□二人は双子U後編














駅に着き、ごった返す中、改札を通過する。ピッとSuicaをタッチし残額を確認。

通学通勤ラッシュの電車に飛び乗る。


大ちゃんの迷っている駅までは30分ほど。

今頃、駅のホームのベンチでぼうっとしてるかもしれない。また寝てないといいけど。

乗り換えを繰り返し、もうあと一駅で大ちゃんが降りた駅になる。


吊り革に捕まれる余裕もなく、すし詰め状態は続く。

ドア横の隅に小さな身長の女性がいたので、潰さないように注意して踏ん張って立っていた。一駅の距離が長く、ガタンガタンと揺れる電車内。

もみくちゃにされて、僅かに疲労がたまってる状態に溜息を着いた時だった。






あ、れー??
んん? ――!!

尻の辺りを触られている感覚がした。

いやいや、俺男だし、気の所為、気の所為。



平静を装い、頭を軽く振った。
誰が見ても、男の自分を痴漢する訳がない。

きっと、満員電車で一瞬手が触っただけっスよ! そうだと信じたいっス。

しかし、手は触れるだけではなく、執拗にねっとりと尻を触ってきた。

はわわわわわわー!!

プチパニックに陥りつつ、鞄で体を守ろうとするも、鞄は満員の中で移動すらままならずな状態だった。

抵抗できない俺に、気を良くしたのか痴漢行為は大胆にエスカレートしていく。

女性の痴漢ならまだ我慢できると考えたが、反応した下半身を押し付けられ、体が硬直した。

男の痴漢っスー!!?


電車の揺れに合わせて、すっと涼太の前を触って、掴まれ揉まれた。

大ちゃん! やばいっス。助けてー!!

涙目になって、双子の兄に助けを呼ぶが、呼んだらすぐくるスーパーヒーロー以外はそう都合よく来ないのがこの世の厳しいところだった。
この手を掴んで、この人痴漢! なんて怖くて言えないっス!


次の駅のプラットフォームが見えた。

早く! 早く!

停車し、ドアが開く。
沢山の乗客の波に乗り、俺はホームに降り立った。
痴漢をした人間が降りたのか、電車に乗ったままなのかも分からないが、関わりたくなかった。

数歩あるいた目の前の自動販売機で大ちゃんを見つけた。
俺の好きな水のボタンを押している。

「だっ、だいちゃん!! 怖かったっスー!!」

190近い男子高校生だろうが、痴漢は恐怖だった。
公衆の面前だったが、構わず抱き着いた。


俺に気がついたファンの子かが、「きゃー」と叫んでいる。一瞬、確実に周囲がざわっとしたが、それよりもなにも、気持ち悪さがピークだった。

「は? 涼太どうしたよ?」

「ち、ちかんにあったっス。今まで女の子がこんな可哀相な思いしてると思わなかったっス」

「はぁ?! 痴漢?! お前触られたの? マジかよ! ありえねーし!」

「ありえねーとは酷いっスよ!」

「ちげーよ、お前じゃなくて、痴漢にムカついてんだよ!」

二人でパニックになりながら、駅から出る。もう、部活や学校どころじゃなかった。

少し歩いた場所にある公園のトイレに入った。公園のトイレは建設中なのか、透明のフィルムがはられ、まだペンキの匂いがしている。

大ちゃんはさっきから凄い顔をして黙り込んでいた。

大きな体にしっかりと抱き着いて、恐怖心を無くす。双子だからか、恋人だからか、大ちゃんとくっつくと安心する。



「大ちゃん?」

「あー、マジむかつくわ。見つけて殺してぇ。つーか消毒しねーと。どこ触られた?」


大ちゃんは鋭い目をして、荒々しく聞いてくる。

「え? 最初は尻……。って痛い!」

バスケットボールを持つ手は握力も強い。ギュと尻を掴まれ、触られる。

「痛いっスよ!」

「消毒は痛いもんだろ? 我慢しろよ」

怒りの感情が全面に出ている兄に逆らうことは出来ない。
ベルトの金属を外され、下着越しにまた尻を掴まれる。

身を縮め、痛みをやり過ごす。

「ここは触られた?」

また下着越しにすぼまった穴を触られ、びくりとする。

思いが通じてから、キスをするだけで、幸せだった。
実は全く性に興味のない涼太は知識が皆無だったので、何をされているのか理解出来ていなかった。

ぶんぶんと頭を横に振ると、ホッとしたようで穴を撫でていた手はズボンから出ていった。

「他は?」

「前をちょっとだけ…」

「ちょっとだけ、なんだよ?」

「揉まれた……」

「ふうん」

ズルリと下着を下げられた。外気に触れた性器は緩く角度を持っていた。

大ちゃんは俺の手首に嵌めていた、さつきちゃんとお揃いのシュシュを外し、まだ緩くしか勃っていない性器に結んだ。

何をするか分からない不安に、大ちゃんを見つめる。

子供のころからしてきたキスじゃなく、舌と舌を合わせるキスを大ちゃんはしてきた。
ぐちゃぐちゃと音がする。

シュシュを外そうとすると手を掴まれ、逆に縛られた中心を刺激される。

制服を外し乳首を嘗められる。
ぞくぞくする未知の感覚が怖くて、涙が伝う。啜り泣き出したらとまらない。

大ちゃんが知らない人みたいで怖かった。

怒った大ちゃんは怖くて、喧嘩なんてしないから、どう対処していいのか分からなかった。

大ちゃん、怖い。
いつもみたいに優しく笑って欲しいのに。



ボタボタ流れ伝う涙とがたがたと震える体。歯はカチカチとなり、固まってしまった。
怖い。どうしてこんなことするの?


「わりぃ! ちょっと、やりすぎた」

大ちゃんがやっと恐怖に固まっているのに気が付いてくれたようでと、しっかり抱きしめてくれた。

「なんでこんなことするの?」

怖かった。伝えると、大ちゃんは変な顔をした。

「大ちゃんが分からないことするの、怖い」

「お前ヤったことなかったのか……」

「なにを?」

「……何でもねー」

シュシュは白い液体が付着し濡れていた。

パンツを上げ、ベルトを嵌められる。
シュシュが気になりじっと大ちゃんを見つめてると、大ちゃんはトイレの外にあったごみ箱にシュシュを捨てた。

「あ! さつきちゃんとお揃いのシュシュ! 酷いっスー」

「んだよ。また買えばいいだろ。俺とお揃いのリストバンドでも」

「シュシュとリストバンドは違うっスー」

「うっせーな。ほら、もう学校行くぞ!」

「待ってー! って、大ちゃんそっちは駅と反対側っスよ〜!」



大ちゃんの変な消毒のお陰で、痴漢された気持ち悪さがなくなった!






やっぱり大ちゃんは凄いっスね!





END



旧拍手文でした。少し加筆修正加えてます。
双子もかわいいのでまた続編とか書いてみたい////
ピュア黄って魅力的ですよね////


2012.10.12


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