□My dearest













※青にょた黄
双子の子供いる設定





夏に生まれた君と、梅雨に生まれた私の、子供達――。











「ねー、パパ! ママは何で俺らのケーキ作ってくれなかったんだよ」



「あー? 赤ちゃんがもう出てくるからあんま無理させれねぇだろーが。お兄ちゃんになるんだから我が儘はいわねーの」



5歳にもなると、大人と同じ会話が出来る。


その成長が素直に嬉しくも、生意気で手を焼く息子を諭す。




俺からしたら小さな紅葉の手は、幼稚園の同学年の園児と比べれば大きなサイズらしい。



俺も涼も身長は高いからきっとこいつもでかくなるんだろうな。



いつもは「車がいい」、「車で行く、行く」うるせー息子が、今日はパパと歩いてケーキ買いに行くからと、目をキラキラ輝かせていたから、二人で行くことにした。



桜並木の坂道を抜け、ケーキ屋と花屋で無事に予約していたものを手に入れた。あともう一個の用事も済ます。




手を繋いで、ゆったりと歩く。歩幅が違いすぎる息子は、新しい学年の幼稚園話に夢中だ。





相槌を打ちつつ、男同士で話をする。普段遠征試合で留守にすることが多い俺との会話が嬉しいらしい。やはり、息子はかわいい。



帰り道。春の風が並木道を駆け抜け、さぁぁぁっと桜が天空を舞う。




二人で目を細める。幼いながらに感動している愛息子。一旦ケーキと花束の紙袋を置き、肩車をしてやった。



「うわぁ! パパすっげー高い! 桜が近い!」




「あんまし暴れんな。ちゃんと捕まっとけ」





こいつにも、いつか最愛の人を見つけて幸せになって欲しいと願う。




そして、その最愛の人をちゃんと守れるような男になって欲しい。




俺の頭にぎゅっと抱き着き無邪気に笑う姿。



「パパ! 夏になったら蝉とザリガニ捕まえよーな! どっちが多く採れるか競争!」



「あー? 俺に勝てんのは俺だけだぜ?」



「んなことねーし! そういうのウヌボレって言うんだぜ! ママが言ってた!」



「ふはっ。マジかよ」





俺は、幸せだ。

















「ママー! パパ達帰ってこないねー」


「そうっスねぇ。あ、にんじん切るときは猫さんの手だよ?」


セラミックの子供包丁。にんじんを小さな手で押さえて、真剣な眼差しで集中する我が子。


今日はこの子と、買い物に行っている子の誕生日。


昼下がり、もう少しで出てくる子と5人で祝うパーティーの準備をしている。


臨月で張り出したお腹は重く、流石に毎年手作りで焼いていたケーキはお休みした。


家族皆が大好きな青峰ママ直伝のハンバーグカレーを、愛娘と一緒に作っている。




優しい娘は、お手伝いをしようとさっきから器用に手を動かす。




料理のセンスはあるみたいっス。あとで青峰ママに報告しよう。


「うん、それでいいっス。あとは蓋して煮込むから、ちょっとお休みしよう」


二人で手を洗い、椅子に腰かける。お茶をグラスに注いで渡してやると、娘はごくごく飲み干した。



喉そんなに乾いてたの?







「ねぇ、ママ! パパと何で結婚したの?!」





「えっ?! 何でって――」





何でそんな質問が出て来たのか気になっていると、口の達者な子は話を続ける。






「だって、パパってば、いつも部屋散らかすし、たまに意地悪だし、バカなんだもん!」




「バカって……。まあ確かに散らかすのは否定できないっスけど。うーん、パパの事嫌いっスか?」






「……バスケしてる時とかはカッコイイけど……。あと抱っこしてくれてご本読んでくれる時も……」




小さくなっていく声。真っ赤になる顔。嗚呼、この子も小さくても一人前の女の子なんスね。照れてる表情がかわいい。




ちゃんと父親らしいこともしててよかったっスね、パパ。




「バスケットしてなくても、ママからしたら、パパは世界一カッコイイっスよ?」




「えー、ママって変わってるよね! こんなにカワイイのに勿体ない! 赤司君の方が絶対カッコイイのに!」




「えー! 赤司っちスかー?」


この子は赤司っちがお気に入り。次点で黒子っち。いや、どっちもイケメンスよ。





割と華奢な体つきの人が、好きなタイプなのかな?



いつか「青峰っち」、「黄瀬」と呼び合っていた頃の話をこの子にしてあげよう。





思春期で父親が意味もなく嫌な時期か、好きな人が出来て恋に焦がれてしまって告白できないときにでも。







私が今も愛してやまない最愛の人との思い出を。






「「ただいまー」」



「あ、ママ! 帰ってきたよパパたち! 私お迎えしてくるから、ママは赤ちゃんとここで座っててね!」



テッテッテとダイニングを飛びだしていく小さな我が子。




それから、幼い声に交じる大人の笑い声。ダイニングを目指し戻ってくる足音は三つ。




カチャと開く、扉。
今日5歳を迎える双子とパパの笑顔が見えた。




お腹を摩ると、元気に足蹴りされる。分かってるっス。今日は一緒に楽しもうね。





嗚呼、私とっても幸せだ。














「さ、プレゼントっスよ。パパとママから」

「二段ベッドが俺から。ママからはお前に変身ベルトとポケモンの人形。お前は本とダッフィーの人形な」

カレーを食べて、ハッピーバースデーを歌い写真をとり、ケーキも食べて、いよいよプレゼントを子供たちへ渡す。
子供二人からの希望で、子供部屋にあるベッドを新調し二段ベッドにした。
お兄ちゃんとお姉ちゃんになるから二人で協力して、自分たちのことは自分たちでやり、決めていきたいらしい。着替えは勿論、お片付けや幼稚園の用意も二人で頑張ると言う。

「ありがとう、パパ! ママ!」

二人はプレゼントに目を輝かせる。一通りはしゃいぎ終わり、双子はパパにアイコンタクトをとった。パパは頷き返している。


「あのね、ママにこれ!」



「誕生日ってママが一番頑張った日だって、パパが教えてくれた!ママが頑張ったから俺たち生まれたって! だからママにもプレゼント!」


思いがけない嬉しいプレゼント。目を見張って二人を見ると、自分と最愛の人そっくりの目が嬉しそうに細まった。

小さな双子達からママへのプレゼントはフォトブックだった。中を見ると、家族写真が年代ごとに並んでいて、空白ページは生まれて来る赤ちゃんと撮った写真を入れるのだと言う。

ちらりとパパを見ると、穏やかな顔。

「まぁ、だから、こいつも頑張って……無事に産めよな」

お腹に向けられる視線。双子を産む時も骨盤の小さなママは初産をとても苦しんだ過去があった。

「うんっ。うん!」

涙目になりポロリと落ちる涙。

「「あー、パパが泣かしたー!」」

「俺じゃねーよ! ほら泣き止め!」

頭に手をおかれ、撫でられる。大きな手に光る結婚指輪。


いつまでも続く永遠を誓って、六年目。




今日もまた家族皆が幸せだと感じる一日であった。




END




青にょた黄。
拍手文から移動しました。
高校生編でピュアピュアだった二人は順調に結婚し、順調に暖かな夫婦生活をしております。
パパ峰の試合をママ黄と子供は見に行って、皆で仲良くお食事するシーンをファンから目撃され、パパ峰の子煩悩さにびっくりしファンはどんどん増えていくというね。
また機会があれば続編でも。



20121108









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