□酔いどれFOOL














いい加減、遅いよ、な……。


時計の針は0時を過ぎ、午前の2時を指していた。


青峰は自分の恋人が、何か事件に巻き込まれてないか、巻き込まれていて帰ってこれないんじゃないかと心配になってしまった。


人気に火がついたモデル業の仕事は黄瀬と青峰の共に過ごす時間を大きく削った。



自分も中学、高校と散々黄瀬を振り回した癖に、全く言えた立場ではなかったのだが、こうも長い時間一人の空間で静寂に満たされてしまうと、基本ポジティブな考え方の青峰も少し後ろ向きになってしまう。





――今日仕事は早く帰れると思うっス――




とか言ってた癖に、あいつ。
もう2時だっつの。



今朝の会話を思い帰す。起きぬけのベッドで、眠気まなこな自分と黄瀬が交わした会話では、確かに午前様になるとは言っていなかったはずだったが。



クローゼットから、薄手のシャツを取り出し着替えていた綺麗な背中を瞳の奥に描いた。



マジで黄瀬がどうにかなってたら俺は、生きていけないかもしれない。



黄瀬は、自分の心のど真ん中に、ある日突然入ってきた。



中学、高校と時を共に過ごし、歩んできた黄瀬の存在は、もう自分にとってなくてはならないものの一つにカウントされる。



青峰にとって黄瀬は、スマートフォンと充電器みたいな関係で、そもそも充電しないと活用できない端末のように、自分には黄瀬が必要だった。




そういや、あいつから連絡ねーな。




先ほどまでコンセントに指して充電中していた自分のスマートフォンを触る。


誰の連絡も入ってる気配がなくただ待受画面が現れる。


何かしらいつもは連絡を入れてくるまめな奴なのに




マジで事件?



あんなでかい男でも背後から襲われたら、抵抗すらできないはずだ。



想像したくない映像が浮かんで、居ても立ってもいられなくなり、近くを探しにいこうかと鍵を手にして玄関に向かったところだった。




コツコツと革靴の音の後に、ガサガサ鞄から鍵を探す音がする。




このマンションはフロアーに二つしかない部屋の構造で、更に玄関はお互い顔が分からないそれぞれ独立した場所にあるので、黄瀬が帰ってきたと分かった。





ガチャとこちらから施錠を外すと、黄瀬が「うほー?! 自動ドアっス」と羅列の回らない言葉を発してきた。









……黄瀬は酔っ払って帰ってきた。






見事な千鳥足と、酒とタバコと香水の香り。風呂を済ましてしまった自分には強烈に感じる。




「んー? 青峰っちだー。あれ、何でまだ起きてるんスか〜?」



間延びした声。



普段は可愛く鳴く声を発する可愛い口から出る憎たらしい言葉。




おい、おい、おい……



こっちはかなり心配したっつーのに、こいつは!!




心配し、不安になっていた先程までの自分に、突っ込みをいれたい。




クソッ。ムカツク!




何時に帰ってくるか、連絡も入れない。どこにいるかもわからない。


んな状況で待ってた恋人に対してそれかよ!




腹が立って、酔っ払いの黄瀬を抱えて、リビングまで抱えて連れていく。




「え!?」



ソファに投げて、噛み付くように激しくキスをし、覆いかぶさった。黄瀬の両方を握力を使って片手で封じ、服の中に手をいれまさぐる。




「んーんぅー! や…ぁッ」




絡める舌と漏れる吐息は酒臭く、青峰は苛立つ。



平らな薄い胸にある飾りをギュっと摘むと黄瀬は跳ねた。




なにするっスかぁ!!




