□eyelash

















紫原の睫毛はとても綺麗だ。



珍しく部活も休みで、しかも紫原の家族が留守だった。


室内デートの約束を昨日した黄瀬は紫原の好きなケーキを買って、家に向かう。



黄瀬は早朝から撮影を一つ終わらせてきた。紫原は迎えに行くと言ったが、いつも迎えにきてくれるからと黄瀬は今日は遠慮した。


駅に着いた。
「親いないから勝手にはいってきてー。部屋にいる」とのメールがはいる。

紫原の家は駅に近い。



家につき、チャイムを押さずそのまま2階へ上がると、紫原は、ベッドでぐっすりお昼寝タイム中だった。



黄瀬は端正な顔立ちにうっとりしながら、静かにベッドサイドへ近づき腰を下ろす。




紫色の睫毛は伏せられ、ビー玉のように純粋で穢れのない瞳は拝めない。


紫の睫毛は、綺麗な色をしている。榛色の柔らかくふさふさした睫毛、普段じっくり見られない分今しっかりみていたい。

頬杖をつき、黄瀬は無言で意中の人を見つめていた。



コチコチ時計の音と紫原の呼吸する音。穏やかな休日、二時半。



いつまでもこの寝顔をみていたい。
そう思った数秒後。




パチリ。紫原の目は開く。



「んー? あれ、俺、寝てた?」



「おはよう、紫原っち」




「んー……おはよう、したくないん……だけどー」



ぐいっと体を引っ張られ、そのまま黄瀬はベッドへ引き込まれた。



「あっ」




長い足を絡められ、黄瀬は赤面する。




吐息がかかる距離まで近づいたからだ。赤面した黄瀬に紫原はリップ音を軽快に鳴らし、キスをする。



「黄瀬ちん、いつからいたのー?」



「15分位前から、かな?」





「なんで、起こしてくんねーの?」




「や、その、寝顔見ていたくて……。紫原っちの睫毛の色、すごく綺麗なんスよ? 紫原っちは知らないっしょ?」




照れつつ笑顔ではにかむ黄瀬が愛おしすぎて、紫原は溜息がでる。




「カワイイすぎてヤバいんだけどー」





絡められた足を解かれ、紫原は起き上がる。寝転がった黄瀬を大きな体で囲み込むと黄瀬の唇をまた奪った。



ぬちゅ。キスは深いものに変わり果て、淫らな音が響く。





「すき。大好きっスーー」




キスの合間に紡がれる言葉。その言葉を必死に伝えてくる黄瀬が、


可愛いすぎて、紫原は居た堪れなくなる。




(本当に何でこんなに可愛いんだよ、黄瀬ちんは)





「俺は愛してるよ、黄瀬ちん。もー可愛すぎてヤバイって。あーもー、マジスイッチ入ったしー」



早急に食らい付き、口腔を犯しキスを堪能した後、紫原はシャツをめくり、中に手を入れた。





「んっ、ひ、ぁ。あ…紫原っち! ケーキが温くなっちゃう!」




「ケーキより今は黄瀬ちんが食いてー」





あっちは保冷剤入ってるだろうし、余裕っしょ。



舌をまた絡めると、怖ず怖ずと甘い舌を差し出してくる。






(黄瀬ちんは保冷剤なんかで冷やしはしない。暖かく暖かーく愛して、愛情で骨まで溶かしてあげる)





ケーキよりも甘い。恋人。




紫原はその美味なる恋人を本日も美味しく頂くために、ベッドにおいていたヘアゴムで自分の髪をさっと結ぶと、黄瀬にまた覆いかぶさった。









END




髪の毛を束ねるイケメンはぁはあ。





20121205



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