□花園〜黒の部屋の主〜
僕たちの可愛い可愛いお姫様。
運動したから、お腹がすいただろう。
僕たちは君のおかげでいつもお腹いっぱいさ。
君もお腹いっぱい、沢山食べたらいい。
お伽話のお姫様を愛するのは、僕たち王子様の宿命。
だから君も、溢れんばかりの愛情を素直に受け止めてご覧。
愛は滴る蜜のように濃厚で、甘いはずだからーー。
◇
気を失ったままの少年の頬を、少年より小作りな男が淡く微笑みながら、撫でていた。
暖かな頬は柔らかく、男は耳元に唇を寄せた。
少年の眠りは深い。
早く起きて欲しい。
その美しく儚さを浮かべる瞳を僕に見せて欲しい。
男は、耳元で囁き、貝殻の形の耳に口を寄せる。それを唇へと移動させ、薄く呼吸を繰り返す口へまた口づけを始めた。
お腹を空かせて眠る愛しい人に、何か食べさせなくては。
キセキからの体液で栄養は完璧だろうが、涼太は人間なのだから。
男は厨房へ向かい用意していた、穀物を柔らかく似た粥と果物をトレイにのせ、部屋に持ち帰った。
部屋に入ってベッドを見る。
眠るお姫様は、当分起きそうにない。
「そうですね。ご飯も用意しましたし、着替えましょうか? 涼太君」
男、黒子テツヤは涼太に誂えた服を寝室の奥にある専用クローゼットから取り出した。
「今日はこれにしましょうね。いつもよりかわいい、君にぴったりのワンピースですよ」
黒子は涼太が眠る部屋へ戻った。
「んっ」
「涼太君。目覚めましたか?」
「黒子っち……?」
「お腹空いたでしょう涼太君。ご飯食べましょうね」
「……いらないっス……」
「ダメですよ? これから僕の相手をするんですから。体力つけないと、ね?」
「や……」
くるりと黒子が腰掛けたベッドの反対側へと背を向けた涼太に、黒子は苦笑する。
「わがままもかわいいですね。涼太君。じゃあ、イチゴを食べましょうか?
これは君の住んでいた街の住人に作らせました。君もこの果物は好んでいたでしょう?」
黒子は口に果実を含むと、犬歯で噛み砕いた。
涼太を引き寄せると、驚いた小さな口に押し当て、舌でねじ込み吐き出さないように涼太の口を塞いだ。
「んんー!」
頭を振り逃げる涼太の形のいい後頭部を抱き寄せ、咀嚼し嚥下するまで離さずに黒子は口を寄せる。
「はっ、はぁ」
「飲み込みましたか? なら、もう一つ食べましょう、涼太君」
黒子の笑顔に涼太は涙を浮かべた。
「ふぇっ、えっく」
果実は六個あり、それを一つずつ黒子は口に含み、砕き、唾液とともに涼太にそれを与え続けた。
強制的な食事は涼太の苦しみを助長させるも、黒子は恍惚と涼太の泣きながら嚥下する様子を見下ろす。
「涼太君。これなら多く食べれますね。しばらくはイチゴを食事にしましょうか?」
飲み込めなかった液体になった果汁と唾液は涼太の口の端を汚し、シーツの一部を赤く染めた。
果汁は糖分を含み、涼太はべたべたになった顔とシーツに悲しくなり、さらに泣き出した。
優男めいた風貌の黒子は、有無を言わさぬ強引さを持ち、抵抗しても笑ってこちらを攻め立てるのだ。
「本当にかわいいですね。食べてしまいたいくらいです」
れろ。口の端を汚す果汁を赤い舌が何度も往復する。
かちかちと鳴り出す歯、頭を振って舌から逃げようにも、黒子ががっちり頭を抑えて動けない。
しまいには、口をなめられ、歯をなめられ、耳の裏をなめられ。
ハァ、興奮した吐息が耳に入り、涼太は硬直する。
「服も汚れてしまいましたね、涼太君。お風呂に入りますか? ――ああ、でもすみません。勃ってしまったので、先に僕を楽にしてくれませんか?」
ぐいと腹に押し付けられた硬い高ぶりに涼太は、うさぎのようにぶるぶると震えることしか出来なかった。
「いたいっ、痛っ――」
押さえつけられた手首があまりにも痛い。
骨まで軋む感覚に涼太は黒子に涙を浮かべ訴える。
「あぁ、すみません、涼太君。痛かったですか? かわいくて、我を忘れてしまいそうになる。力加減が難しいですね」
キセキの中でずば抜けた力を持つ黒子は、力を軽くいれただけで物が壊れるほど筋力があり、握力などは黒子が意識していないと握った対象がすぐ歪みをもってしまう。
丁重に、大事に涼太を扱いつつも、愛を捧げる者が目の前にいる。
ベッドの上、蒸気した頬、複数の精の匂い。
本能が黒子を加速させていく。
自分が一番、深い奥へ、繋がりたい――。衝動は熱となって、自身の中心に溜まり、開放を待つ。
いつの間にか脱がされた服。
片足を黒子の肩に乗せられるも、涼太は上にずって逃げようとする。
くちゅくちゅと体の中で動かされる指が、黒子が本能のままに動こうとすればするほど、涼太のすべてが陥落してしまう。
「ぁっ、あっ!」
柔らかく黒子のものを迎える用意が出来るまで、黒子は指を何本も増やしていく。
前からはしたなく出てきた白濁の前走りは後ろまで滴り、潤滑剤としての役割を果たす。
水音と、喘ぎ声。
黒子の中心は服を押し上げ苦しいと黒子に主張してきた。
いったん指を抜き、身に着けているものをすべて脱ぎ、涼太に覆いかぶさる。
生々しい肌の温度に、涼太は今夜もまた、ずっとこの時間が続くのかと、絶望を感じた。
「涼太君、愛してますよ」
◇
打ち付ける楔の熱さに、涼太は呼吸を忘れる。
熱い。
揺さぶられるたびに肉のぶつかる音と、粘膜質な音が響き、自分を揺さぶる男はうっとりと自分を見下ろす。
何度も何度も、気が狂うほどに揺さぶられ、中を暴かれる。
「ふふ、ナカ、絡み付いてくる。気持ちいいですか? 涼太君」
「あっぁ! あ」
腹を汚す白濁は涼太が出したもので、出すたびに黒子は腹に舌を寄せ、舐めとっていく。
巧みな舌使い、すぼめられ臍の中に舌をいれられ、また腹を舐められる。
身をよじりたくも自分の中に埋め込まれたものと、押さえつけられた体は動くはずもなく、快楽は涼太を追い詰めていく。
「まだまだですよ。夜は長いですから。涼太君、ねえ、もっともっと受け止めてください。まだ、僕は君を味わい足りません」
硬く熱い黒子のものがまた熱を持ち、肩におかれた足を開放され、体位を変えられ、そして速度を上げて突き上げられる。
熱い液体が数回、ナカで放たれ、涼太は、心から涙を流した。
「あ……」
どうして、俺――。
気持ちいいなんて、思いたくない。
「どうしましたか? 涼太君。いつもよりココ気持ちよさそうですよ」
結合部を指でなでられれば、びゅくと白濁を放ってしまう。
「感じすぎて、おかしくなりそうですか? 本当に可愛いです。君は。今日は夜が明けるまで、僕の愛を受け止めてくださいね」
涼太は甘く、どうにもオスの本能を掻き立てる。
黒子は汗を拭うと、深く繋がるために、涼太の体に覆いかぶさった。
END
20130715
花園シリーズ3段。
次があれば紫黄、最後はラスボス赤司様にしたい。未定。