□次期当主の義弟
君が欲しかったから、手に入れた。それだけだ。
欲しいものは必ず、己のもとに集まるし、それを所有するのは空気を吸う行為と同じく自然の摂理と認識している。
中学時代、チームメイトであった彼を赤司家の戸籍に入れたのも、征十郎からすれば、いわば当然の摂理に過ぎないのだ。
赤司家は代々続く名家である。
祖父はこの国の中枢を牛耳る権力者であり、父も一族の当主として恥じぬ仕事ぶりで己の企業を過去最高の規模まで拡大している。母は華道家で一門を纏める位置にある。
生まれながらにして赤司征十郎はトップにたつ遺伝子を保有していた。
広大な敷地に広がる日本庭園。
義弟が暮らす部屋は、昭和の時代に妾が住んでいたはなれ。庭園は母に断りをいれ、征十郎の瞳の色と同じ、赤と黄色の木々を多く植えさせた。家自体も征十郎の視覚を満たすべく、改装させた。
征十郎は、今朝の仕事を終え、着流しに着替えると、新しく作らせた着物を手にし義弟の暮らすはなれへ向かった。
庭に面した障子は開けてあった。
障子は外からでも開けれるので、小間使いが開けたらしい。
廊下を歩けば、紅葉が程よく色付き、濃い色の葉はひらひらと舞っている。天気もよく、秋らしい、やや冷たくも爽やかな風と日差しに征十郎は目を細めた。
障子を空けた先の空間には黒い漆喰で塗られた格子が一面に嵌められていた。
征十郎は赤司家の家門のついた鍵を取り出す。7つの施錠してある鍵を順々に外し、中へ入る。
中は畳敷きで、文机と桐の箪笥しかない。その中心に金色の髪を持つ青年が、布団に横たわっていた。
昨日も夜散々体を弄んだので疲労で眠りも深いらしい。
残念なことだ。
新しい着物を着せ、格子に手をやった義弟に手折った紅葉でも持たせて、写真を撮ろうと思ったのだが。
春には桜を、夏には葵と蝉の死骸と共に。
格子の外から、義弟を撮らせた。目隠しをし、手を縛られ、吉原の遊女の如く絢爛たる着物と前に結ばれた帯。
初めての時は写真家と征十郎を前に、恥ずかしいと、泣いてしまった。あまり泣くものだから、火鉢にあった赤く熱する火箸を太ももにあて、義弟を説得した。火傷は傷となり残ってしまった。
自分と義弟が繋がる写真は、またそのうちに。
写真は美しい出来栄えだが、身内にしか見せれない。
母は根っからの芸術家故に、義弟を花や木々といった材料と同一の作品の一部にしか見ておらず、父や祖父は一般的な常識が通用しない一族特有の常識を要している為、犯罪めいた征十郎の狂気を許し、理解している。
むしろ、それ位やってのけるのはまさに赤司の血で、次期当主に相応しい行いだと、喜ばれた。
秋色の着物は、京都の反物屋を呼び誂えさせた。一千万は安い買い物だった。
義弟に似合うだろう。数年前まではモデルとして活躍していたのだし、顔も体も見栄えがいいので、一億ほどの多少値が張るものでも征十郎は義弟の為に作らせる。
格子の中に入り、カチリと閉める。鍵は中から閉まり、征十郎は格子の外に鍵を置く。ちりんと鈴を鳴らせば、小間使いが来て鍵を開ける手配になっている。
監禁しているので体はスポーツをしていた人間とは思えない様だが、華奢な体は色香を漂わせ、征十郎を満たしてくれている。
布団の近くに着物を起き、座り込む。桜色の薄い唇を眠りを妨げないように吸う。布団を剥ぎ取っても眠りつづける義弟。
薄い寝巻から見える鎖骨に手を伸ばし、鎖骨を触っていると、いい考えが浮かんで来る。
この美しい体に入れ墨を入れさせてはどうか。
背中、腰骨、太ももの付け根、臍の下、尻、足。その場所を考える。
「ん……あか…っち…」
義弟はまだ無意識の時は征十郎を特有のニックネームで呼ぶ。
くすり、と征十郎は笑んで、耳に艶っぽく囁く。
「涼太。赤司は君もだよ?」
耳のピアスは赤く最高級のルビーが嵌められていた。青いピアスは、送った人間共々、もうこの世にはなかった。
END
和風。ヤンデル兄赤×義弟黄。
この涼太さんは赤司さんを征ちゃんと呼ぶのか、まさかのお兄様呼びなのか不明です。征十郎さん呼びもいいな。とかもよさ気。ゲス峰様より高尚ですがあららなお方。青様にはごめんなさいな展開。脳内から出てきたから意味不明やったらすいません。げほげほ。監禁っていいわ////
涼太…青様が好きでしたが、赤様の毒牙にかかっちゃった。
一日の大半を寝て過ごすか、格子の中から外を見るしかない生活。過去、抜け出そうとして傷を負った。
征十郎…無敵の人。紫様と緑様を部下に大活躍。
紫…まいう棒の新味が出るとそれを手土産に涼太会いにくる。征十郎が涼太と接触を許す唯一外部の人。