□花園
可愛い可愛いお姫様。
今日はかくれんぼかい?
本当に可愛いね。さて、誰が一番に君を見つけるかな。
君以外は全員、鬼。
必死に逃げているだろう君は汗を垂らして、涙を浮かべて――。
さぞ、そそるだろうね。
◇
この広い古城の中、近くに誰もいないのに関わらず、少年は一人必死で逃げていた。
ぜいぜいと息は絶え絶えになり、全力疾走した為か、少年は口から血の味がするのを感じた。
それでも走るのをやめない。
城は特別な結界が張ってあるので、行けるのは庭まで。
少年はその結界から外には出たことがなかった。
この国を支配している特別な能力を持つ五人に、少年、黄瀬涼太は魅入られてしまったのが運のつきだった。
平和に暮らしていた日常が壊れ、一人この城へ捕らわれてから、毎日毎日、五人の閨の相手をしていた。
赤い部屋の主、赤い髪の男、赤司征十郎。
青い部屋の主、群青色の髪の男、青峰大輝。
緑の部屋の主、深緑の髪の男、緑間真太郎。
紫の部屋の主、紫の髪の男、紫原敦。
黒の部屋の主、水色の髪の男、黒子テツヤ。
キセキと呼ばれる地上最強の男たち。
「はぁっ、はぁっ」
城の大きな扉を開け、庭園に入り込む。
庭園は三つあり、緑間が管理している薔薇園、赤司が管理している温室、黒子が管理している季節の花々が咲いている庭園と、その敷地は無限に広がっている。
薔薇園には丁寧に棘を取られた薔薇も咲いているが、野ばらも咲いており、棘が刺さり、
薄い涼太の皮膚を簡単に傷つけてしまう。だが、涼太は必死に奥へ奥へ入っていった。
緑間は今日の今の時間はこの庭園にいることがないと涼太は判断した。
息をひそめ、ここにずっといれば、今日はきっと誰の相手もしなくて済む。
情事は長く、毎日泣いて止めてほしいと懇願しても誰一人涼太の願いを受け入れてくれるものは存在しない。
涼太の腹の中に子種を注ぎ、皆一方的に愛を囁くだけだ。
腹にそっと手を置き、涼太は昨夜のことを思い出した。
昨夜は紫原の相手をした。植えつけられる白濁を受けつつ、長い夜が過ぎ去ることだけを願った。
大きな体で覆いかぶされ、大きな凶器で突き上げられる。
愛していない人間のモノを受け入れる嫌悪感、恐怖、色々な感情で壊れそうになる。
散々ベッドで突き動かされいいようにされ、涼太は涙を流す。
散々弄ばれた夜が終わり、目覚めると、紫原がいなかったので、逃げ出した。
とにかく、一人になりたかった。
空は鮮やかで雲は鱗雲が広がっていた。
明日は雨なんだな。
街の皆は元気だろうか。
このまま明日まで見つからなくって凍死したら、楽になれる。
涼太はぼんやりと考えた。
庭園は薔薇が咲いていて、自分の姿をうまく隠してくれている。
背の高い薔薇が多いのでしゃがみ込めば、あの五人でさえもきっと見つけれないだろう。
野ばらの香りは濃厚で、むせ返るような香りがした。
瞳を閉じ、嫌なことは今は忘れよう、そう思って、もう一度、空を見ようと視界を上に上げた。
「見つけたぜ」
ガサリと音がし、そこから現れた存在に身を固くした。
凶悪な顔は笑顔で歪んでいる。
男と目があう。男の名前は青峰大輝。青い部屋の住人。
「ったく、手間、かけさせんじゃねーよ」
浅黒い腕が涼太に向かってくる。
後ずさりし、体制を変え、逃げようと立ち上がるも遅く、簡単に地面に組み敷かれた。
上下の区別のない簡易なものだから、下から手をもぐりこませればすぐに脱がせられてしまう。
が、短気な青峰は毎回この白い布を破り、許しを請う涼太を攻め立てるのを好んだ。
「ア、ヤダ、いやっス。今日はもうしたくない!!」
「あー? 今日はまだ誰ともやってねーだろ?」
鳥肌を立て、両手を簡単に抑え込まれている涼太は抵抗する。
青峰にとっては、取るに足らない抵抗にすらならない弱い力。子猫の戯れかとキセキの皆も笑う小さな力。
びりびりと音を立て、服だったものは布きれになれ果てた。
ちらりと下肢に目をやった青峰は、こびりついている乾いた精液と、それを受け入れていた場所から少しずつ流れ出してる白濁に目をやり、垂れている白濁を指にすくった。
見せつけながら、それを涼太の頬に撫でつける。
「これ、誰んだ?」
素直に口にしないと、青峰はひどい抱き方をする。両手を押さえつける手に力が入り、涼太は痛みに眉をしかめた。
