□完璧にノックアウト
寒い季節になってもアイスの魅力は変わらない。
部活帰り、青峰っちと立ち寄ったコンビニ。
おでんの香りが狭い店内に充満している。
肉まんやフライドチキン、ポテト。
体を動かし、胃は昼食をとっくに消化して空腹を示しているが、敢えてアイスを買う、俺と青峰っち。
「寒いときに食うアイスってたまんねーよな」
「っスねー。うはーさみぃー!!」
街行く人々はマフラーやコート、手袋を身に着け足早に家路を急いでいる。
テンション高く俺らはアイスを食べ歩く。
駅まであと250メートル。明日も部活が早いから二人でいられる時間はあと数分。
寂しいけど、この時間が何よりも代えがたく、幸せを感じれる。
アイスは溶けてなくなるけど、青峰っちへの愛情は溶けてなくなったりしない。
雪みたいにますます積もっていくだけ。
肩を並べ、先ほどの部活内での爆笑珍事件を反芻しあう。
馬鹿みたいにはしゃいで、モデル仲間が見たらびっくりするかもしれない今の俺は、青峰っちが取り戻してくれた本来の自分だ。
すっげー、楽しい。
すっげー、幸せ。
すっげー、青峰っちが好き。
すっげー……この人が好き。
この想いはまだ言えないけれど。
100メートル、50メートル、20メートル。
駅に到着。
「じゃあ、青峰っち。また明日っス! 寝坊はだめっスよ?」
「寝坊したら赤司に殺されるからしねーよ」
「はは。青峰っちでも赤司っちは怖いっスよね」
「当たり前だろー。まあいいやつだけどな!」
「そっスね……っふぇっ」
くしゅん!
「あー。アイス食ったからっスかねー」
「風邪ひいたらやべーだろ」
「やー、今日急いでてマフラーしてくんの忘れたんスわ。さすがにさみーし首元スースーするっスね」
「……ほら、マフラー貸してやるよ。俺の方が家ちけーし」
青峰っちはつけていたマフラーを外し俺の首元にぐるぐると巻く。
ふわりと香る青峰っちの匂いとマフラーのぬくもり。
なんでこの人、こんなにカッコいいんだよ。
あんたこそ、鼻のてっぺん赤くして。風邪ひいたらどうするんだよ。馬鹿。
ああ、もう反則だ。完璧にノックアウト。
「青峰っち、バイバイする前に、云いたいことあるんスけどっ!」
腹くくって、告白してやる!!
青峰っち覚悟するっスよ?
訪れるクリスマス。二人で祝えるように、祈り、口を開いた。
END
ほのぼの話。寒い中アイスを食べるのは最高ですね!
やっぱり黄受けと言えば青黄だというアンケートのお答えが多いようなので
UPしましたー。
ほっこりする話もいいですよねっ/////
20121110