抵抗する黄瀬に怒りが増す。


胸板が見えるようにシャツをめくりあげて、飾りをさらに強く摘む。小さなそれは痛みで固く縮こまり存在をあらわにした。




「てめぇは今までどこで何してやがった」




「いたィっス。あおみねっ」




さすがに酔いが吹っ飛んだのか、目を潤ませて黄瀬は青峰を見てきた。



腹を立てる青峰が黄瀬を待っていた事実を悟ったようで、「もしかして……待ってくれてた……っスか……?」と静寂の中でしか聞こえない小さな声で問いかけてきた。




「仕事終わったけど流れで、スタッフの人とご飯会になったッス。すぐ帰る予定だったから青峰っちに連絡しなかったんスけど……」




「てめぇのすぐ帰るは午前2時すぎるのか?」




「ちっ、違うっス! 20時には帰る予定だったのに、社長が合流してきたから!」




「言い訳はいい。連絡位できただろうが」




「そ、それが連絡しようとした時には充電が切れてて……。社長の言うままに飲んでたら、酔っ払って、連絡忘れたっス。……ごめんなさい……」




俺がここまで怒っていると思わなかったらしく、必死に許しを懇願してきた。青峰が刺激していない片方の粒も緊張して小さく立ち上がって縮んでいる。






――充電が切れていたとは。



スマートフォンが普及して数年たつが、充電機能の点においてはなかなか改善されず、充電が切れて大事な時に連絡がとれないと困る利用者が未だ沢山いた。




対応策としての充電池はあるものの、黄瀬は今日に限って持って行くのを忘れていたという。


そういえば先日まで二台持ちをしていた携帯電話を解約していた。



何だよ、心配して損した。


怒りに見を任せて、黄瀬を責めていた自分がバカらしくなり、はぁとため息をついた。


ため息が盛大過ぎたのか、びくりと黄瀬は体を震わせた。




「な、何でもするっスから許してっ――」


ブルブルと奮える黄瀬が自分に縋り付いてきた。


怒りの感情など、無くなっていたのだが、黄瀬は青峰がまだ怒っていると勘違いしているようで、必死だった。


抱き着く手は更に奮えている。胸の粒も立ったままで。



青峰は黄瀬のその勘違いに便乗することにして、無言で黄瀬を担ぎ、風呂場に向かった。



俺の匂い以外を纏う必要なんて無いよな。



脱衣所に入りドアを閉める。黄瀬に「脱げ」と言い放った。



黄瀬はもじもじと恥ずかしがっていたが、腕を組んでドアにもたれる俺の顔を見て、脱ぎはじめた。

パンツを下ろすと、前が緩く立ち上がっていた。




「何で勃ってんの? ソレ」




もたれていたドアから黄瀬の前に移動し、ピンと優しく弾く。



ひゅっと息を飲んだ黄瀬は無言で青峰を見上げてくる。不安そうな顔。



「先入ってろ」



風呂場に黄瀬を入らせ、自分も裸になる。わざとゆっくり時間をかけて脱いで、まだ怒っていると黄瀬にアピールした。




必死で許しをこう黄瀬はきっと普段恥ずかしがる事もやってのけるだろう。





据え膳、万歳。




にやにやと頬が緩むが引き締め、無表情を作る。




薄曇りのガラスを空けると中で黄瀬がしくしく泣いていた。



さっきまで緩く勃っていた、薄い黄金色の茂の中心は、緊張し小さくなってしまっている。



良心が痛んだ俺は、目茶苦茶に感じさせてようと考えていた路線を変更し、優しく抱いてやることにした。




シャワーヘッドを黄瀬に向け、頭や、身体を丁寧に洗っていく。最初、泣いていた黄瀬は、柔らかな手つきにホッとしたようで、自分に全てを任せていた。


ボディーソープは黄瀬のお気に入りだ。値は張るがおかげで黄瀬のきめ細やかさが更に際立つのだ。



足先までスポンジを使い、汗を流し、お湯を浴びせる。



黄瀬の中心はまたゆっくりと立ち上がっていた。気がついていないふりをし、泡を流してやる。



浴槽にお湯は張っていたので、浸からせ、自分も簡単に身体を洗い浸かった。



二人で入っても十分なサイズの風呂で向かい合う形でぴたりと自分にくっつく黄瀬。




立ち上がった黄瀬のものが青峰の腹に当たる。



黄瀬の尻をやわやわと揉み、尻たぶを掴み探りあてた場所に、指を入れる。排泄器官のそこは、青峰を迎え入れることに慣れていて、すんなりと指が入った。



「あッ」



きゅっとすぼまった蕾は暖かいお湯の中だからか、普段よりすぐに指を受け入れる。二本、三本と本数を増やして、出し入れをする。グリッと前立腺を腹の指で刺激し、奥を擦る。



