□LOVE PASSION
冬の朝。今の外気は0度らしい。
エアコンを切って就寝した部屋の中も寒かった。
隣に横たわる黄瀬は昨夜体を酷使しすぎた為、びくりとも動かない。
寒い時期は黄瀬との体の繋がりは最小限にしている。
黄瀬が体を冷やして、体調を崩なさいようにだ。
火神にとってはパートナーの体調を気遣うのは当たり前で。
己の性欲よりも黄瀬が大事だからと黄瀬の体を労った。
だが、黄瀬は昨日はその扱いが気に障ったらしく、火神に反発してきた。
高尾と二人で軽く飲んできた。
そう話していたから酔いが多少まわっていたのかも知れない。
「俺はお姫様じゃないっス。もっとあんたと抱き合いたいんス」
強い口調で責め立てられた。
涙が目の両端に溜まり今にも落ちそうになる。
「俺も、高尾っちみたいに、求められすぎて次の日立てないとか言ってみたい……」
小さな声で呟かれた、黄瀬の声。
高尾との会話で、高尾と緑間に嫉妬したという。
黄瀬のあまりの可愛らしさに目眩がした火神は、両目を手で覆い隠し、隙間から天井を見た。
普段どれだけ我慢しているか分かってない。
ならば。
今日位は。
リクエストに応えて、思う存分。
毎回、優先している自制心を破り捨て、黄瀬を押し倒した。
□
柔軟性の強い体をギリギリまで折りたたみ、楔を打ち込み責め立てた。
何度も体位を変え、黄瀬が「もう嫌だ」と言っても、腰の律動を止めなかった。
下着に隠れる場所に鬱血を施し、黄瀬が恥ずかしがる場所を何度も舐めた。
これでもう、黄瀬は高尾を羨ましがって、自分を焚き付けないはずだ。
少し残念な気がするが、黄瀬の体が第一な火神は、自分の欲求中心に相手を扱うことはあまりしたくなかった。(緑間の意外な一面を知って驚いたが)
黄瀬のオフと俺のシーズンオフが重なり、10時半からいつもの仲間とストバスをすることになっている。
今日一日、文字通り黄瀬が動けなかったらどうしようか。
動けなかったらか……。
ストバスは二人欠席するしかないか。
火神はリモコンをとり、部屋を暖め始める。
黄瀬の髪を撫で、火神はベッドから出た。
名残惜しくて、もう一度、黄瀬の髪に唇を落とした。
あと30分したら起こそう。
起きなかったり動けなかったら、欠席の旨を青峰に伝える。
火神はシャワーを浴びて、朝食を作るべく寝室から出た。
□
「あぁ、マジ悪いな。じゃあな」
火神の会話する声で目覚めた黄瀬は、容赦なく抱かれて初めて、火神の優しさと愛情に気がついた。
肉欲の塊を押し付けられ、腰を引いてもすぐに腕が、逃げる腰を捕らえ、奥深くを貫き、質量を増したものから出る白濁を放たれる。
黄瀬は昨夜の情熱的な火神を思い出し、顔を赤らめ羽毛布団の中に潜る。
身じろいだ音に、火神は黄瀬が起きた事を察知した。
「あ、わり。起こしたな」
「か、…みっ…」
喘ぎ、枯れた声に黄瀬は驚く。
「ほら、水」
「ん」
ベッドに座り、黄瀬を抱き起こし、水を与える火神。
「あ、涼太。今日ストバス俺ら欠席にしたから、ゆっくり休んでいいぞ」
「え!?」
「何度起こしても起きなかったからさっき青峰に連絡した」
「ぇ! 俺、久々に黒子っちに会いたかったのに!! 青峰っちとワンオンワンしたかったのに!」
「いや、今日無理だろ、ンな体でバスケなんて」
言われてみれば、普段使わない部位の筋肉を使ったからか筋肉痛になり、後ろはじくじく熱を持っている。
「ほら、風呂入るぞ。今日は一日全部俺が世話すっから」
「自分のことは自分で出来るっスよ! って、痛!」
ズキ。痛む体。
「もうこれに懲りたら俺を焚き付けんの、止めろよな。歯止めきかねーとお前壊しちまうからよ。あ、飯と風呂どっちからにする?」
ちぅ。優しく甘ったるい笑顔を浮かべる火神から額にキスをされ、抱き上げられた。
「ぅぅぅ……」
「ん? どーした涼太?」
眠れる獅子を起こしては、自分の身が持たない。黄瀬は痛感したのだった。
END
20130210