけど……」
放課後、部活終わりに、黄瀬は飴玉持ってきて、ポッキーゲームならぬ、飴ゲームをねだった。
承諾するとはむりと大きなビー玉みてーな飴を含み、照れた顔で俺を見上げてくる。
丸い飴で片頬をぷくりとさせる恋人は可愛い。
腰をしっかり捕まえて、頭も支えると預けてくる体。
思いっきりベロチューしたら、すっげえ甘かった。
お互いの唾液を交換し合い、丸く大きな飴が小さな欠片になるまで、深く、深くキスを交わしあう。
いつもこいつは甘いけど、プラス飴っていいオプションだな。
やっべー、ハマリそ。
なんか、しばらくブームになりそうだ。
END
甘めテイスト青黄。恋人が可愛くて仕方ない彼氏峰様と、そんな彼氏峰様が大好きで些細な記念日も大イベントな黄ちゃん。
少し内容変更して、再アップ。アンケートにお答えくださった、甘めが大好きな青黄ラブな皆様へ。
20121111*
20111120改