「ひぅー!」



黄瀬が小さな悲鳴をあげ、イった。


透明なお湯の中に白濁を放った黄瀬は真っ赤になった。


白濁に混ざったお湯をすくって捨てて、また穴を弄る。



指一本に減らして、激しく出し入れを繰り返す。




「あッ……あん!」



パチャパチャとお湯が跳ねる。

ハスキーな喘ぎと黄瀬の吐息が肩にかかる。濡れた髪を撫でてやり、チュと音を立てて唇を吸った。



黄瀬のまなじりと頬は赤く染まり、快楽に身をよじり、息はたえだえになっている。



酒が回ると危ないので、浴槽からでる。


黄瀬をタイルに張り付け、立たせ、片足をあげさせる。滑らないように体をしっかりと支えてやり、穴を開く。中からお湯が出て足を伝う。ヒクッと息を飲んだ黄瀬に欲情し、角度をもった青峰のそれを挿入した。




グチュグチュ。セックス特有の音が風呂場に響く。


青峰は前後に腰を動かし、黄瀬の中を堪能する。お湯の中で柔らかくなっていた穴は青峰を最奥まで導き青峰を満足させる。



「ハッ、ハッ!ンァー」



言葉にならない喘ぎは行為の激しさを物語っている。



黄瀬が気持ち良さに飛びかかっている。



青峰はぐっと体を寄せ、奥に射精した。


体位を変え何回か抜き差しを繰り返し、黄瀬をイかせた。

ふと風呂場に設置してある温度調整やらをするパネルをみると、午前3時半になっていた。

黄瀬はくったりとし、朦朧としている。我に帰った青峰は急いで黄瀬の中から出て、シャワーを使い白濁を掻き出してやる。



クゥンーーと黄瀬が鳴き、パタリと手足から力が抜ける。





青峰は黄瀬を抱き合げ、ベッドに寝かせ、意識のなくなった恋人の世話を焼いた。水分をとらせないとまずい。冷蔵庫から黄瀬の好きなミネラルウォーターを取り出しベット脇に置く。



体を拭いてやり、下着を履かせ、寝巻きにつかっているTシャツを着せ、タオルドライで髪を乾かしてやる。




「ウンー? あれ、ベッド?」


意識を取り戻した黄瀬に、口移しで水を飲ませた。


喉が乾いていたらしい黄瀬は何度も俺から与えられる水分を飲み下した。



「もう、いらないか?」



黄瀬の隣に横たわり、黄瀬を覗き込むと、じっとこちらを見つめる黄瀬と目があった。



「なんだよ?」


何か言いたそうな目がまた潤みだし、黄瀬がしゃくりあげだした。


「もっ、もうしないっス。ごめんなさい青峰っち。許してっ。す、捨てないでっ」



ボタボタの零れ落ちる涙を口で擦ってやり、頭を撫でてやる。



「もう、怒ってねーよ」



「ほんとに……?」




「あぁ。でも心配になるから、どんな時もちゃんと連絡はしろ。俺も連絡はまめにすっから」



「了解っス」




「あと、何があっても捨てねーよ、ばーか」




「あおみねっちっ」



黄瀬に笑顔を見せると、これでもかという位力強く体を抱きしめられた。そんなにびくつかなくても、一生手放さないよ、バカ犬。





額にキスを落として、「もう寝ろ」と黄瀬の目を手で塞いだ。






翌日、俺はバスケの試合で遠征が決まっていたので早朝から出かけたのだが、黄瀬から「オープンと同時にスマートフォンを契約して二台目購入してきた」というメールが入った。






END




酔っ払い黄ちゃんにお仕置き青様〜。
酔っ払いウキウキモードで帰ってこられると素面側はちょっといらっとしますよね(笑)
ってうちの青黄二人だとこうなります。






2012.09.22




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