「紫原っちの……っ」
「あいつ、ひでーなー。俺はいつも処理してやるもんなー? なー? 涼太、俺は優しいだろ?」
「んっぁあ!!」
くぷっ。中に指を入れ、白濁を掻き出す青峰は依然涼太の腕をとらえ、器用に片手で掻き出している。
涼太の感じてしまう場所を執拗に攻めつつ、指で柔らかくなっている中をほぐし続ける。
だんだんと固さを持ち成長していく涼太の花芯をじっと見つつ、手を止めない青峰。
最終的にその量は地面が湿って濡れてしまうほどで、青峰は感心していた。
「あいつ量すげーわ」
泣いている涼太は頬が上気しはふはふと息を懸命に取り込んでいる。
抗う力もないので、青峰は小さな頭の上で押さえつけていた両手から手をのけてやる。
青峰は涼太をひっくり返し、四つん這いにさせた。
美しい染みひとつない華奢な背中は庭園の地面の乾いた土が僅かに付いていてしまっている。
後で風呂にいれるか。
青峰は震える小鹿の足の様な涼太の太ももをじっと見つめた。
完全に柔らかくなった場所に、青峰は自分の雄を埋め込むべく、服を脱ぐ。
腰をとらえ、後はもう本能に任せて、中に入り、涼太を愛するだけだ。
喘ぎ声は最高のスパイス。
「あっ、あっ!!」
何度も、突き上げ、ぎりぎりまで抜いて、一気に貫く。
涼太の甲高い声が更に高くなる場所を長い自分のもので煽り続ける。
庭園に響く甘い嬌声と、野ばらの香り。
青峰は汗を垂らし気持ちよさに酔い痴れる。
ふっと視界に入った白魚のような手に一本の血の筋が見えて、青峰は涼太の片手を取りじっと見た。
涼太の手は野ばらの棘で傷つけたであろう怪我の所為で人差し指は血がにじんでいた。
「ちっ」
傷のある人差し指をねっとりとした舌が這い、ぱくりと指を口に含まれる。
暖かい咥内で傷を舐められ、ぴりとした痛みを感じた涼太は青峰のはいる場所に力を入れてしまう。
「痛てぇか。ま、唾つけときゃ治るだろ」
何度も舐めながら、器用に突き上げ、涼太を高みに追いつめていく。
青峰がイく頃には、涼太は気を失いかけていた。
「おい、青峰、いい加減にするのだよ」
美声が庭園に響く。
青峰が振り向くと、そこには眼鏡の美丈夫がいた。
緑間真太郎。この薔薇の庭園の所有者だった。
「てめーなんでここにいるんだよ」
「涼太がまた可愛くかくれんぼをしだしたと赤司から聞いてな。もともと今日は俺が涼太を抱く日だろう。外に出たら涼太の匂いが庭園の薔薇にまじって香ってくる。涼太の匂いを追って茂みにはいったらお前と涼太がいたというところだ」
「あー、残念。交代だな。涼太寝たし、やるわ」
「寝た、という言葉は適切ではないのだよ、アホ峰。俺が風呂に入れる。今日涼太を好きにしていいのは俺だ」
「ああ、わかってるよ」
ずる、放出し終わった性器を涼太の中から抜き青峰はさっさと身支度をする。
地面に這いつくばっている目に入れても痛くないほど愛している、涼太を優しく抱き上げる。緑間は上着を脱ぎ、喘ぎ過ぎてかさついた唇の端に己の唇を落とす。
緑間は、涼太のぶらんと垂れ下がった両腕を、寒くないように先ほどかけた上着の下にいれようとした。
目ざとく見つけた指の傷に顔をしかめ、青峰に詰め寄る。
「青峰、御前、涼太を傷つけたのか」
「ちげーよ、この野ばらじゃねえ?」
「庭園の薔薇は棘を全部切り落としたはずだが、こぼれ種から咲いた薔薇は放っておいたのが悪かったようだ。明日にでもこれは切り落としてしまおう。涼太を傷つけた存在などこの世に存在する価値などないな」
緑間は先ほど青峰が含んだ、傷ついた人差し指にも唇をおとし、踵を返し、城に向かうべく歩き出した。
「せっかく生きてたのに、残念だな、御前。まあ涼太を傷つけたのが運の付きだな。せいぜい明日までの命、謳歌しろよ?」
独り言を呟き、青峰は巻きたばこを取り出した。
庭園は青峰のすう嗜好品と涼太と青峰の性の匂い、そして、薔薇の匂いに包まれた。
青峰の立ち去った後には、また濃厚な薔薇の香りが庭園に広がった。
END
キセ黄パロですー。
評判がよければ、全員分書きたいな。
緑間編は皆様の応援があれば割と早めにお目見えできるとおもいます〜。
ちなみに黒子っちが一番力強い設定よ。
お姫様だっこだって余裕だぞ★
20121218