□Bプラン2
さて、デッキの中身の問題っス。
まだ時間はあるし、気になる。
再生してみよう。
安易に考え黄瀬は再生ボタンを押した。
「あっあぁん! アン! アン!」
最初からではなく、停止した場所から始まり、黄瀬は甲高い声に硬直した。
画面には若い女が淫らに喘ぎ、男のそれを秘所に入れ、出し入れを強調するシーンが写っている。
無修正っスか!!
無修正でも、青峰っちなら、洋モノ見てると思っていたのに。
男がもう一人あらわれ、乳房を揉みはじめた、変幻自在に形を帰る柔らかい脂肪。揉みしだき、円を描き、突起を嫌らしく舌でキャンディを舐めるように舐め、乳輪ごと含む。
女はまた激しく喘ぐ。
しばらく見ているが、喘ぎっぱなし、感じっぱなし。
所謂、イキっぱなしってやつ。
黄瀬は1ミリも性的興奮せず、どんどん冷静になっていた。
………これ、演技じゃん。
感じてるフリしてる。
しかもなにこの喘ぎ声。
媚びた甘い声。ひっきりなしに喘ぎ出る声は普段この女がしゃべるトーンとか違うだろう。
嫌がり無理矢理する演出と理解したが、女は嫌がる仕種どころか男が女の足を上げようとすれば、自ら足を上げ、性器を喜んで迎える。
更には足を絡め、胸を舐めていた男の性器を嬉しそうに口に迎える。
うっわ、ねえっスわ。
青峰っちは一体なんでこんな趣味の悪いもの、みるんスかね。
「アン! やぁん! アン!」
黄瀬は、サブウェイで買ったドリンクをストローを使いじゅるじゅる飲んだ。
ずずずずーずそーっ。
喘ぎ声を掻き消そうと汚い音を立てて飲み干す。
蓋を開け、中の氷を食べる。
『行儀悪いのだよ。それに不健康だ』
親友の緑間はよく学生時代にこれを咎めた。片思いだったあの頃、バスケ部エースのブランドをもっていた青峰にたかるハエみたいな女たちに苛立って我慢できなかった。
イライラしたら口の中ですぐに砕ける氷でストレス解消してたんスよ、緑間っち。
ガリガリ、砕く。
女の体内から性器が抜かれる。
腹の出た男の性器は小さく、青峰の凶器に近いものと比較対象にもならなかった。
停止ボタンを押し、黄瀬は最後の一口の氷を口に含むとガリっと奥歯で砕いた。
こんなAVみるほど、青峰っちは飢えてるんスね。
んなら、俺で解消してもらうしかないっしょ。
酒も入っていないのに、黄瀬の思考は変な方向に向かっていた。
…………
Side青峰
大事な恋人から、本日は一日中オフと昨夜、メールで連絡をもらった。
チームメイトに「機嫌いいな! 俺のやったAVでホテルで昨日抜いた?」とちゃかされるほどだった。
「遠征先に荷物になるンなもんもってこねーよ、昨日は散々打ち上げでお前と飲んだくれてただろ?」
「そうだったな」
「あれ、遠征前に見たけど、演技だったろ。ドン引き。お前がイイ、イイ、言うから30分は見てやったけど、あんなつまんねーもんもう貸すなよ」
「演技?! まじで?!」
「おー、わざとらしくて、もう見るに堪えなかったぜ」
「お前が言うなら100%演技だろうけど……でもあの女の子めっちゃかわいくなかったか? 俺、すっげー好みああいう顔!」
「お前の顔の趣味とか興味ねーよ。だいたい俺はあんな女より、飛び切り美人の恋人がいンの」
「いい加減、紹介しろよ」
「無理。お前が惚れるレベルの美人だし、俺だけを見てて欲しいからな」
「始まった。青峰の惚気! もう! 俺は寝る!」
チームメイトたちはバスの中で好きなことをして、大半は寝ていたから、俺と話していた奴はふて寝してしまった。
黄瀬にメールすっか。
『あと30分したら家に着く』
揺れるバスの中メールを作成しおくった。
黄瀬とゆっくりして、晩飯は外に食べにいくのもいいな。
久しぶりにワンONワンしたいってあいつが言うなら、バスケットボール持って二人で真剣勝負強しよう。
買い物したいっていうならそれに付き合おう。
黄瀬と一緒ならなんでもいい。
俺はあと10分のバスの移動の間眠ることにした。
…………
ながくなったから、きります。
何気にシリアス?
つづく
20130310