君を残して一人旅立ったものだから、君が泣いていないか、いつも、いつも、気になっていた。
君は健気で、我慢強くて、本音は口にしない、そんな頑張り屋さん。知っていたよ。寂しい思いをさせていたね。
笑顔が可愛くて、僕の為に一生懸命なところ……いじらしい。守ってあげたくなる。
今から、君に会いに行く。
君は、そこにいて。そこで僕が来るのを、少しだけ待っていて。
約束だ。
君が寂しい気持ちを消し去ろう。
今度こそ、一緒に連れていく。
離れないように。
君を幸せにする。
「涼太……」
幸せになろう。
ずっとずっと、一緒だ。
新幹線が名古屋を出て、静岡を通過する。君の住む東京まで、あと僅か。
君の笑顔が脳裏に浮かび、我慢出来ずに、席を立った。
通話スペースへ移動し、片手に持ったスマートフォンを操作する。
「あ、涼太?」
END
20130611